最近の律はバイトばかり。
最近の律の口癖は『澪をどこでも好きな所に連れてってやるから』。
最近の律の口癖は『澪をどこでも好きな所に連れてってやるから』。
最近の私はため息ばかり。
最近の私の口癖は『ばかりつ』。
最近の私の口癖は『ばかりつ』。
私たちは世間では日陰者。
私たちは同性の恋人同士。
私たちは同性の恋人同士。
ある日律が言った。
『みんなが私たちのことを知らない所に行こうか』。
『みんなが私たちのことを知らない所に行こうか』。
私は言った。
『きっと寂しいよ』。
『きっと寂しいよ』。
律は笑った。
『そうだな』って寂しそうに笑った。
『そうだな』って寂しそうに笑った。
『じゃあ少しだけ、ほんの少しだけ遠くに旅行しようか』って。
私たちはその日約束した。
私たちはその日約束した。
私たちは高校生。
私たちにできることは少ない。
私たちにできることは少ない。
少ない時間の合間を縫って律は働いた。
私には『お金はいいから私のこと待ってて』って。
私には『お金はいいから私のこと待ってて』って。
私は律にバイトを禁止された。
私は代わりに律の学校の仕事を助けた。
私は代わりに律の学校の仕事を助けた。
そのうち一緒にいる時間がほとんどなくなった。
私はもう待つことしかできなくなった。
私はもう待つことしかできなくなった。
律には眩しい口癖。
私には暗い口癖。
私には暗い口癖。
ある日『もういいよ、律と一緒にいられればそれだけで』って。
律は『それじゃあ私がだめなんだ』って。
律は『それじゃあ私がだめなんだ』って。
『私じゃ澪を本当の意味で幸せにはしてあげられないから』って。
『せめてこれぐらいはさせて欲しい』って。
『せめてこれぐらいはさせて欲しい』って。
律は泣いていた。
律を抱きしめた。
律を抱きしめた。
しばらく時間が経って律が泣き止んだ。
目はまだ真っ赤だった。
目はまだ真っ赤だった。
『今から行こうよ律、私の行きたいところ』。
何も持たずに電車に乗った。
一時間と少し、揺られた。
一時間と少し、揺られた。
季節は秋になっていた。
海辺には誰もいなかった。
海辺には誰もいなかった。
『本当にこんなところでいいのか』って。
『律と私二人だけの海だから』って。
『律と私二人だけの海だから』って。
子供みたいな遊びばかり。
二人ではしゃいだ。
二人ではしゃいだ。
帰りの電車は無口。
ずっと手を繋いでいた。
ずっと手を繋いでいた。
律はバイトをやめた。
一緒の時間が戻った。
一緒の時間が戻った。
私は幸せだから、律。
大好きだよ、律。
大好きだよ、律。
おわり。
- なんだか切ない。 -- 名無しさん (2013-03-12 06:25:55)