けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

うっかりっちゃん

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mioritsu

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私と律は付き合う事になった。
どっちから告白して…って訳じゃなく。
気付いたらいつの間にか…みたいな。

正直、驚いた。

女子高ではそんな事もある、とか聞いた事はあったが。
まさか、自分がその当事者になるとは…。

今の所、キスだけ済ましてて、帰り道に二人きりになってから手を繋いで帰って。
分かれ道でまたね、のキスをしてまた明日。
なんか恥ずかしくて。周りにも、軽音部の皆にも。
まだ話してない。私達だけが知ってる。
そんな関係。



ある放課後。
いつものように練習前にお茶してた時。
私は一枚のレポート用紙を取り出した。
「ムギ、この前の曲の歌詞、書いてきたんだけど」

ばっ!

「私が最初に読むー!」
律が素早く席を立ち、私の手からレポート用紙を奪った。
「こ、こら!律!」
「あー!りっちゃんずる-い」
私が立ち上がる前に唯が素早く立ち上がった。
「たまには私も先に読みたいです!」
珍しく梓まで参戦した。
「なにをー!私は部長だぞー!?」
「私だってヴォーカルだもん!先によむ権利はあるよっ!」
「いつも律先輩だけずるいです!」
いつもの光景が始まった。
「‥やれやれ」
私は諦めて椅子に身体を沈めた。
「梓ちゃんも、慣れてきたみたいね。軽音部に♪」
ムギが両肘を突いて笑った。
確かに、梓がこんなやりとりに参戦するなんて。入部当初は考えられなかった。
「私のネコミミが効いたわね!」
「いや、ソレは関係無いかと…」
先生の断定を否定する私。

律、唯、梓の三人は私の歌詞を争奪しようと、無意味な争いを繰り広げていた。
「私は澪の幼馴染みなんだからな!」
「むっ!私は澪ちゃんとっっても仲良しな同級生だよっ!」
「私は可愛い後輩です!」
「押しが弱いぞ、二人とも!!」
「わっ私なんて、澪ちゃんの指をぷにぷに~ぷにぷに~ってやった仲なんだからねっ!」
「私は澪先輩に頭撫で撫でしてもらいましたっ!」
「甘い!私は澪と互いに泊まりに行く仲なんだぜ?」
幼馴染みだし、おかしくはないが。
私は嫌な予感がした。
先生も、表情は穏やかだが雰囲気はどことなく、黒くなってきたような…。
「私は澪ちゃんとおんなじ弦楽器担当なんだよっ!」
「私だって弦楽器担当です!」
「まだまだ!私のドラムは買った時、澪も一緒に運んだんだぜ?」
「わっ、私だって澪ちゃんに勉強おしえてもらった事あるもん!」
「っ‥!」
「私はテストの度に毎晩一夜漬けで教えてもらってるわぁ!」
「私は澪ちゃんにギターおしえてもらったもん!ちょっとだけ!」
あ、いつの間にか梓が脱落してる。
笑顔の先生の眉尻が不自然に上がってきた…。


「私はりっちゃんより背たかいもん!」
「それがどうしたぁ!!」
「りっちゃんより澪ちゃんに、近い!!」
「くっ‥!」
先生の顔が引きつってきた。
「私なんてなぁ!」
あ、先生の目付き変わった。

次の瞬間


「澪と付き合ってるんだぞ!?」


「え!?」
「あ」
私と律は顔を見合わせた。


………………。


時間が、止まった。
律は一人だけ動き出し、レポート用紙を片手にスタスタと席に戻った。


『えええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!????』


私と律と、先生以外の三人が絶叫した。
「ほ、ほんと!?け、結婚式はいつ!?」
「唯先輩、は、話が早すぎますっ!」
「式場の手配は任せてっ!!」
早まる唯と梓とムギ。
私は赤くなり
「律…!」
小い声で、叱った。
「しょーがないだろ‥言っちまったんだから!」
律も小声で反論してきた。顔は、赤かった。
「仲人はまかせて!ふんすっ!」
「わ、私は結婚式の司会をやるです!」
「楽しみだわぁ~♪」
三人は盛り上がり過ぎて半ばパニックになっていた。
「…」
「…」
私と律は真っ赤になって沈黙するしかなかった。

