けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/09/16(木) 23:29:21

「澪、キス、しようよ」
「!……い、いやだ…」
「えーなんでだよぉ!なんだかんだで私達付き合ってから一回もしてないじゃん!」
「だだだって…無理だよ…恥ずかしい…」
「ちぇっ、澪の意気地なし」
「うるさいばか律!わ、わたしはプラトニックな関係を築こうとだな…」

といった感じに私と澪は高校生2年生になって晴れて恋人同士となったんだけど、一度もキスをしていない。それどころか手を繋ぐことすらも。もう1年たつんだぜ?
私からアプローチをかけてもいつも拒否されちゃって…ピュアな澪の性格から考えると仕方ないかと思うんだけれど、私も女の子なのだ。こう何度も拒否されると心にくるものがあるなぁ…うぅ。

でもこんな関係も悪くないと思ってしまう自分もいる。もちろん拒否されるたびに胸は痛くなるんだけれどもその後、他愛も無い話をして、一緒にお菓子を食べたり、学校の帰り道で一緒に歩いたり、それだけでも私はすごく幸せだ。
澪が隣りにいてくれるなら、こんな胸の痛みくらいへっちゃら…だろ…
「じゃあ今日はもう寝るか…おやすみ、澪」
「…あぁ…おやすみ、律」
そう言って電気を消し、私はベッドに寝転んだ。澪は床に来客用の布団を敷いて寝ている。…これも恋人同士の距離じゃないよなぁなんて思いながら。澪に聞こえないようにぼそりと呟いてみる。
愛してるよ
返事は返ってこない。まぁ聞かれてたら、澪は真っ赤になって殴りかかってくるだろうから、聞こえてないほうがいいんだけど。
なんて思うと、胸の奥のほうがひやりと冷たくなった。
あぁ、寒い…


数日後、いつも通りに部室に入るとムギが一人で椅子に座っていた。
紬「唯ちゃんと梓ちゃんは今トイレにいってるのよ」
ほう、連れションか。
なんて言ったら澪に怒られそうだななんて思いながら
「澪は?」
「職員室じゃないかしら?さっきさわ子先生に呼ばれてたから…」
あちゃあ、私が一番遅く来たのか。
やっぱあの課題やっとくんだったなぁ。澪に手伝ってもらえばよかった。
「そっか。じゃあみんな揃うまで待ってようか」
と言いつつ自分の席に着く。
ムギも軽く頷くと、お茶を入れてくれるのだろう、立ち上がって準備を始めた。
ふと前を見る。誰もいなくてすごく寂しい感じがした。というか澪がいないからだ。
(…さっきから、澪のことばっか考えてるな私)
私もピュア属性なのかな。澪のこと言えないな。なんて考えていると目の前に紅茶が置かれた。
「ありがと」
ムギは微笑むと今度はお菓子を出し始めた。
今日はロールケーキか。
確か澪は今ダイエット中だったから今日は食べないかもな。
…あーまただ。なんとしても澪が出てきちまう。ったく、いないときくらいいなくなっとけってんだ。
じゃないと寂しいだろ。


30分くらいたっただろうか、いまだムギと2人でお茶を飲んでる。
やばいもう3杯目だ。さすがムギの紅茶。喉が進むぜ。味わってない証拠か…
「遅いね…」
「全く…唯と梓なんていつまでトイレ行ってるんだ?まぁ大方唯がなんかしてるんだろうけれど…」
と言ってムギを見るとキョトンとした顔でこっちを見ていた。
え?なんか変なこと言ったかな…?
「りっちゃん知らないの?」
「へ?何を?」
「唯ちゃんと梓ちゃん付き合ってるのよ」
紅茶の味が吹っ飛んだ。というか吹いた。
えぇぇぇぇぇぇぇうそぉぉぉぉぉぉ!?
「わ、私知らないぞそんなこと!!」
「私だって最近知ったのよ?もう半年前にはもう恋仲だったんだってー♪」
とムギは嬉しそうに言う。うっとりと。まったりと。
なんじゃそりゃ…聞いてないぞ…唯のほうはわからんでもないけど、梓は唯のことむしろ嫌いだと思ってたんだけどなぁ…いや、偏見だったな。
…と、いうことはだ…今、唯と梓は…まさか
「乳繰りあってるわね」
「お前が言うな!すごく卑猥に聞こえるぞ!」


