けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

別れは唐突に......

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/07/30(金) 20:18:42

「なぁ……澪って幽霊、嫌いだよな?」

律の突然の発言に、私は手に持っているコップをうっかり落としそうになってしまう。
幽霊が怖いかって?そんなの当たり前だ。
想像するのも嫌だ。怖い。
私は怖い話、痛い話がとても苦手なのだ。

「……嫌いに決まってるだろ。なんだよ突然」
「いや……その、な。もし私が幽霊として出ても、澪は怖がるのかなって」

そう言うと律は頬杖をつきながらストローでジュースを飲んだ。
律が幽霊になって私の前に出たら、か。
難しい質問だな。 いや、でも恐らく私は怖がってしまうだろう。

「怖がる。絶対叫ぶ。というかそもそも幽霊として出るな!さっさと成仏しろ!」
「ぶー。澪は酷いこと言うなぁ。わかったよ。もし私が死んでもすぐ成仏してやるもんねー」

まったく下らない会話。
でも私は少しだけ、底知れぬ不安と悲しさを覚えていた。
律が死ぬ。そんなの、絶対嫌だ。
例え冗談でもそういうことは、言わないで欲しい。
はっきり言う。私は律のいない明日なんて、考えられない。
律がいるから今の私がある。
律が居なかったら今頃、私は引き篭もり気味の地味で暗い高校生になっていたことだろう。

「あーあ。もう夜の12時かぁ。澪の家にいると時間が経つのが早い早い」
「今日は泊まっていくか?流石に夜道を一人で歩くのは危ないぞ」
「はっはっは。大丈夫大丈夫。変な人が出ても、この私の必殺ドラマーパンチで……」

なんて拳を前に突き出し、ポーズを決める律。
ははは。それなら大丈夫かもな。私はくすくすと笑った。
でもせっかくだし、泊まっていけばいいのに。
両親も出張でしばらく帰ってこないし。
私一人で家にいるのも、寂しいし何より少し怖い。

「それじゃ、また明日な」
「うん。気を付けろよ、律。飴もらっても変な人について行くなよ」
「へいへい。ご忠告、ありがとうごぜえます澪さま」

私は一応玄関まで律を送った。
外はもう真っ暗。街灯の明かりも心許ない。
まぁ私の家と律の家、そこまで遠くないし……大丈夫か。

「じゃーなー!」

律は手を振りながら、徐々に夜の闇に消えていった。
私は完全に見えなくなるまで律を見送り、部屋に戻った。
あれだけ騒がしかったのに、今ではしんと静まり返った自分の部屋。


りっちゃんはネコっ毛っぽいから、シャンプーはメリット使ってそう

澪しゃんはもちろんアジ●ンス
世界が嫉妬する髪h(ry



とか考えてたら、
「澪の髪はサラサラだなーいいなぁー」とか言いながら、
澪しゃんの髪をいじってるりっちゃんの髪をモフモフしながらハァハァしてる澪を妄想した


やっぱり寂しい。この感覚は慣れない。
私は律が食べていたお菓子の袋を丸めてゴミ箱に押し込んだ。
そして次に、まだ少しジュースが残っているコップに手を伸ばした。
これは律がさっきまで飲んでいたものだ。
私はストローに口を付け、底に残っていたジュースを飲み干した。
……間接キス。少しは寂しさが紛れた気がした。

そう。私は―――律のことが好きだ。
ああ見えて、いつだって律は私のことを考えてくれている。
幼い頃から……ずっと。
人見知りでいつも独りな私の側に、ずっと居てくれた。
律は友達が多かった。でも私と一緒に居たせいで、少しずつその友達は減っていった。
それでも律は笑いながら私と一緒に居てくれた。
いつの間にか親友から好きな人へと律への気持ちが変わっていった。
これからもずっとずっと、私の側に居て欲しい。
ちなみにまだ私の想いは律に伝えていない。
でもいつか必ず―――いや明日にでも、この想いを伝えたい。

(そうだ。明日……告白しよう。律に。全てを。)

私は拳をぎゅっと握った。
そうと決まれば、今日はお風呂に入ってもう眠ってしまおう。
着替えとバスタオルを手に、浴室へと向かった。



……………。



私は夢を見ていた。
幼い頃の私。幼い律。
私達は楽しく公園で遊んでいた。
滑り台を滑り、ブランコに乗り、砂場で山を作り。
しかし楽しい時はあっという間。
もう夕陽が辺りをオレンジ色に染めていた。

『あ。かえらなきゃ。みおちゃん、またねー!』

律は手を振りながら走り出した。
でも私はまだ遊びたい。遊び足りない。
嫌だ。まだ別れたくない。
待ってよ、律。行かないで―――。
私を置いていかないで―――。

「んっ……んん……」

ここで私は目を覚ました。
いや、“起こされた”と言った方が正しい。
というのも、枕元に置いてある携帯がさっきからしつこく鳴っているのだ。


時計を見る。まだ朝の5時。一体誰だろう。こんな朝早く。
眠い目を擦りながら、携帯を手に取った。

「はい、もしもし……」

我ながら、眠そうな声だなと思った。
私は欠伸をした。眠い。
しかしその眠気も、次の瞬間一瞬で吹き飛ぶことになる。

『澪ちゃん!?た、大変なのっ!』

唯の声だった。
ひどく焦って、動揺しているようだった。
宿題か何かを忘れた? いや違う。
尋常じゃない雰囲気が、ひしひしと伝わってくる。

『りっちゃんが……りっちゃんが……!』
「え……?律が……?」

『りっちゃんが……死んじゃった……』

え……?
それって、一体どういう―――

『とにかく今すぐ病院に来て!早く!』

え……?え……?
私の頭は軽くパニックに陥っていた。
というより、唯の言葉が全部信じられなかった。
目の前が真っ白になった。
律が、死んだ……?
お、おい……世の中、言っていい冗談と悪い冗談が―――

