けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

告白【第2話】

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mioritsu

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「すっかり遅くなっちゃった」

夕暮れも色濃い、午後五時。

帰りのチャイムの響く廊下を足早に渡る。
日直の手伝いが思いのほか手間取ってしまった。
今日遅れる事は誰にも伝えてない。

私が行かなくちゃ軽音部はお茶も無ければお菓子も無い。

…なんて。
それは少しオーバーだけれど。
…だけど。うん、そう。
軽音部のみんなは私の紅茶ぐらいは待っているかもしれない。

「本当、何部か分からないわね」

ムギの顔に自然と笑みがこぼれた。

こういうのは今までなかったから。
頼られる、とはまた違うかもしれないけれど、自分を必要としてくれる軽音部が今の私には本当に居心地が良くて好きな場所だ。

手に持っている袋からはクッキーの甘い匂い。
作業疲れの今の私にはたまらなく香る。

早くみんなとお茶をしよう。




部室。
着くと、ドアの前には澪ちゃんが立っていた。
ノブに手を掛けたまま。
どこか不自然な態勢で固まったようにその場所に居た。

「………澪ちゃん?どうしたの、入らないの?」

声をかけるとびっくりしたように肩が跳ねた。
こちらを振り返ったその顔に、私がびっくりした。

澪ちゃん、いつもと……違う?
潤んだ瞳と高潮した頬。

……泣きそう…?

「……み、おちゃん…?」

動揺した私が彼女に駆け寄る。
すると、よろりと澪ちゃんの顔が私との距離を更に縮めてきた。

「………え?」

彼女の端整な目が、鼻が、輪郭が、一気に私の目の前に来た。

「……っっ!!??」

いきなりのことに心臓が大きく脈打つ。

距離が近い。

初めて間近くで見る澪ちゃんの顔はこちらが息を飲むほど整っていた。
大和撫子ってきっとこの人みたいな事を言うんだ。
正真正銘の、日本美人。

その顔が私の肩に乗っかった。

動機が。
止まらない。




「……最悪だ…。私…」

肩口でそう呟いた彼女の吐息は、妙に温かくて、私の肌まで熱を持たせた。

首元がゾクゾク、する。

飛びつかれた衝撃で手に持っていたクッキーは下に落ちてしまっていた。

散らばったそれを踏んでしまった様で辺りにはかなり強い甘い香りが広がった。

「ムギ……私……わた…っ…」

泣いてる。

澪ちゃんの少し低音の声が耳もとで響く。

首から耳から背中へ。
ゾクゾクちりちりと、衝動が走る。


その衝動に任せて、気がつくと私は彼女の唇に自分の唇を押し当てていた。


何で?とか、どうしたの?とか、きっと聞かなきゃいけない事はいっぱいあった筈だったのに。

頭がいっばいだった。


だから。

ドアが開いていて、りっちゃんがそれを見ていたなんて。
澪ちゃんが名前を呼ぶまでは私は気づきもしなかった。


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