けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

天の川とカラメルソース

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mioritsu

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7月の夜。
HTTのツアーも終了。
次のレコーディングまで、ちょっとオフ。
私はリビングに寝転び、初夏らしからぬ暑さと格闘していた。
すると
「りつー」
澪がキッチンから
「プリン、出来たぞー」
お盆にガラスの器の中で固まったプリンを乗せて、持ってきた。
ちょっとのオフの間に、私は澪にお菓子作りを指南していた。
日中、私が諸用で出掛けてる間に一人で全部仕上げたらしい。
「おー」
私は体を起こした。
澪はプリンをテーブルに置くと
「カラメルソース持ってくるから、待ってて」
冷めて固まったであろうカラメルソースを取りに、キッチンへ戻った。
澪はカラメルソースを少しレンジで温め
「お待たせ」
プリンが入ったガラスの器に、流し込んだ。
「おー、美味そうに出来たなー」
私が感心すると
「律のおかげ、だよ」
澪はニッコリ、と笑って
「…ま、味はわかんないけど‥」
ちょっと、俯いた。
澪はそんな不器用じゃないんだが、ちょいちょい失敗していた。
この前はカラメルソースを煮詰めすぎて、苦くなっちゃったり。
今回は、上手く出来てるかな…。
「じゃ、いっただっきまーす!!」
「…いただきます」
威勢良く手を合わせる私と、不安そうな澪。
味見してるんだろ?と、言いたかったが。私に食べてもらうまでは不安なんだろうな、と察した。
私は銀の匙を手に取り、プリンとカラメルソースを掬った。
澪も同時に、プリンとカラメルソースを掬った。

ぱくっ

………。

「うんめー!!」
「おいしい!!」
プリンの出来は、上出来だった。
カラメルソースも、程良い苦味。
「澪、上手くなったな!」
私がニカっと笑うと
「‥あ、ありがと‥」
澪はちょっと頬を赤く染め、俯き
「律の‥教え方が良かったんだよ‥」
上目遣いで私を見ながら、プリンを食べた。
超ー、可愛かった。
「‥ま、まぁ、伊達に料理得意じゃないからな!」
私は、照れた。
照れたり、顔をちょっと赤くしながら。
私と澪は、プリンを食べた。



プリンを食べ終え、食器を片して。
一緒に風呂入って、髪乾かして、歯磨きして。
私と澪は、寝室に居た。
私がベッドにごろーん、と寝転ぶと
「‥律」
澪がカーテンを少し開けて。声を掛けてきた。
「‥ん?」
「‥今日、曇ってるな…」
澪は、残念そうに窓の外を眺めた。

今日は、7月7日。

天の川を、見たかったんだろう。
「…そうだな」
私は、ベッドから澪に声を返した。
「‥」
澪はカーテンを閉め、ベッドの私の元へやってきた。
ごろん、と寝転び。私の腕に収まった。
「‥りつ?」
「‥ん?」
「おぼえてる?」
「なにが?」
「………短冊」
澪は、私の胸に顔を埋めた。


短冊。

おぼえてる。
高校時代、軽音部で七夕の日に短冊を書いた。

私は「目指せ武道館!!」。
澪は「ずっと皆で演奏出来ますように」。

…と、言うのは軽音部の皆の前で書いた短冊。

部活が終わって、私と澪以外の皆が帰ってから。
ふたりきりになってから、書いた短冊。

私は、青い短冊に「澪と、ずっと一緒にいられますように」。
澪は、黄色い短冊に「律と、ずっと一緒にいられますように」。

暗くなった部室に垂れ下がった笹に、二人で飾った。

短冊飾って二人で笑い合って。キスをした。
トンちゃんが何食わぬ顔をして、泳いでいた。

キスして照れ合って、短冊を外して。
互いの短冊を、持ち帰った。



「…おぼえてるよ」
私は、澪を抱き締めて、答えた。

「…まだ、もってる?」
澪は、私の腕の中から、聞いてきた。

「…もちろん」
私はまた、抱き締めた。

「…わたしも」
澪は、眠そうに少し身体を捩った。

聞くまでもないんだけど‥互いに、財布の中に御守として。しまってある事を知っていた。


「りつ‥」

「‥ん?」

「願い事‥かなった…」

澪は、私の腕の中で。眠った。


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