けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

SS156

最終更新:

mioritsu

- view
だれでも歓迎! 編集

12月25日。今日はクリスマスだ。
街は色とりどりの電飾で綺麗にライトアップされ、プレゼントを待ちわびる子供達と愛を育む恋人達で賑わっている。
しかし、私は全くそんな浮かれた気分にはなれなかった。

「一人で過ごすクリスマスってこんなに寂しいものなのか…」

大学を卒業してから東京の企業に就職した私は、上京してアパートで一人暮らしを始めた。
以前の私なら一人暮らしをするなんて到底考えられなかった。
だけど律やみんなのおかげもあってか、大学生活の4年間を通じて私は成長した。
なんだかんだで都会での一人暮らしにも慣れて、そこそこ充実した毎日を送っていた。
でも、クリスマスに家で一人っきりという初めての経験は中々つらい。

そうか…私、高校1年の時から大学を卒業するまでクリスマスはいつも軽音部のみんなと過ごしてた。
律とは小学生の時からだから軽く10年くらいは一緒にクリスマスを過ごしてきたことになる。
あまりに当たり前過ぎて毎年気にしてなかったけど、みんなと過ごしたクリスマスは本当に楽しくてかけがえのないものだった。
それなのに、いきなり一人っきりのクリスマスだもんな…

「はぁ…。楽しかったなぁ…」

みんなでプレゼントを交換したりしたっけ。さわ子先生に当たるプレゼントはいつもひどかったよなぁ…
ムギの一発芸もすごかったし、憂ちゃんの作る料理もおいしかったよな…
それに何よりも律が楽しそうに笑っていた顔が忘れられない。

私達は大人になった。だから、もうあんな風にふざけたり、馬鹿騒ぎしたりすることはできないんだろう…
ワンルームの狭い部屋でただテレビの音だけが賑やかに鳴り響いている。
会社帰りに何となくコンビニで買ってきたショートケーキも全く食べる気がしない。

もう一度あの頃に戻りたい…もう一度みんなと一緒に騒いでクリスマスを過ごしたい…

「…っ……」


あれ…?私、泣いてる…?
なんで…?
一人っきりで寂しいから?

馬鹿だな、私…

せっかく一人暮らしに慣れてきてしっかりしてきたと思ってたのに…

今更ホームシックにかかるなんて…

―――こんなんじゃ駄目だ

分かってるのに涙が全然止まらない。
なんで…だよ…

やっぱり私、一人じゃ駄目なのかな…

律…

「…ううっ……りつぅ…りつぅ…」


―――ぴんぽーん


「……へ?」


―――ぴんぽーん

突然、部屋のインターホンが鳴った。
な、なんだ…?
誰だよっ…こんな時間にっ…



どんどんどんっ!!!
「ひっ!」

「おい!こらっ!澪っ!いるんだろっ!あけろっ~!」

え…嘘だろ…
この声って…

私は驚きと信じられないという気持ちとで玄関の扉を開けた。

「じゃじゃ~ん!りっちゃんサンタだぞ~!澪~、ひさしぶりー!」

夢…じゃないよな…
扉の前にはサンタクロースのコスチュームに身を包んだ律が満面の笑みで立っていた。

「あれ…?澪…もしかして泣いてた?目が真っ赤だけど…」

あ…しまった…

「あ~!!もしかして澪しゃん、一人で過ごすクリスマスが寂しすぎて泣いちゃってたのかな~?」
「そ、そんなわけないだろっ!!馬鹿っ!!それよりもなんなんだお前!こんな時間にいきなりっ!」
「だからさっきも言ったじゃん。私はりっちゃんサンタ。一年間いい子にしてた澪にプレゼントを持ってきたってわけ」
「なんだそれ!?意味がわから…
「ちょっと澪!寒いから中に入れろよ!」

律は私の横を通り抜けて部屋の中へするりと入り込んでいった。
そんな…嘘だろ…
私はまだ自分の目を疑っていた。でも、部屋の中に勝手に入り込み、勝手にくつろぎ始めているあいつは律以外の誰でもなかった。

「澪~、このケーキすげーうまい!」
「うわっ!なに勝手に食べてるんだ!」

とりあえず鉄拳制裁。

「いたい…澪ぉ…」
「…ったく。…ていうか全然意味が分かんないからさ。ちゃんと説明してくれよ。それになんなんだよそのカッコ…」

私の中のセンチメンタルな気分は突然の来客によって吹き飛ばされた。
それどころか、久々に見る律があまりに変わってなくて…
私は弾む気持ちを出来るだけ抑えて律に問い詰めた。

「ん…、まぁさ…。なんて言うか、久々に澪の顔が見たくなったから…かな…」
「え…」
「へへっ!…ていうか私達毎年一緒にクリスマス過ごしてたじゃん?それが突然無くなるのもなんか……な?」


あ…
律も私と同じこと思ってたのか…
あの気持ち…私だけじゃなかったんだ。

「律…実は私もそう思ってたんだ。…律が来てくれて良かったよ」
「あ!やっぱり!…澪、寂しくて泣いてたんだ!?ふふっ、かわいいなー、澪はー!」

…なんか無性に腹が立つ。
…こいつには何でもお見通しってわけか。

でも、本当に良かった…。律が来てくれて…。

「そうそう、澪!それで、りっちゃんサンタからのプレゼントがあるんだけど」
「えっ、なに!?」
「これ」

律が嬉々とした顔で何かを差し出してきた。
こういう場合、まともなプレゼントであった試しがないけど…
…とりあえず乗ってあげることにした。私はやけに綺麗に包装された紙を開けた。

「なんだ、これ…」
「あ、これウサミミとバニースーツ。ほら、来年うさぎ年だから澪に着てもらおうと思って!」
「お前はいつからさわ子先生みたいになったんだよ…」
「それに寂しがり屋の澪しゃんはうさぎみたいにかわいいしね!」
「あほかっ!」

鉄拳制裁。

「いたー…」



―――ぴんぽーん

律と少し話をしているとまた家のベルが鳴った。まったく今日はいったいなんなんだ…

「…ったく誰だよ、こんな時間に!変質者とかじゃないだろうな…」

いや、お前もさっきこんな感じで来たんだぞ…
でも本当に誰だろう…?



「えへへー、私も来ちゃったよ~!澪ちゃーん!」
「どうも、こんばんわ澪先輩律先輩。遅くにすいません…」
「まんぼうのまね~~」

…ってなんで唯と梓とムギまで来てるんだよ!

「ああー!そういえば私が誘っといたんだったー!これで全員集合だー!」

やっぱり律の仕業かよ!
そういうのは普通私に連絡してからやるもんなんじゃないですか…
それにワンルームのこの部屋じゃちょっと狭いし、あんまり騒ぐと苦情も来かねない。

…でも今日は怒るのはよしておこう。これも律なりの私への気遣い…だよな?
多分。

「おい、澪。澪は一人じゃないからな。私がいるし、それにみんながいる。ずっと一緒だぞ!」
「うん、わかってるって」

ありがとうな、律…。



「律先輩なんなんですかその衣装気持ち悪いです…」
「あずにゃーん!こんなところにうさみみがあるよ!これつけて~!」
「まんぼうのまね~~」

おわーりーめりーくりー


名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー