けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/10/31(日) 07:13:34

今日は10月31日、ハロウィン。
お化けの仮装をする人がいるから、私はあんまり好きじゃない。
でも、イベントごとが大好きなあいつは、きっとノリノリで参加することだろう。

「みーお!」

噂をすれば。律は、私の部屋のドアをぶち破りそうな勢いで入ってくる。
まぁ、それはいつものこと。ずかずかと許可も取らずに人の部屋に勝手に入ってくるのも。
違うことといえば、犬耳、しっぽ、犬の手足っぽい手袋にスリッパ、そして赤い首輪を付けていることくらいか。
どうして犬なのかはわからないけれども、とても似合っているのでいいと思う。

「狼男だぞー!」

…………犬じゃなかった。でも、どう見ても犬。なんか柴犬っぽい。
っていうか。

「狼男って首輪つけてたっけ……?」
「あれ、なかったっけ。……まぁ細かいこと気にすんな!それよりも」
「お菓子はないぞ」

お決まりのセリフを言ってくる前に答えると、律の目はキラキラと輝きだした。
いうなれば、おもちゃを見つけた子犬……じゃない、子どものような目だ。

「ほっほーう!じゃあ、イタズラ決定ってぇわけだなぁ」

律は、企むように笑いながらゆっくりと近づいてくる。
何をしてくるかはわからないが、このまま黙ってイタズラされてやるつもりはない。
だから、私はさっさ行動することにした。

「律」
「なに?」
「トリックオアトリート」
「へ?」

ぽかんとした間抜けな顔がおかしくて思わず吹き出してしまう。
今日はそういうイベントだろう?私が言ったっておかしいことはないじゃないか。

「だーから、お菓子くれなきゃイタズラするぞ?」
「いやいや、それは私が先に言っ……あ」

どうやら気づいたらしい。
私はお菓子がないことを律がこのセリフを言う前に告げている。
だから律はこのセリフを言うことなくイタズラをしようとしていた。
つまり、『私が先に言った』という返しはできないのだ。

途端に律の顔色が変わった。さてはお菓子、持ってないな。

「で、お菓子持ってるのか?」
「……あ、ありません」

冷や汗をかきつつ、律は小さな声で呟いた。


「そっか」

じゃあ、イタズラだな。

そう言い放った私は、きっと清々しいまでにいい笑顔をしていたに違いない。
私の笑顔に身の危険を感じたのか、私が近づくのに合わせて律は私から距離をとろうとした。
少しの間、私が一歩進めば律は一歩後ずさる。それの繰り返し。
でも、私の部屋はそこまで広くないのであっさりと律は逃げ場を失った。

「りーつー?」
「いや、まて。澪。話しあおう」
「わざわざそんな犬のコスプレしてくるんだから……なぁ?」

壁際に追いやった律の耳元で囁いてみる。
すると、顔は顔を赤らめ私から視線を外してつぶやいた。

「い、犬じゃねーし」

どうみても犬だ。首輪つけてるし。リードがあったら完璧。……うちになかったっけ。ないな、犬飼ってないし。

「どっちでもいいよ。それで……イタズラしちゃうけど、抵抗しなくていいの?」

どう答えても結果は同じだけど。……さぁ、なんて返す?

折角主導権を握れていることだし、とことん律の反応を楽しんでやろうじゃないか。
そう思って、両手で律の頬を包み込み、少し強引にこちらを向かせた。

律は、顔を赤らめてはいるものの、落ち着いた表情をしていた。
恥ずかしがるなり、慌てるなり、ともかく百面相をしてると思っていたから、拍子抜け。

「イタズラしても、いいよ。……でも、その前にお菓子ちょーだい」
「だからお菓子はないって」

さっきも言っただろう、そんな風に言う私を見て、律はそうじゃない、とクスクス笑った。
なんなんだよ、もう。私がイタズラをする方でお前はされる方だって、分かってるのか?

「澪は持ってるよ」

律は一旦そこで言葉を切り、右手の人差し指を私の唇をちょんと当てて、続きを囁いた。

「とびーっきり甘いお菓子」

あぁ、そういうことね。
どうやらまだまだ主導権は律の方にあるらしい。
思わず私は、心のなかでため息を尽いた。

「はいはい分かりました。……でも、覚悟してね」
「えーっと……て、手加減してください」

そんなの、無理。
煽ったのは律だもん、ぜーんぶ律が悪い。




おわる。



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