「もし澪が助かるなら、私が犠牲になってもいいかな」
澪の部屋で地震のニュースを眺めながら二人で勉強していた時だった。
「なんだよ、突然」
「そう思っただけ」
「そう思っただけ」
日に日に増える犠牲者と、その家族の声を聞いて素直にそう思った。
と、ピッとテレビが暗くなった。振り返ると、澪が怖い顔をしてこちらを睨んでいた。
と、ピッとテレビが暗くなった。振り返ると、澪が怖い顔をしてこちらを睨んでいた。
「どうして、二人とも助かることを考えないんだよ」
あ・・・。
澪、怒ってる。すごく怒ってる。耐えられなくてノートに視線を戻す。少したって、澪のノートから鉛筆を走らせる音がして私も頭がぐしゃぐしゃなまま問題に取り掛かる。
澪、怒ってる。すごく怒ってる。耐えられなくてノートに視線を戻す。少したって、澪のノートから鉛筆を走らせる音がして私も頭がぐしゃぐしゃなまま問題に取り掛かる。
ポツッ。
視線だけ上げると、頭を下げた澪が、右腕でノートが濡れたところを隠してた。でも、次から次からこぼれ落ちて、計算式がにじんでいく。
「いやだよう・・・・・。りづがいなぐなっだら、やだよぅ・・・!」
「ご、ごめんっ!」
「ご、ごめんっ!」
右腕で両目を隠すようにして泣き出した澪を慌てて抱きしめた。
「ごめん、私が悪かった。本当にごめん。いるから。ちゃんと、いるから」
「そんなに、私はだよりないのか?もっと・・・信じでよう・・・!」
「そんなに、私はだよりないのか?もっと・・・信じでよう・・・!」
こんなに澪を不安定にさせてしまった自分への怒りと、彼女の涙を見て動揺した自分の不安が、抱きしめる力を強くさせる。
そうだ、澪の涙を止めるのは私の役目だ。燃え上がるように熱い彼女の体を抱きしめて私は伝えた。
そうだ、澪の涙を止めるのは私の役目だ。燃え上がるように熱い彼女の体を抱きしめて私は伝えた。
ありがとう、澪。ありがとう、澪。
終わり。