けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

不意打ち

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mioritsu

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「律‥?」
「‥」
私は、音楽準備室で

「誰も、来ないよな‥」
「‥たぶん…」
恋人に。追い詰められていた。



数分前。
「さー晩御飯だー♪」
「練習終わるなりソレですか…」
「まあまあ‥今日はいつもより頑張ったし♪」
軽音部の練習が、終わった。
「じゃ、今日はちゃーんと片付けて帰ろうな、律?」
「…はい」
「私はお先に帰っちゃうからね!!」
「唯先輩も私に手伝ってもらったじゃないですか‥」
私は澪に音楽準備室の私物を持ち帰るように言われたが…
…結局、澪に泣き付いて手伝ってもらう事になっていた。
私と同じく私物王の唯は、ひと足お先に。梓と一緒に片付けを済ませていた。
「あら。じゃあ、りっちゃんと澪ちゃん。ふたりきり?」
「‥そうだな…」
ときめくムギに、私は肩透かしをくらわせた。
そりゃ、二人きりだけど。片付けだし。
そんなムギが期待するよーな色っぽい事なんか、ありゃしない。



…と、思っていた。
数分前までは。

「あーあ。なんでこんなに漫画持って来たんだろ」
私がぼやくと
「自分が悪いんだろ?」
澪はせっせと片付けを進めていた。

…が

「‥律ー?」
「んー?」
私が生返事をすると

がばっ

「わっ!?」

ガタッ

澪に、襲われた。

「な、なに!?」
私は、積み重なったダンボール箱とダンボール箱の間に詰め寄られ。呆気に取られた。
「…」
澪は、私の両肩を乱暴に掴んだまま。少し黙ると
「‥やっと、二人きりになれたね‥」
三文芝居……いや、慣れない口調で語り掛けてきた。
「二人きりって…」
いつもじゃんか、と言おうとした私を

ぎゅうぅっ

澪は、抱き締めてきた。
「…」
私は、少し考え。納得した。

……澪のやつ。昨夜、漫画読んでたな。こんな感じの。

昨夜、澪は私の部屋を訪れ。漫画の単行本を読んでいた。
今の私の状況みたいなシーンの描写がある漫画が、あった。
アレに感化された訳かー、と私は納得した。
何かと多感なお年頃だし。澪だって、好奇心はあるだろう。
……まぁ、不自然過ぎて笑いそうになったけど。
「‥今は片付け、だろ?」
私は注意した。
「………」
澪は、シカト‥ってよりは。どうしたらいいか分からないって感じだった。
いざ「やってみたはイイけど、どうしよう」的な雰囲気。
抱き締める身体から、緊張感が伝わってきた。
そりゃ、あの澪がいきなりこんな事すりゃ緊張するのは当たり前だ。
「‥‥」
私は空気を読み、澪の腰に手を回した。
「…っ!」
びくっ、と澪は無言で驚いた。
私の耳の横で、澪の黒髪が跳ねた。
「‥‥」
私は手を背中まで滑らせ、優しく撫でた。
「……」
澪の身体から、ゆっくりと緊張が抜けていった。
残ったのは、火照った体温。
「…みーお」
「…ん?」
私が話し掛けると、澪は身体を少し離して。私の顔を見下ろした。
澪の顔は、真っ赤。やっぱり、意を決した行動だった。
…ごほうびでも、あげよっか。


「‥キス、しよっか」
「へ!?」
目を見開く澪。
「澪が頑張ったからさ…」
私は「ぜーんぶお見通しだぞー」とメッセージを込めて笑い、黒髪を撫で
「ごほうび、だよ」
撫でた手を、肩に掛けた。
「うん…」
図星だった澪は、恥ずかしそうに頷いた。
‥‥我が彼女ながら、可愛い。
「……」
私は、恥ずがる澪を見つめて。目を細めた。

…キスの、合図。

「……」
…案の定、澪は戸惑った。
「律‥?」
「‥」
私が細めた目を少し広げて応えると
「誰も、来ないよな‥」
「‥たぶん…」
私は呟き、また目を細めた。
戸惑った澪の身体を、少し寄せた。
澪は、私の腰に手を回した。

………。

澪の顔が、近付いてくる。
澪の匂いがふわっと、香って

…ちゅ

…唇が、重なった。



唇は、乾いた。
「律ーそっちは終わったかー?」
「まだー」
「まだっ、て…」
私は片付けそっちのけで、漫画を読み耽っていた。

ゴチーン☆

「ごめんなさい‥」
「まったく‥」

私と澪は、音楽準備室で、キスをした。
お互い恥ずかしそうに、笑った。
お互い少し心を落ち着かせて、私の私物の片付けを再開した。

「‥今日はもう遅いし‥続きは明日にするか」
澪はふぅ、と息をついた。
「えー!?明日もー!?」
私が拒否の意向を示すと
「…誰のせいだ?」
澪がオーラを放ちつつ睨んできた。
「…すいません」
私は、素直に謝った。
「‥やれやれ。とりあえず、今日は帰るぞ?」
「はーい」
私と澪は、音楽準備室を出た。
「明日も片付けかー」
「‥誰かさんのせいで、な」
ぼやく私に澪がチクリ、と言った。
「…みーおちゅわん?」
私は、反撃に転じた。


「なんだよ」
「もしかして、またちゅーしたいからぁ?」
あしたもー?、とからかうと

ちゅっ

澪は、キスしてきた。
「…っ!?」
戸惑う、私。
「……もぅっ‥帰るぞ!!」
澪は自分からキスしといて、顔を真っ赤にして

ぐいっ

「わっ!」
私の腕を引き、音楽室を飛び出た。
怒った口調だったけど、しっかりと私の手を握っていた。
‥色々といきなりな事があったけど。なんか、嬉しくなった。

………澪が、勇気を出したから。

我が子の成長を見守る…じゃないけど。
一年ごと、一ヶ月ごと、一日ごと
今、またこの瞬間に。澪は、成長している。
私も澪の事言えないけど。
幼いながらも、大人になってんだな。


…後で、また。ごほうびのキス。してやろっと。


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