けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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クリスマスイヴ。
それは恋人たちの夜。
夕方、既に街は幸せそうなカップルで溢れていた。
私も年頃の女の子ではあるはずなんだけど、そんな世界とはまるで縁のない所にいる。
そう、まるで縁のない所。
恋人はおろか、好きな人すらもいない。
好きな人すらもいない。
…いないんだ。


「はぁ…」

「ん?どうした律」


思わず漏れたため息に、隣を歩く幼なじみが声をかける。
今日は二人で買い物に来ていた、その帰りである。
時間が経つにつれ増えていくカップルたちを前に会話は自然と無くなっていた。
私の様子を伺う彼女の方に視線を移す。
私とは違ってとても美人な幼なじみ。
私たちは女子高に通っているが、もし共学だったなら男が放っておくはずがなかっただろう。
いや、今ですら恋人がいないのが不思議なくらいだ。


「なんでもない。澪は…」

「ん?」

「その…好きな人とかいないのか?」

「え…?」

「ほら、クリスマスだろ?私はともかく澪は人気あるから。だから、好きな人と過ごしたりしないのかなってさ…」

「………」


不機嫌な表情を浮かべて黙り込む。
まずかったかな…。


「ご、ごめんみ」

「律は」

「え?」

「律は好きな人、いるのか?」

「私は…」


好きな人なんて…。


「…いないよ」

「…そうか」


私たちはその後、再び黙々と歩き続けた。
やがて彼女の家の前へ到着する。
ここでお別れだ。


「じゃあ、澪」

「ん…」


まだどこか不機嫌な様子だ。
余計なことなんか言わなきゃよかった。


「澪か私が男だったらよかったかもな」


せめて機嫌くらい直してもらおう、そう思っておどけてみせる。
でも本当は…。


「………」


また黙り込んでしまった。
ここは素直に謝っておこう。


「えっと、ごめんな、澪。変なことばっかり言っちゃって」

「…いいよ。それより律、上がっていかないか?」

「え…あぁ、うん」


機嫌はまだ直ってないみたいだ。
一体どういうつもりなんだろう。


「じゃあ律、私はリビングの電気つけてくるから先に部屋行ってて」

「あれ、誰もいないのか?」

「ああ。二人で泊まりがけだって」

「ふーん…。分かった」


単に寂しかっただけなのかな。
私は言われた通り、彼女の部屋へと向かう。
それにしても暗い。
ついさっきまで夕方だったっていうのにもう真っ暗だ。


「えっと、部屋の電気は…っと」

「律」

「あ、澪。電気のスイッチどこだっ」

「律っ」


背中から包まれる感触。
何も見えない分、その感触だけが強く。


「どうしたんだよ?澪…」

「律は…」


包む腕に力が入る。


「律は、やっぱり、男の子じゃないとだめか?」

「え…?」

「女の子同士じゃ、だめか?」

「何…」

「…私じゃ、だめなのか…?」

「………」


沈黙。
暗闇の中、私を包む感触が震えている。
鼻をすする音が聞こえる。
泣いてる、泣いてる。
本気なんだな、澪も…私も。

私たちはそのまま、お互いの涙が止まるまでそのままだった。
そして、


「本当はさ」


もう抑えてはおけないと思ったから。


「私、澪のこと好きだよ」

「じゃあなんであんなこと」

「…私たちは女同士だから。だからこんな気持ちはなかったって思いこもうとした。それに…」

「?」

「…澪は美人だししっかりしてるから、このままいけばいい人と一緒になって幸せになるんだろうなって。それこそ、私なんかとくっついたりした場合なんかよりずっと幸せに」

「………」

「だから」

「律」

「わっ…」


不意に体の向きが変えられ、唇に柔らかいものが触れる。


「え…?」

「ばかりつ…」


キス、された…?


「人の気持ち無視して、人の幸せ決めつけて…!私はそんなのより、律と一緒になる方がずっと幸せなんだからな…!」


顔は見えないけど、多分、また泣いてる。

「みお…?」

「な、ん…だよ」

「私は澪と一緒にいていいのか?澪のこと好きでいいのか?澪も本当に、それでいいのか?」


私を縛り付けていた不安が率直な言葉で溢れてくる。


「それでいい、じゃない。そうじゃなきゃ、嫌だ」

「あ…」


本当に、もう私は私に嘘をつかないでいいんだ。
そのせいで澪のことを傷つけることもないんだ。
多分今よりずっと子供の頃からの気持ち。
ようやくそれを認めてあげることができたんだ。


澪の息遣いを感じる。
私はその方向へそっと手をのばす。
ああ、やっぱりちょっと濡れた感触。
そしてそこから少し下へ手を動かす。
…見つけた。


「澪、大好きだ。愛してる」

「律…私も律のこと、愛してる」


手の位置をたよりに、そっと唇をつける。

「ん…りつ…」

「みお…」


こうしてクリスマスイヴに、私たちは結ばれた。




おわ…らない


「………」

「………」

「そろそろ電気、つけるか」

「あ、そうだな。スイッチってどこらへんだっけ」

「えっと、律からみて左側の壁にあるんだけど。ちょっとさぐってみてくれないか?」

「わかった」

「頼むな…」


澪の腕から解放された私は、なんとかスイッチをさぐりあてようと手に全神経を集中させる。


「ん…っと。これかっ」


ビンゴだ。


「うわっ…ずっと暗い中にいたから眩しいなみ」

「そうだな」

「!?」


反射的に閉じた瞼を開くと、なんとそこには一糸纏わぬ彼女の姿があった。


「な、なな、なんで脱いでるんだよ!」

「どうせ脱ぐんだ。ただそれが早いか遅いか、それだけの問題…そうだろ?」

「へ…?」

「律、その、今日泊まっていってくれるよな…?」モジモジ


そこまでしといてなんで今さら恥ずかしがってるんだ。


「えーっと…」

「だめ…か?」ウルウル

「うっ…」


くそっ、上目遣いは反則だ!


「と、泊まっていきます。…クリスマスイヴは恋人たちの夜って言うし」

「こ、恋人たちの夜!?変なこと考えてるんじゃない!」ゴツン

「はぅぅ!既に裸になってる澪にだけは言われたくない!」

「私は変なこと考えてなんかないぞ!」

「じゃあなんだそれは!」

「愛…かな」

トスッ

「変なことばっかり考えてる律には愛を教える必要があるな。うん、変なこと考えてる律が悪い」

「み、みお…?」

「嫌?」

「…そんなわけ…」

「ふふっ…メリークリスマス」


そして私たちは三度目のキスをした。
あとそれから、私は澪以外の所へお嫁にいけない体になった。


「まぁ私が貰うんだけどな」

「みお///」


私たちはとっても幸せです。



おわり。


  • 澪、りっちゃんを幸せにしてやるんだぞ! -- 名無しさん (2012-01-04 03:29:54)
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