けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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今年も、もう終わりか。




今年も唯の家で、皆でコタツに入ってトランプをしていた。
梓とムギと唯はうさ耳を付けていて、私と澪は何も付けていない。
こんないつも通り、例年通りのことが今日も起こっている。



そして、ババ抜きだ。
毎年カウントダウンまでのこの数時間は、トランプをしている私たち。
大富豪、七並べ、神経衰弱。さまざまな遊びをした。
結局残りの三十分、最終決戦はババ抜きとなったのだ。


「うわっ、またババだあー!」
「唯先輩そういうのは言ったらダメですよ」
「へっ? なんで?」
「ポーカーフェイスって言ってね、表情を崩さないのよ。
 そうすれば、次の人はあんまり危機感を感じないでしょう?」
「つまり、ムギちゃんが急に顔を怖くさせたらババがあるってこと?
 で、澪ちゃんは気をつけなきゃいけなくなるよね」
「そう。そういう風に相手にばれちゃうから、言ったり表情に出したらダメなの」
「なるほどねー」


ちなみに順番は、唯→梓→ムギ→澪→私→唯…と続いていく。
さっきまで私はババを持っていたのだけど、唯がさらっていった。
私はポーカーフェイスだとしても、笑ってしまった。


で。
ババ抜きは続いて。



私と澪が残った。




時刻は二十三時五十分。

私と澪は、お互いに睨み合う。



「律……今年もあと十分しかないからな。さっさと終わらせようか」
「私を舐めるなよ。ババ抜きの達人とは私のことだ」
「捏造するな。じゃ、私からだな」


実は、私はババを持っていない。ということはババは澪が持っている。
澪はこういう局面だと滅多に表情は崩さない。
緊張すると慌てる澪だけど、いかんせん今澪は追い詰められている。

なぜなら。

負けたらうさ耳の刑だからだ。
ちなみに梓とムギと唯が全員それを付けているのは、負けたからである。
神経衰弱は唯が、大富豪はムギが、七並べは梓がそれぞれ負けた。
つまりここまでずっと私と澪は勝ち続けてきたのである。
昔からこういうトランプは二人でよくやったもんだしなあ。

だから澪はうさ耳を付けたくない一身でやっている。
つまりリスクがあるので追い詰められているから強いのだ。
くっそー、簡単に表情を崩さないし視線も泳がない。

しばらく一進一退だった。

私がババを引く。澪がにやける。私は背中の後ろで混ぜて澪に向ける。
澪が今度はババを引く。私がにやける。澪は背中で以下略。
こんな風にババを引いては戻ったり、ババじゃなくとも数字が揃わなかったり。
そのままずっとやっていた。おい、時間がねえぞ。


「なかなか決まりませんね……ふああ」
「二人ともトランプ強かったもんねー……ふああ」
「さすがりっちゃんと澪ちゃんね――ふああ」


三人がそう漏らした。だって澪強いんだし。
澪が表情を崩すのは、私がババを引いた時の勝ち誇った顔のみ。
それ以外は、ずっとどこを見ているのかわからないという感じだ。
どうにかして、澪の表情を崩せないかなあ。


――澪の表情か。




表情を崩すのは、澪が集中を切らさなきゃダメだ。

その方法は、私が一番よく知っていた。



「澪ー」
「なんだよ」




「好きだよ、澪」


「ぶっ!」


澪が吹いた。

そして震えながら下を向いてしまう。

よしきた。さっきまでかなり集中していた澪を崩したぞ。
これで少しは表情が変わりやすくなったり、綻びが出るかも!

澪はトランプを持っていない方の手で口元押さえて顔を上げた。
顔はもうこれ以上ないというくらい真っ赤であった。


「ば、馬鹿……お、お前は、突然、な――」
「だってー、言いたかったんだしー」
「は、早く引けよ馬鹿律……!」
「へいへい」


きた!

今、澪は微かに一番左端を見た。ほんの一瞬だけど見逃さなかったぞ。
私はかなりの自信を持って、左端ではないカードを引き抜いた。

よし、ダイヤの3! これで!
あと一枚になった。
つまり、これを澪が引けば――。

澪は、真っ赤な顔で悔しそうに、それを引いた。


「あっがりー!」
「あ、お前! さっきの、私の集中を切らすためだったんだな!?」
「へへっ、私の方が一枚上手だったなー」
「ず、ずるいぞ律。あ、あんなの卑怯だろ……」
「澪の集中切らす言葉なんていくらでも知ってんだよ」


勝ったー!

別に罰ゲームが怖いとか、そういうのはなかった。
ただ漠然と澪に勝ちたいなーって気持ちがあったからスッキリした。
うーん、と背伸びする。澪はがっくり項垂れている。


横で付けっぱなしのテレビでカウントダウンが始まっていた。



「おっ、いよいよだな」


振り向くと、唯と梓、ムギの三人は思いっきり寝ていた。


「ってまた寝てるし!」


私と澪の戦いに途中から何も口出ししないので、予想はできてたけど。
でも、やっぱりいざって時にこうやってのんびりなのが軽音部らしいかな。
私は寝ている三人を見つめながら、笑った。

視線を戻す。


横で下を向いている澪。
ちょっと卑怯すぎたかなやっぱり……。
私は澪の肩に触れて、やれやれと思いつつ声をかけた。


「澪ー、悪かったって。ほら、もう来年になっ――」



言葉を言い終える前に、澪が私に抱きついた。


勢いがついていて、私は思いっきり後ろに倒され、背中を打つ。



これは、押し倒された、のか?


倒れて上を向いている私。四つんばいで見下ろす澪。
その表情は、不服そうだけど、まだ真っ赤に染まっていた。
微妙に、泣いているようにも見えた。


「――律」
「……な、なんだよ」
「さっきの言葉……私の集中を切らすためだけの言葉、なのか?」




『好きだよ、澪』


「――」



澪が私の言葉で驚いたり、恥ずかしがったり、照れてくれたり。
そんな風な反応をしてくれる言葉なんて、限られてるから。




「そのためだけ、なわけないだろ」


私は右手で澪の頬に触れた。
熱かった。




「ずるい……好きだ、なんて言われたら、どうしたって律には勝てない」
「それを知ってて言ったんだよ。私に好きって言われたら――。
 私がそう言えば、澪は簡単に恥ずかしがって痺れちゃうんだからさ」


今までだってそうだった。
想いを伝えれば。好きだといえば、愛してるといえば。
澪は簡単に顔を真っ赤にさせて、何も言えなくなって、照れて。


「律が――律が悪いんだからな」
「ああ……悪かったよ」
「好きだよ、律」
「もう何回も言われてるから、そうそう照れないぞ私は」
「馬鹿律……」


澪は笑った。

そして、そのままキスをする。
舌を絡ませ始めたのと同時に、テレビが叫んだ。


『あけましておめでとうございまーす!』







行為を終えたら、一時半だった。


二人で声を上げまくったり喘ぎまくったりしてしまった……。
というか澪がまさかあそこまで暴走するなんて。
よく三人が起きなかったもんだ。


「ったく、澪激しすぎだろ」
「律が悪いんだぞ。あんなこと言ってその気にさせたから」
「……でも、まあ、いっか」


私と澪はしっかり服を着て、コタツに入る。
ほかの三人の寝息。起こさないようにしなきゃな。

唯と梓とムギが、寄り添って寝ていた。


「……」
「律?」


いいよな。別に。


「澪」


まだ火照ったように顔が赤い澪。
私もドキドキしながら、告げた。


「その……い、一緒に、寝ないか?」


澪は、キョトンとする。
でもさっきよりは冷静に、笑った。


「いいよ。律は甘えん坊だな」
「う、うるせ」


澪は自分のところから一旦出ると、私の隣に入った。
コタツの布団は少しだけ短いけど、十分暖かかった。

私たちは寄り添うように寝転んで、見つめ合う。



「あけましておめでとう、澪」
「あけましておめでとう、律」


もう一回だけ、キスをして。


新しい一年を祝った。



「今年もよろしく」――!


  • ホントに寝てたのか?
    約一名鼻血だしてなかったか? お二人さんよ。 -- 名無しさん (2012-07-18 23:26:03)
  • 出してたと思うよ〜絶対っ -- 名無しさん (2012-07-19 11:11:54)
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