けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

分かち合いたい痛み

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mioritsu

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大学生活も三ヶ月目を迎えようとしていた頃。
HTTの練習終了後。
「ふぅ‥」
澪が、あぁ疲れた‥とばかりにペタン、と床に座り込んだ。
「おぅ…」
見慣れない光景に思わずたじろぐ唯。
「澪先輩!?」
梓も見慣れない光景に声を上げた。
「澪ちゃん‥」
ムギは、澪の様子から逸早く理由を察知したようだった。
「‥みおー」
私はドラムセットの椅子から立ち上がり
「大丈夫か?」
澪の目の前に膝を突いて抱き締め、背中をさすりながら聞いた。
「あぁ‥」
澪は、溜め息混じりに答えた。
「‥澪ちゃん、だいじょうぶなの?」
唯が心配そうに覗き込んできた。
「大丈夫‥」
澪は返事をすると、私に立ち上がるように促した。
私は澪の身体に腕を回したまま、立ち上がらせた。
「澪先輩‥どうしたんですか?」
梓も、とても心配そうな表情だった。
「大丈夫‥ただの、生理だから‥」
澪は少し無理をして、笑った。
「そうなんだ‥」
唯も、心配そうだ。
「多分‥疲れとか溜まってさ。ちょっと、重くなったんだと思う‥」
澪は、私に身体をもたれたままで説明した。
確かに、表には出さなかったが。新生活、澪は心労も疲労も溜まっていたんだろう。
実際、私は昨夜。澪から「生理来そうなんだけど‥いつもより、変…」と相談を受けていた。
今朝、非常に具合の悪そうな澪を見た私は、練習を休むように勧めたんだけど…。
澪は「やるだけやってみる」と敢行したのだった。
「澪ちゃん‥今日はゆっくり休みましょう?」
ムギが気遣った。
いつもなら、練習後にどっかでミーティングして解散って流れなんだけど。
今日の所は、ムギの言葉に甘えて私と澪だけ先に帰らせてもらうことにした。

皆、帰り支度を済ませ。唯とムギと梓は、スタジオのロビーで私と澪を見送った。
「じゃ、曲とかで何か気になるコトあったら、私に連絡で。よろしくな!」
私はエリザベスを背負って、スネアとペダルを積んだキャリーカートを片手に。手を挙げた。
澪は、私の腕に抱き着いたまま、力無く歩き出した。



帰り道。
「律…」
「‥ん?」
「ごめんな…」
「‥大丈夫だって」
「でも、エリザベスまで持ってもらって‥」
「気にするなよ‥ドラマーだし、体力あるんだぜ?」
「うん‥」
澪は、申し訳なさそうに頷いた。
「とにかく今日と明日は、ゆっくり休まなきゃな」
「うん‥」
やっぱり澪は、申し訳なさそうに頷いた。
まぁ‥コレばっかりはどうしようもない。
私と澪は、家路を急いだ。


「澪ーゴハンだぞー」
私はリビングのソファでうずくまる澪の元に晩御飯を届けた。
「…ありがと」
澪はゆっくりと身体を起こした。
今日の晩御飯は、サラダスパゲティとオニオンスープ。
あっさりめで、でもちゃんと炭水化物は摂れるように‥体調の優れない澪を気遣ってみた。
野菜も、細かく刻んで。結果、和えただけで手間も掛からなかった。
まぁ…グッタリしてる澪を待たせたくなかったし。丁度良かった、かな。
「じゃ、いただきまーす!」
「いただきます」
私と澪は、テーブルを挟んで。手を合わせていただきますの挨拶をした。
「‥澪ー」
「‥ん?」
「練習、キツかっただろ?」
「うん…」
澪が素直に弱音を認めるのは珍しい。
「なんか…申し訳無かったな‥」
「いや、練習は出来てたじゃん」
「あぁ‥」
澪は、溜め息混じりにパスタを食べた。
「‥ま、気にすんなって」
私は、澪を気遣いながらパスタを食べた。

「さーて、寝よっか」
今日一日の日程を終え、私はリビングのソファに横たわる澪に声を掛けた。
「うん‥」
澪はゆっくりと起き上がった。
「あ、待って待って」
私は、澪の傍らに駆け寄り
「‥はい」
澪の背中に腕を回した。
「…ゴメンな」
澪は、謝りつつ私に身体を委ねた。
「謝っても‥」
私は澪の身体を抱き寄せ
「‥仕方ない、だろ?」
寝室へ導いた。

ベッドの中。
澪は体を丸くして、私の腕の中に居た。
「‥りつ」
「‥ん?」
「ゴメン。お腹、さすって‥」
「‥」
私は無言で、右手で澪の腹をさすった。
今回の澪の生理はかなり重いらしい。
長いこと一緒に居るが、ココまで体調の悪そうな澪は初めてだった。
無理が祟ったのか‥は、定かではなかったが。
色々と気付いてやれなかったのかな…と思うと自分に腹が立った。
「りつ‥」
「‥ん?」
「‥色々と、ゴメンな」
「だから」
気にするなよ、と私は澪の腹をさすった。
「エリザベス運んでくれたし‥」
腕の中から聞こえる澪の声は、力無かった。
「食事当番も、代わってくれたし‥」
「代わるも何も‥作らせられないだろ‥」
「……」
澪は、無言で身体を寄せてきた。
私は、右手で澪の黒髪を撫でた。
「…明日、ヤバいかも…」
二日目だし…と澪は溜め息をついた。
「…」
私は無言で黒髪を撫でた。
「‥‥子宮取りたい…」
澪が、呟いた。余程キツいらしい。
「…ずっと私がついてるから…」
流石に我慢、しような?とまでは言えなかった。
個人差のある症状ってのは厄介だ。
私も、それなりに生理はキツイ。
たまにバスドラが下腹部に響いて死にそうになる時もあるし…。

…なんにせよ、厄介極まり無い。

「……りつ」
黒髪が小声で話し掛けてきた。
「…何?」
私は、聞いた……あんまし喋る事すら、咎めたかったのが本音だが。

「………律が居てくれて、良かった…」

澪は、私のパジャマをぎゅっと。握った。
私は、澪の頭と腹を。優しく撫でた。

少しでも、澪の生理痛が和らぎますように…って、願いながら。


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