けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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酷い夢を見た。
私が綺麗で豪華なドレスを着ていて…そう、まるでお姫様みたいな姿で。
どこかの国の王子様と一緒にいる夢。
…素敵な夢じゃないかって?
馬鹿言ってんじゃないよ。
姫なんて似合わないし、私のキャラじゃない。
それにお姫様とか王子様って…はは

「ジュリエットやって調子に乗ったか私…」
こんなの人には言えないや。
むくりと体を起こして、欠伸をする。
と、その時袖に力を入られているのに気付く。
隣で寝ている澪が私の服の袖をそれはもうしっかりと握って眠っている。
昨日ホラー映画見せたから『一人で寝るの怖い』って言ってこの様だ。
あはは、なんて険しい顔して寝てんだ。
どんな怖い夢見てんだか。
袖を掴む澪の手を握ってやると、何とも安らかな顔になった。
その顔はとても綺麗で艶やかで…。
お姫様みたい、と思った。
少なくとも私よりは、さっきの夢のドレスが似合いそうだ。ちくしょぉ。
それから、その隣にはきっと。

「……いつかは、来るのかなぁ」

女子大はともかく、このまま社会進出すると、嫌でも男と接する機会は増えてくる。
そして、澪のことを狙う奴も出てくるだろう。
そりゃあ、こんな美人ほっとくやつがあるか。という確信。
その中にはイケメンだっているだろうし。
頭良かったり金持ちだったり。
本気で澪の事を好きなる奴だって出てくるだろう。
澪、お前は無限の可能性を秘めているんだぞー。

私と澪の今の関係だってただの気休めでしかない。
恋人…と言葉ではいくらでも言える。
が、私達は女同士だ。間違った恋人同士。
澪のことは愛してる。その気持ちは誰にも負けない。…つもりだ。
澪もそう思ってくれてるだろうとは思う。
けど、先の事は解らない。
いつか澪がこの関係に耐えられなくなるかもしれない。
いつか澪にとっての本当の相手が現れるかもしれない。
そう、それは

「澪の王子様」

そもそも、高校生の恋なんて背伸びみたいなもんだ。
世間知らずで、怖い物知らず。
いつか気の迷いだって気付くかもしれない。
女の王子様なんていないしな。その場合なんてーのかな?女王?
お姫様同士が結ばれるってのも聞いたことがない。
いや、私がお姫様ってのもな…さりげなく言ってはみたけど。
せいぜい農家の娘くらいか。キャベツ畑のな。
ま、その時がくるまでの寄り道ってことかなー。
付き合ってくれよ、澪しゃん?
いつかお前の白馬の王子様が迎えに来るから…

「なんだよ、王子様って」


「…起きてたの?澪」
澪も起き上がり、私と肩を並べる。
袖は掴んだまま。
俯く澪は笑ってた。
それはそれは悲しそうな微笑。
なんでそんなこと言うんだ、とでも言いたそうに。
「ごめん澪」
「謝るようなこと言ったのか?」
「いや…えっと…」
どうしよう…まさか私の夢の話をするわけにもいくまい…
けどこのままじゃ澪が…
「いないよ」
私が言い淀んでいると澪はそう言った。
「へっ?」
「日本に王子様なんていないよ」
「……………あはは」
なんということだ。
あのメルヘンチック澪しゃんがこんなことを言うなんて。
キャラ崩壊か…?
「そーだな、うん、そうだ」
「でもな、お姫様はいるよ」
「へっ?」
本日二回目のすっ頓狂な声が上がった。
そんな私を見ながら澪は言い放った。

「お前だよ、律」
「………馬ぁ鹿」
キャラ崩壊なんかしてなかった。いつも通り。
いけない、照れる。顔があちぃ。
ここは、誤魔化す!
「…澪だって、私のお姫様だよ」
「…ふふふ、どうも、律姫様」
さっきと打って変わって嬉しそうな微笑を見せる澪。
ありゃ、あんまり効かなかったか…
「でもお姫様同士じゃ結婚できないよなぁ」
「………」
澪の顔が一気に不機嫌になる。
しまった、また馬鹿なこと言ったか…
「ギリシャ神話ではな、同姓愛の神様がいっぱいいたんだって」
「…?へぇ」
「まぁほとんどが男らしいけどな」
「うげぇ」
「だからお姫様同士が結婚するなんて話があってもいいじゃないか」
「神様と比べられてもな…」
スケールが違う。
けど、なんか元気出た気がする。
先人の人のおかげかな。ありがとう、神様。
このまま二人で神話になっちゃおうか、なんつって。

結局、先のことはまだわかんないってことなんだ。
この先私達がどうなろうが、そんときはそんときの私達が決めるだろう。
たとえこれからどんな男が寄ってきたとしても、今澪の隣にいるのは私なんだから。
澪に見放されるまでは、この気持ちは変えないつもりだ。
これもまた、高校生の戯言かな。何でもいいや。
今はこの手を離すつもりは無いんだし。
だからまぁ、今の私が言えることは。

『王子様よ、国に帰ってください』

END



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