乳繰りあってることはないだろうけど…まぁいちゃいちゃしてんだろうなぁ。
でも梓が唯に甘えてる姿なんて想像できないなぁ…
いや、逆なら簡単だけどね。
「澪ちゃんも知ってるはずよ」
「なんで私には教えてくれなかったんだろ…」
「りっちゃんは口が軽いからって」
「唯も似たようなもんだろ…」
「梓ちゃんが」
中野ォ!!
…けどなんか新鮮だなぁ。いままでそういう話はあんまりなかったからな。女子高だし。
「…で、どこまでいったんだ?」
少し。ほんの少し参考にさせてもらおうと私はムギににじり寄った。
聞く相手間違えてるかもしれないけれど、さすがに面と向かって聞くことはできなかった。
「もうキスはしちゃったって言ってたよ?」
ガッデム。 
先越されてるよ…見かけによらずお盛んだなぁ…
私達が遅すぎるだけなのかもしれないけど、まぁ、それはそれで。
「…もしかしてりっちゃんはまだしてないの?澪ちゃんと」
へこんでいる私を見てムギは言う。察しがいいが、察してくれ…
「ん…まぁ…澪が恥ずかしがってさ…なかなか先に進めず…」
ちなみに私と澪の関係は周知の事実。
ムギは特によく相談に乗ってもらっていた。
…そういえば告白したのも私からっだったなぁ…
「まぁそういうとこがまた可愛いっていうやつだ!うん」
「…そう」
とムギはなんだか真剣な顔つきなった。
特徴的な眉毛も少し釣り上がっている。
え?今度はなんだ?怒らせちゃったかな?
「じゃありっちゃんファーストキスもまだってこと?」
「…そう、なるな…」
改めて自分で言うととても惨めに思えた。
なんだか自分がとても子どもに思えてきてまた胸の奥が疼きだした。くそ、止まれよ。
と、ムギは不意に立ち上がり私の隣…唯の席に座った。
何事?と私が不思議に思っていると、ムギは言った。

「じゃあ私とキスしてみない?」



「……………は?」
意味が、わからん、ぞ?
私と?なんでムギがそんなこと
「深い意味は無いよ?ただお互い初めてだとぎくしゃくしちゃうんじゃない?」
んなこたぁ知らん!
「今のうちに練習しておいたほうが、澪ちゃんを安心させやすくなるんじゃない?」
と。ムギは私の肩に手を置いた。
なんだこの状況。まずい。てかムギ力強ぇ!むしろいてぇ!
「ちょっ…ムギ!?冗談だろ!?」
「冗談よ。だからするの。軽い気持ちでね」
「そんな…わ、私には澪が…っ」
「大丈夫よ。みんなには黙っとくし、秘密にすればばれないわよ。それに」
澪ちゃんが悪いんだしね
そう言ってムギは顔を近づけてきた。
近くで見るととても整った顔立ちをしている。まさにお嬢様といったところだ。今から触れられようとされている柔らかそうな唇も、きっと触れたらとても心地よいのかもしれない。
練習…そうかもな。今のうちに経験しといたほうが、かえってこっちが焦ることもなくなるだろうし、澪をリードさせてあげられるかもしれない。
そう、澪のためになるかもしれない。
だから私は



だから私は拒むべきだと思った。
だって、今こんな状況でも、やっぱりわたしは澪のことを考えちゃってるんだから。
ピュア属性。やっかいだな。
そして私はムギから離れようとムギの両肩に手を置き思いっきり突き飛ばそうと


「りつ!!!!」

して。一番この光景を見られたくない人に見られてしまった。


澪が目の前に立っていた。何で気づかなかったのか。
「…澪!?」
ムギも驚いてばっと私から離れる。
澪は、怒った顔をしていた。最近はあんまり見なくなった本気の怒り顔。
でも今までと違ったのは、これでもかというほど大量の涙を流していたことだった。
胸の奥がまた疼いた。今までで一番痛かった。
短い沈黙。澪の嗚咽が小さく響く。

10秒くらいだっただろうか、しかしとても長く感じられた。
「…嫌だよ…律…」
澪が、涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げて、消え入りそうな声でしゃべっている。
「…ほかの人と、キスなんかしないでよ…だめ…律の…うぅ…恋人は私なんだから…ぇ
ぐ…嫌だよぉ…私から…離れないで…!」
そう言って澪はその場に座り込んでしまった。
澪を泣かせてしまった。馬鹿か私は。
また胸の奥が疼く。さっきより大きい。
「…ごめんムギ…席外してくれ…唯と梓には、今日は部活休みだって…そう伝えてくれ」
私の言葉にムギは少し戸惑ったようだけれど、
何も言わずに部室から出ていってくれた。
扉の前で一度振り返ったけど、やはり何も言わず退室した。
すまんムギ。明日なんかおごる。


よし。私は意を決して澪に近づき
抱きしめた。初ハグ達成。やったね。
澪は一瞬まごついたが、すぐに顔を伏せた。
「澪、キスなんてしてないよ」
「…でも、ひっく…しようとしてた…」
「…ごめんな…澪。ごめん」



今度は1時間くらいたっただろうか。澪が泣きやんだ。
「…落ち着いたか?」
無言。っかぁ…まだ駄目か。しょうがない。もう少し待って…
「りつは」
と突然口を開く澪。まだ声は涙が交じっているようだった。
「うん?」
「私とキスしたいの?」
「…うん」
そう答えるとまた澪は目に涙が溜まり始めた。
「子供だよな…律はいつも私に言ってくれてたのに…」
「…いいんだよ。そんな澪が私は好きなんだから」
「うん、だから、決心ついた。」
「ん?なんの?」
「勝手なこと言うけど…私、律がファーストキス他の人にとられるのやだ。私のだって律以外にあげたくない。だから」




「キスして。律」


あの澪が、言った。
キスをして。なんて。
あの澪がだぜ?
肩組んだだけで引っ叩かれたのに。
ってかファーストキスのくだりから聞いていたのかよ。恥ずかしいな。
うれしくて、しょうがない。
澪は顔を真っ赤にして私を見つめている。
眼に残った涙のせいかとても色っぽく見える。
がんばって、勇気を振り絞ってくれたこの言葉。
返す言葉は、ひとつだった。








「嫌だ」


澪の眼が大きく見開かれた。
あ、泣く。やばい。
その前に言わなければ。
「澪からしてほしいな」
「え…?」
「今までおあずけにされたお返し」
「……………」
澪がまた顔を伏せた。
う-ん。
やっぱりまだそれは無理か。
つい意地悪言っちゃったな。
「はは、冗談だよ。じゃあ私から…」



澪の唇が私のに触れる瞬間だった。



どれくらいだったか今度は覚えてない。
短かったのか長かったかすら。
そのくらい澪の唇は甘美だった。
そして、澪が離れる。
そして赤くなった顔に涙を浮かべて、言う。





「律 大好き」





胸の疼きはいつの間にか消えていた。



  • りっちゃんがイケメンすぐる -- 名無しさん (2010-12-30 17:32:51)
  • うはぁぁ!! -- 名無しさん (2011-07-31 10:52:15)
  • 紬「作戦通りね」 -- 涙 (2011-11-27 05:29:03)
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