「‥皆、落ち着きなさい?」

先生が、カオスと化した音楽室を静めた。
「今は部活動中!とりあえず、皆で楽器のセッティングして?」
ティーカップを片手に、先生は三人に指示した。
三人は「はっ」と我に還り。先生のらしからぬ指示に従った。
「先生‥」
私が話し掛けると
「ん?」
ティーカップに口をつけた所だった。
「ありがとう‥ございます…」
場を収めてもらった事に礼を言った。
「さわちゃん‥サンキューな」
律も礼を言った。
「全く‥」
先生はティーカップを置くと、溜め息をついた。
「‥別に隠す事でも、ないでしょ?」
『はい‥』
私と律は恐縮した。
「女同士でも、女子高なんだから。おかしくはないんだし‥」
「先生の時も、あったんですか?」
「まぁ、それなりに、ね」
先生はまたティーカップを持ち
「コソコソ手繋いで帰るくらいなら、ちゃんと言った方が、楽じゃないの?」
『え?』
私と律は目を丸くした。
遠くでセッティング中の唯と梓が反応したが、ムギが抑えてくれた。
「‥先生、知ってたんですか?」
「たまたま車で通り掛かったの。二人がお手繋いで帰ってるトコに、ね」
「見られてたのか‥」
溜め息をつく律。
「皆には言ってないみたいだったし、黙ってたの」
「す、すいません‥」


「謝ることじゃないでしょ?」
「はい‥」
「別に、他の皆も。悪い気はしてないみたいだし?」
先生は、セッティング中の三人にアイコンタクトを送った。
三人は、笑顔で応えた。
少し、嬉しくなった。
ティーカップの紅茶を飲み干した先生は、笑顔で私と律を見つめた。
綺麗な、大人の笑顔だった。
「幼馴染みにしちゃ、やけにベタベタくっついてるなーとか、思ってたしね」
「はい‥」
「二人とも」
「はい」
先生は、一呼吸置いて
「・・・私より先に結婚したら、どうなるか分かってるわよね?」
『・・・はいっ!!!』
とびっきりの笑顔のプレッシャーに、私と律は「女性同士なんですけど」と突っ込む余裕すら忘れた。
「せんせー練習ー」
唯が声を掛けて来た。
「はい!皆、練習練習!」
先生は立ち上がり、
「じゃ、私。吹奏楽部行くから」
「さわちゃん、じゃーねー!」
唯は手を振った。
「‥せ、先生!」
私はドアを開けた先生を呼び止めた。
「何?」
「そっその‥」
私は口ごもった。
「‥さわちゃん」
律が、近寄って来た。
律は、私と先生の前に立った。
「‥なに?」
「…ありがとう、ございました!」
礼をした。
パニくった部室を静めてくれたり、私と律が手を繋いでるのを見ても黙っててくれたり。
私と律の関係について、皆の意思を確かめてくれたり。
部長として、私の恋人として。
色々な思いが込められた、礼だった。
「‥ふふっ」
先生は、笑った。
顔を上げた律の頭を撫で
「じゃ、頑張んなさい?」
先生はくすり、と大人の笑顔を残して。音楽室を後にした。
「りっちゃーん歌詞見してよー」
「あ、あぁ、分かった」
律が唯の呼び掛けに応えた。
私は、セッティングを急ぎに三人の元へ、向かった。



この日の練習は唯、ムギ、梓の三人がやたらとリズム隊の方をチラ見しては「にこっ」と笑った。
私と律は、その度に顔を赤くしながら演奏に集中した。
練習後。私達は三人から質問攻めに遭った。
私は顔を真っ赤にして黙りこんだ。
律は顔を真っ赤にしながら質問に答えていた。
学校を出る頃には私達はグッタリしていた。
まぁ、身から出た錆、でもあるんだけど…。

「じゃあねー!おしどり夫婦さーん!」
「唯先輩!まだ夫婦じゃないですよ!」
「うふふ♪まだ、だもんね♪」
三人の声に見送られ、私達は解放された。


二人きりの、帰り道。
「…澪」
「…何?」
「言っちゃって、ごめん…」
「…別にイイよ…」
私達は、学校からずっと顔が赤いまんまだった。
「皆、喜んでくれたし、さ」
私は繋いだ手をぎゅっ、と。握った。
「…そうだな!」
律は繋いだ手をぎゅっ、と。握り返してきた。
「…」
「…」
私と律は、無言のまま、歩いた。
手は、繋いだまま。
やっぱり今日は、特別な気持ちがした。
無言のまま。いつもの分かれ道。
「律‥」
「何?」
「…」
私は、律を前にして黙り込んでしまった。
言いたい事が、言えなかった。
目線を、律の顔より下に、下げた。
恥ずかしがり屋な性格が、邪魔したんだろう。
「…」
律はやれやれ、と言った表情を浮かべ

ぎゅ

黙り込んだ私を、抱き締めた。
心が、あったかくなった。
「…私と澪は、付き合ってるからな」
私が言えなかった事を、耳元で言ってくれた。
律は抱き締めた後

ちゅっ

またね、のキスをくれた。
ニカっと、笑った。
「律…」
私は、ありがとうの気持ちで一杯になった。
「じゃ、また明日な!」
笑顔で、律は手を振った。
私も手を振って、笑顔で応えた。
私は、律が見えなくなるまで。その小さな背中を見ていた。

一人で帰る家路。
私は、あったかい心の中で、呟いた。


「付き合ってるから、か‥」


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