けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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だれでも歓迎! 編集

「ねえ、りっちゃんの初恋っていつなの?」
いつもの部室でティータイムを過ごしていると、急に唯が問いかけてきた
「・・・はい?」
天才的才能と極度の天然を兼ね備えた唯も、やっぱり普通の女子高生
恋愛の話が好きなんだろうな。
唯の向かい側からはムギが口には出さずとも、
是非教えてくださいと言わんばかりに輝いた目でこちらを見つめてくる
そして私の向かいに座った澪は・・・私と目を合わさず、外を見ている
と思えば、チラチラとこちらに視線を向け、なにやらそわそわと
わかりやすいなあお前・・・
初恋・・・私の初恋か。
「ああそうだな・・・よーく覚えてるよ」
次の瞬間、思い切りイスを鳴らしながら転びそうになる澪が目に入る
流石は万能澪しゃん。リアクションの方も一流ですのね・・・
そんな澪を見て見ぬふりでやりすごし、続ける
「楽器屋で今のドラムを見つけたときの感覚・・・あれはまさに初恋だよなあ」
なんじゃそりゃっ!!
これまた口には出さずとも、そう伝わってくるようなリアクションをとる澪、ムギ、唯
バカやろー、初恋の相手なんて簡単に言うわけないだろ
「りっちゃんそういうのなしだよー」
「じゃあ唯は初恋はいつなんだよー」
「私は・・・ギー太一筋ですから!!」
こっちこそなんじゃそりゃ!だよ。
そのあとも唯とムギによる尋問は続く。まあムギは尋問というより、視線での攻撃だったかな
結構普通に問いただされるよりも効くなあ。体が震えるようだった・・・・
澪は相変わらずソワソワしてるし・・・・
そのあとはなんとかお茶を濁し、なんやかんや練習から下校への流れに持っていった。
そこまでしてでも守りたい秘密なのかと問われれば、はいそうですと即答する
それだけ大事なんだ。私の初恋は・・・・

あれは、もう何年前になるんだろう
風が肌に突き刺さってくるような感覚を覚えるほど寒かったある日の出来事だった



「寒いねえ・・・澪ちゃん。」
「そうだねりっちゃん・・・」
知り合ってからもう一年は経っていたか。私と澪は、毎日のように一緒に下校するようになった
まだクラスやみんなの前では大人しかった澪も、私にだけは心の底から接してくれるようになっていた
ツッコミの方は身につけるのはまだ先の話なんだけどね・・・

その日、私は早朝日が出ていて比較的暖かかったので、うっかり薄着で学校に来てしまっていた
下校時間になると、日はすっかり傾き、雲までかかりはじめ、寒さは凍えるほどにまでなっていた
「ういー・・・ハックシュッ!」
「り、りっちゃん!大丈夫?」
いくら健康体の私とはいえ、寒空の下に薄着で晒されれば体調も崩れてくる。
そのうち鼻が止まらなくなり、体が震えてきた。
「ううー・・・ぶるぶる」
「り・・・りっちゃん・・・凄い震えてる・・・あわわ・・・どうしよう」
自分のことでもないのに、澪は世界が終わったかとでもいうような不安な表情を浮かべていた
根は優しいんだよ。あの暴力妻もさ・・・・
「あー・・・ホントに寒い・・・風邪引いちゃうかもしれない」
「た・・・大変!・・・・」
そういうと澪は、私の方に歩み寄ってきた
「り、りっちゃん!」
「?なあに」
「ごめん・・・ちょっとだけ・・・ガマンして!!」
顔を真っ赤にして何を言うか。次の瞬間、そんな疑問は一気に吹き飛ぶ
幼い澪は両手を広げ、私の体を包み込んできた。
「ふぇっ?!」
「よしっ・・・・」
一瞬何が起こったかわからなかった。簡単に言えば、幼い私を、幼い澪が抱きしめているという構図
なんだろうこの状況は。そんなことを思っていると、耳まで真っ赤にした澪が口を開く
「あ・・・あのね。私もともと寒がりでね・・・私が寒いって言うと・・・ママがこうやって抱きしめてくれるんだ。」
「・・・・・」
「だ・・・だから・・・りっちゃんも寒いなら・・・こうしてあげれば・・・・って・・・どう・・・?」
この「どう?」も今になってみるといやらしいように聞こえてくる。私も歪んだもんだ。
と、そんなことはさておき・・・
その抱擁はとても暖かかった。先ほどの寒さはどこへ行ってしまったのかと、探しに行こうかと思うぐらいに
ただ、この体の底から熱さがこみ上げてくるような感覚、温度的な暖かさでなく、体の内側から熱くなってくるような
澪が離れ、途中でわかれ、家に着いてからもその感覚は続いた・・・
次の日から少しの間、澪と接するとき少しぎこちなくなってしまったこと、よく覚えてる
そのころ、その感覚の正体はわからなかった。心臓が飛び出しそうな、その感覚
今になってみると、よくわかる。
そのときの私は、泣き虫で弱虫、私が付いていないとダメだと思っていた幼い澪の、
優しさ・・・いたわりの心・・・そして、芯からの強さを見たような気がした。
…ここまで言えばわかるかな?そう・・・・惚れちゃったんだよ




「なあ律・・・・」
「うーん?なんだあ澪」
とりあえず部室から退散して帰路に付く私に
心配そうに話しかけてくる澪。まあ・・・何を聞きたいかはわかるよ。だいたい
「その・・・律の初恋って・・・ほんとはいつで・・・相手は誰なんだ?」
その不安そうな顔やめてくれよう・・・胸に突き刺さってくるみたいだ。
しかし鈍感というか・・・知らぬは罪というか・・・わかんないかねえ。自分で
「うーん・・・仕方ない!耳貸して」
「あ、うん・・・」
少し首を傾けて耳を私に向け、声を聞き逃さないよう体勢を整える澪
その耳に、私は息を吹きかけてやるんだ。
「っふえぇっ!!」
「へっへー、おっしえないよーだ!」
「っこっ・・・このっ・・・律ー!!」


よくよく考えれば、私の初恋はもう6,7年は続いているのかな。その初恋だって、半ば実ったようなものだし
初恋が実るって、素敵なことだよな。私は運がいい

まだ誰にも教えていない 私の初恋の相手

それは誰かって?言わなくてもわかるだろ!

「へへー!澪しゃーん!捕まえてみろー!」
「くのー!!あったまきたぁっ」

暖かかったよ。ありがとう・・・澪


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