なあ、律。
私はお前と出逢わなければ、苦しまずに済んだのかな?
なあ、律。
私達が生まれてこなかったら、私は痛みを知らずに済んだのかな?―――
季節は夏。煮えるような熱が降り注ぐ。
この暑さは皆に平等なのに、なんで痛みは平等ではないのだろう。
この暑さは皆に平等なのに、なんで痛みは平等ではないのだろう。
律「おっはよ!みぃお!」ドンッ!
背中に柔らかい衝撃、愛しい体温。
澪「わわっ!もう、暑いから離れろよ」
嘘。何なら一生離して欲しくない。
律「ちぇーっ澪しゃんったらつれねーの!」
仕方ないじゃないか。素直になれないんだ。
澪「ほら、行くぞ?遅刻しちゃうよ」
ああ、この時間がずっと続けばいいのに―――
教室はいつも通りの賑わい。わいわい、がやがや。
だけど私の心中は少し違う。いらいら。むかむか。
だけど私の心中は少し違う。いらいら。むかむか。
律「おっはよー!皆の衆!」ガラッ
律は元気いっぱいに、私にとっての地獄の門を開ける。
モブA「おはよ、りっちゃん」
律「おう!おはよ!」ニカッ
モブB「秋山さんも、おはよう」
澪「ああ、おはよう」
律は皆の中心。笑顔を振りまくのは当然。もう慣れた。
問題はここから。
問題はここから。
律「ゆーいー!おっはよー!」
あぁ
唯「むぉっ!おはようごぜーます!りっちゃん隊員!」ビシッ!
つらい
律「苦しゅうないぞ!唯隊員!」ビシッ!
皆への挨拶を済ませると、いつも律はあの子のもとへ行ってしまう。
「赤」い糸で結ばれたあの子のもとへ
何度もその糸を断ち切ってやろうと思った。
でも敵わなかった。糸は強かった。
でも敵わなかった。糸は強かった。
紬「おは…澪ちゃん?どうかした?」
澪「ん…なんでもない。おはよう、ムギ」
唯「ふふっ!おはよう!みおちゃん、ムギちゃん!」
律「そーんな怖い顔してると可愛い顔が台無しでちゅよぉ~?」ケラケラ
澪「うるさい!」ポカッ
「あはははは!」
ああ、はたから見れば私が律と一番近しく見えるだろう。
でも、違うんだ。
でも、違うんだ。
私と律の間にあるのは、「青」い糸なんだ。
涙の青、悲しみの青。
勝ち目などなかったのだろうか
でも…でもいつか、お前たちの「赤」い糸を切り裂いてやる
そして、私の「青」い糸を紅く染めてやる
なによりも真っ赤に。私にはその義務がある
だって、私の方が律を見てるもの
待ってろよ、律。
私があの忌々しい糸をほどいてやるからな。
愛してるよ……律
- ネタ元は恋路ロマネスクか -- 名無しさん (2011-03-02 23:54:35)