けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

未成年の主張

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mioritsu

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「‥りっちゃん、緊張してるね!」
唯がヒソヒソと、ニヤニヤと言った。
「‥唯先輩!声大きいですよ!!」
唯を注意する梓の声も十分大きかった。
「りっちゃん、何を主張するのかしらね~♪」
ムギは声からニッコニコだった。
「皆、静かに‥しようか…」
何故か赤面してるらしい澪が、三人を静めた。

私は、屋上の鉄柵を挟んで。
桜ヶ丘地区の街並みを眼前に、仁王立ちしていた。

‥何も好きでこんなコトをしているワケじゃない。



数十分前、部室にて。
「みんな、主張ってないのー?」
お茶中に、唯が切り出した。
「ありますよ?」
梓が真っ先に反応した。
「なになにー!?」
身を乗り出す唯。
「いい加減、練習しましょう」
梓は、予想通りの主張をした。
「なーんだ…」
椅子に身体を戻す唯。
「流石になーんだ、はナイだろ‥」
分かり切ってるにしても‥と、澪が突っ込んだ。
「一応…部活中なんだぞ?」
私も続いて突っ込んだ。
……ティーカップ片手、という説得力皆無の姿だったが。
「唯ちゃん、急に主張って。どうしたの?」
ムギが最もな疑問を投げ掛けた。
「うん。ゆうべね、テレビで見たんだー」
なんか再放送やってて、と唯が言った。
「あぁ、昔やってたヤツですね」
梓が反応すると
「そうそう!!なつかしー!って思ってさ!」
唯は声を弾ませた。
「主張‥‥未成年の主張?」
澪が顎に指を添えつつ、思い出した。
「そう!それだよ!澪ちゃん!!」
唯がガタン、と立ち上がった。
と、ココで

ガチャッ

部室のドアが開いた。
皆、ドアに視線を向けると
「‥今、大丈夫?」
和が顔を覗かせた。
「おー。お疲れー」
私は大丈夫だぞー、と手を振った。
「‥少し、お邪魔するわね」
和はいつものように胸にノートやら書類やらを抱えて入室した。
「和ちゃん!!」
唯はしゅたっ!!と手を挙げて和に話し掛け
「な、何?」
「和ちゃんは主張とかない!?」
呆気にとられる和を、話の輪に引きずり込んだ。
「主張、っていうか…」
和は書類の中から一枚、取り出し
「…律?」
私の前に、差し出した。
「…ん?」
私は不思議そうに、書類を見つめた。
「‥この前の、部長会議で」
「ゴメンナサイッ!!!」
私は全てを聞く前に謝った。
早い話が提出書類の不備、だ。
「……部長?」
ゴゴゴゴゴ‥と澪の怒りが伝わってくる。
「律先輩…」
梓が呆れた。
「…で、何?主張って」
和が唯に聞くと
「未成年の主張デス!!」
唯はビシッ!!と人差し指を立てた。
「あぁ、学校へ行こう!だったっけ?」
流石、和は察しが早かった。
「そういうことデス!!」
胸を張る唯。
「どういう事か、分からないけど‥」
和は苦笑いをして
「律。それ書いたら生徒会室に持ってきてね?」
「はい…」
私は頭を下げるしかなかった…。
「じゃ、私。生徒会行くね」
和はお決まりの台詞と共に、部室を後にした。

バタン


………。
「…ねぇ」
ムギが、口を開いた。
「ん?」
私が顔を上げると
「未成年の主張って…何?」
完全に、乗り遅れていた。
‥確かに、琴吹家ではバラエティ番組なんか見せてはいないだろう。
「‥テレビ番組の、企画ですよ」
梓が話しだした。
「企画?」
「未成年の出演者‥学生がメインでした。その人達が校舎の屋上で色々主張するんですよ。日頃の不満とか」
「へぇ…」
ムギは感心しきり、という表情だった。
「愛の告白!!とかねっ!!」
唯が割り込んだ。
「…告‥白?」
ムギが少し、ときめいた。
「人に寄っては、そういうのもありましたね。サプライズ的な」
梓がフォローした。
「男子が校舎の屋上からいきなり告白してなー。告白された女子生徒は真っ赤になったりしてなー」
なっつかしいなー、と私が頭の後ろで手を組むと
「‥それ、おもしろそう!!」
ムギが目をキラッキラさせて、声を挙げた。
「でしょ!?やってみようよ!!」
唯が身を乗り出した。
「…とりあえず。律先輩から、やってみましょうか?」
梓が横目で私を見た。
「へっ!?」
私は虚を突かれた。
「なんたって、部長だもんね!!」
唯がふんす!とかしかけた。
私は全っっっ力で拒否ろうとした。
「いやいやいやいや!!部長権限で、きょ」
「律?」
澪が、満面の笑みで。和が持ってきた書類を差し出した。
「りっちゃんの主張、聞いてみたいわ~♪♪」
ムギの笑顔が、グッサリと突き刺さった。
「よし!!決まりだね!!」
唯が決行の合図を出した。
「いや、練習を‥」
私は抵抗しようとしたが
「唯ちゃん、場所は屋上なのね!?」
「そうだよ!ムギちゃん!!」
盛り上がる唯とムギ。
「‥梓!!」
練習だ!!と私は助けを求めたが
「部長の主張って、楽しみですね♪」
「そうだなー♪律の主張、楽しみだなー♪」
梓と澪まで、ノリノリだった。
「~…っ!!」
皆とは長い事一緒にいるから、序盤から察しは付いていたが…

…私は、観念した。


目の前には、鉄柵。
校舎の屋上。
まんま「未成年の主張」だったが。
V6のメンバーは愚か。カメラも無きゃ、大勢のギャラリーも居ない。
居るのは、私の後方で物陰に隠れている桜高軽音部一同。
夕陽が真っ直ぐに、暖かい。
主張っていうか…私と澪の関係を感付いている皆の思惑は、ビシビシと伝わってきた。
もう、一歩的なテレパシーとして聞こえてきた。

「こーくはくっ!!こーくはくっ!!!」

澪は既に赤面して、沈黙していた…と、思う。
付き合ってんだし、告白ってのもアレだけど。

「…はぁ」
私は、ひとつ溜め息をついた。
自分の性格からして、ココでチマチマ悩んでてもしゃーないって気になるし。
皆の期待に応えるって、いうか…

普段ふたりきりでイチャイチャしてるけれども…
たまには、気持ちをぶつけるのも。アリかなって、思った。

「…」
私は、後ろを振り返った。

びくっっっ!!!!

一同は、盛大に無言で驚いた。
私は澪に向かって

……にこっ

微笑んだ。そして、振り向いた。

すぅー……はぁー……

深呼吸を一回。

遙か向こうの、夕陽に向かって


み――――お――――!!!!!!

すきだぁ――――――――!!!!!!!!


告白した。

…もう、告白は済ませてんだけどな‥。
こんな盛大なのは、なかったし。

スッキリ、した。

後ろから、衝撃が伝わってきた。

私は、後ろを振り向き。

「みーおー」
顔を真っ赤にした部員の中の一人の澪に、声を掛けた。

「主張、じゃないぞ?」
私は、一呼吸置き

「‥‥告白、だ!!」
ニカっと、笑った。
涙目の澪が、遠目でも分かった。

私は、澪の口元を見た。

ちいさく、呟いていた。
聞こえなかったけど、聴こえた。



「…わたしも‥すき」


私は無言で微笑み、頷いた。


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