けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

SS34

最終更新:

mioritsu

- view
だれでも歓迎! 編集

澪に、言ってしまった。
本当は、ずっと黙っているつもりだった。
でも。でも、澪に『ずっと、友達だ』って言われた途端、歯止めが、効かなくなった。

「友達なんかやだ…!友達なんて、イヤなんだよ…わかってよ…!」

泣きながら抱きついて、そういった私。
澪は、何か言うでもなく、支えるでもなく、ただ、呆然としていた。
そりゃあ、そうだよな。普通、ありえないし。

言ってしまったことに気が付いて、慌てて軌道修正をしようと思っても。
うまく頭が回らないし、涙も止まらなくて。
…もう、どうしようもなかった。


「あー、あの時の私の、ばか」

あの後、どうやって澪と別れて。
どうやって家に帰ったのかすら、思い出せない。
ただ、気がついたら部屋のベッドで、制服のまま寝ていた。

「どんな顔して、会えばいいんだよ」

…もう、ダメかもしれない。
澪の近くに、居られなくなったら。
話しすら、してくれなくなったら。

そんな考えが、頭の中をグルグルしていた。
聞き覚えのある足音が、聞こえるまでは。


「澪?」
「足音、忍ばせたつもりなんだけどな」
「特別製の律イヤーをナメないでいただこう」

なんで、来たんだ。とか、頭はパニックを起こしてるのに。
いつもどおりの会話ができるのは、澪がいつもどおりだったから。
あんなことがあった、後なのに。

「あのさ、律」

多分、さっきの、話だろうな。
できれば、聞きたくない。
でも、もしかしたら。なんて淡い期待が胸の中で暴れる。

「あの後、考えてたんだ。ずっと」

ぽつりぽつりと話す澪。
澪はゆったりとした口調で話してるのに、私は緊張しっぱなし。なんか、変だ。



「律の、あの言葉の意味。いくら考えても、良くわかんなくて。だから」

一度言葉を切り、まっすぐにこちらを見つめる澪。
視線が、そらせない。

「聞きにきた」

言うのは、今しかない。それは分かってる。
いざ言うとなると、怖くて。中々言葉が出てこない。
…でも、言わなきゃ。

「み、お」
「なんだ?」

名前すら、うまく呼べない。それでも、澪は優しく返事をしてくれた。
それだけで、心の重荷がすっと抜けた気がした。

今なら、言える。

「私、澪のことが、好きなんだ」

澪の目を、しっかりと見つめ返す。

「友達じゃなくて、恋人として、側にいたい」

「だから、付き合ってください」

言い切った。
澪は、最後まで、ちゃんと聞いてくれた。
もうそれだけで、いい気がした。

少しの、沈黙。
そして。

「私、さ。あんな歌詞書くけど、恋とかしたこと、ないから、さ。この気持ちが、律と同じかわかんない」
「でも、でもね。律のことが好き。他の人と同じ好きじゃなくて、律が好き」

曖昧な言葉だけど、今の私にはそれで、十分。
拒否されなかっただけで、今は、いい。

「そんな私でも、いい?」

ダメなんて言うわけ、ないだろ。
だから。

「もちろん」



こうして、私たちは「友達」ではなくなった。


おわる。


名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー