けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/10/19(火) 01:27:26

体育祭が嫌いだった。

もとより目立つことが嫌だったし。
もしリレーで転んでしまったりしたら血も出るし注目も浴びるし大変だ。
組み体操とか創作ダンスとかで失敗しても客とか仲間内からの視線が痛い。

そして何より 
あいつが目立つ。

「うわーりっちゃんすごーい!!」
「へへ!どんなもんだい!!」
今日は、桜高体育祭。
さっき短距離走の種目が終わったところだ。
「すごいわりっちゃん!1位!」
こいつ…律が1位を取った。
だから今現在律の周りには人だかりができている。
「すごかったよりっちゃん!」
「田井中はえぇー!」
「見た目どおりすばしっこいんだなー!」
いろんなひとにもみくちゃにされてる律。やめろよーなんて言いながら笑顔で接する律。
「あの先輩かっこいいなぁ…」
「ね、ちょっと声かけにいこうよ」
近くで後輩の子たちが騒いでいる。さっきも後輩の子たちが律のことを応援してた。
律も、まんざらじゃなかったみたいだ。

イライラする。律を取り巻いてる私の知らない人たちも、知らない後輩の子たちも、こんなときだけいっつも律にまとわりつく。
ふだんの律は、何ともないってことか。
離れろよ、お前ら…


「澪?どうしたの澪?」
気付くと和が心配そうに私の顔をのぞいていた。
「すごくこわい顔してたわよ」
うあ、顔にでちゃってたのか。いけない。
「次、澪の出番じゃないの?」
そうだった。次の種目には私が出るんだった。
律よりは短いけど、短距離走だったっけ。
はぁ、憂鬱だ。ただでさえ目立ちたくないって言うのに、こんな気分で走ることになるなんて。やっぱり嫌いだ…

「みお~~!!」

あいつの声が聞こえた。
振り向いてみると少し遠くの方で律が手を振っているのが見えた。

「ファイトだぞー!!観客はカボチャだぞー!!」

なんて言ってくれる。
少なくなってたけど私の知らない人がまだいた。私を見てる。
私は律の声を無視し、グラウンドに向かった。

律のばか。こんなときに声かけてくるなよ。
ばかばかばか。


午後の部。
私はグラウンドの端っこに座り込んでいる。
午後の部私の出る種目は、ない。というか無くなった。
さっきのリレーで転んだからな。
すごく目立ってたかも。
誰かの笑い声とかも聞こえたかも。
それから、あいつは私が保健室に行ったら飛んできたりして。
大声で私の名前を呼んだりして。
追い出しちゃったけど。なんでかな。

最悪だ。今日は今までで最も悪い体育祭だ。

…今までといったら、律はどうだったかな。
だいたいリレーに出てほとんど1位とってた気がする。
運動神経でいったら、私もあいつに負けてないはずなんだけどな。
というか勝ってるはずだ。
なのになんだこの差は…もう。
そうだよ、律が悪いんだよ。
いろんな人に声かけてもらって、にやにやして。
体育祭なんて、嫌いだ



「みーおっ」
目の前にあいつがやってきた。
なんだよ、何しに来たんだよ。
「ごあいさつなことですなー澪しゃん」
と、言って買い物袋を突き出した。
「昼飯!一緒に食おうぜ!」
…お前、次の種目も出るんじゃなかったっけ
「あぁ、唯に頼んできた」
見るとちょうど唯が走ってるところだった。あれクラス代表リレーだろ…可哀想な唯だ。
「これで今日のりっちゃんはフリーですわよ」
なんて言ってドスンと隣に座ってきた。
…嬉しくなんか、ない。
「んで?足はもう大丈夫なのかー?」
お前が保健室に大声出して入ってくるほど大けがはしてない。
「うははー、だって心配だったからさ」
なんて笑いながら袋を漁る。
…嬉しくなんか、ないってば。

「あの…田井中先輩!」
と、目の前に今度はさっきの後輩の子が現れた。
「い…一緒にお昼ご飯食べてくれませんか…?」
なんと行動力ある子だろうか。普通今日のうちに誘うだろうか。
私には無理だな。
顔も真っ赤にしちゃって。このレベルだと私なら卒倒してるだろうな。
ほれ、行けよばかりつ。行ってそのにやけ面を不特定大多数の人に見せてあげればいいよ。
この子、ちっちゃくて可愛いじゃないか。
お前より小さいし。それなら身長さで悩むこともないだろ。
私なんかほっといて。そうしたら私も少しは楽になれるかもしれないからさ。
行けよ。





なのに
「ごめんな。こいつが心配だから一緒にいてやりたいんだ。」


なにを言ってんだばかりつ。

さみしそうにその場を離れる後輩に目をやりながら、
「たくよー…これで断るの3回目だよ。心が痛む」
…行けばよかったのに
「はっ、行ってもつまんねー話しかしねーよ」
偏見だろ…酷いぞお前。しかも私が心配だからって…
「嘘じゃねーよ。」
………
「ん?それとも澪は私にいてほしくないのか?」
……そんなことは、ない。よ
「じゃ、食おうぜ」
なんて言いながら私に焼きそばパンを差し出した。
ぺっちゃんこになってるぞ。
「味は変わらないって。私のおごりなんだから文句言うなよー」
なんて言いながらメロンパンにかじりついている。
あんまり食欲は無かったんだけど、食べる。
…ちょっとカピカピしてる…日向に置いてあったのか?
「あはは、まぁそれが一番マシだから勘弁してよ」
今度はおなか壊して保健室いくかもな。
「そんときは、一緒だ。」
…うん…ねぇ、りつ?
「あん?」
…ありがと。


体育祭なんて大嫌いだ。

だから、このままサボってやる。
来年もこいつと一緒に。


END



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