しかし次の瞬間、私は靴を履き、パジャマのまま街を駆けていた。
散歩中の人、新聞配達の人が不思議そうに私のことを見た。
私はとにかく走った。
何か、嫌な予感がする。とてつもなく嫌な予感が……。
やがて病院が見え、正面玄関のところに制服を着た見慣れた人達がいるのが見えた。

「み、澪ちゃん……」
「はぁ、はぁ……みん、な……」

寝起きなのだろう。髪が寝癖だらけな唯。
髪を結う暇が無かったのだろう。長い髪を下ろした状態の梓。
制服のボタンを掛け間違えているムギ。
そんな3人に共通しているのは、みんな涙を流していることだった。

「つらいかもしれないけど、来て……」

唯が私の手を握り、病院の中へ。
しばらく廊下を歩き、階段を降りて―――見えたのは、声を上げて泣いている律の両親。


これでも私は何が起きたのかわからなかった。
ただ、薄暗くジメジメとした病院の廊下。これだけは妙に生々しかった……。

「……ここ、だよ」

唯が真っ白なドアを開けた。
ドアには“霊安室”と書かれた札があった。
ドアの向こうは白い壁の薄暗く狭い部屋。
それで中央に、火の灯った蝋燭やお線香、そして―――真っ白な棺桶が一つ、あった。
私が部屋に入ると、唯は静かにドアを閉めた。
ムギと梓は廊下で待っているという。

「澪ちゃん……これが、りっちゃんだよ」
「こ、これって……どれだよ……」

唯は黙って、白い棺桶を指差した。
しかし私は信じられない。
いや、信じたくなかった。
だって棺桶って……死んだ人間が入るところだろう……?

「だから……律はどこにいるんだよッ!!」

認めたくなくて、つい大きな声を出してしまった。
唯は悲しそうな表情のまま、黙って俯いていた。
私は泣き崩れた。
涙が止まらなかった。

「りっちゃんね、昨日の夜……不審者に、襲われたんだって」

唯が淡々と、説明を始めた。
いくら袖で拭っても、涙が溢れて止まらなかった。

「それでね、朝通り掛った人が血だらけで倒れてるりっちゃんを見つけたんだけど、その時にはもう―――」

唯の話は残酷だった。
まるで足元が崩れ、奈落の底へ落ちていっているかのような感覚に襲われる。
冷たい現実。非情な現実。
冷たい床、冷たい空気。……寒い。
暗い絶望と恐怖が私の体を徐々に蝕む。

「い、嫌だ……嘘だ……こんなの……」
「澪ちゃん……」
「律が……死ぬわけ……ないだろ……おい、律……返事を、しろよ……あはは……」

私は泣きながら、笑った。
乾いた笑い声が霊安室に虚しく木霊した。
唯の目から、再び大粒の涙が零れた。
しばらくして私は笑うのをやめ、静かに言った。

「……唯、頼む。少しの間だけ、律と二人きりにさせてくれないか」

唯は黙って頷き、そっと部屋を出て行ってくれた。
ありがとう、唯。私は心の中でお礼を言った。


静かな霊安室。床に小さな私の涙の水溜り。
私はふらつきながらも立ち上がり、棺桶に手を添えながら―――律に話し掛けた。

「律……ごめん……本当に……ごめん……」

律への、謝罪の言葉。しかし全てが遅い。
今さら言った所で律には届かない。
でも言いたかった。言わなきゃ。とにかく謝罪したかった。

「あの時……律をうちに泊めていれば……」

私は後悔していた。
もしあの時、律を家に泊めていればこうはならなかった。
ひたすら後悔だけが私を襲った。後悔が渦を巻き、私を容赦なく切り裂いた。

それに―――律に自分の想いを伝えられなかったのが、何より悔しかった。
悔しくて悔しくて仕方が無かった。
私はこの想いを一体どうすればいいのだろう。

「律ぅ……どうして……どうして……」

ずっと一緒に居てくれ、と言う前に律は先に旅立ってしまった。
今までずっと律がいたから私は頑張ってこれたのに。
その律がいなくなったら、私はどうなる?
これから私はどうすればいい?
律のいない世界なんか―――
私は棺桶を見つめながら、しばらく涙を流した。


コンコン。

やがて、ドアがノックされる。
どうやら、時間切れのようだ。
私は黙って袖でゴシゴシと涙を拭った。

「澪ちゃん、そろそろ―――」
「……ああ。わかった」

唯と部屋を出た私は、廊下にいたムギ、それに梓と合流をする。
そして皆黙って、歩き出した。
ムギや梓は目が真っ赤になっていた。
唯はもう泣いておらず、黙って先頭を歩いていた。
こういう時の唯の意外な強さに、私は少し驚いた。

「今日は皆、学校はお休みにして気持ちの整理してね。何かあったら携帯で連絡を―――」

病院の外に出るなり、唯がそう皆に言った。
私はこくりと頷いた。

「えっと……一人が寂しい人がいたら、今から私の家に―――」

すると梓が頷き、唯に抱き付いた。唯はそんな梓を優しく抱き締めた。


私はとにかく一人になりたかった。
ムギも私と同じく、一人になりたかったみたいだった。

「あずにゃん……だけかな。うん、わかったよ。それじゃ……またね、みんな」

梓の肩を抱きながら歩いていく唯を、私は黙って見送った。
次にムギが、迎えの車に乗り、帰っていった。
私一人病院前に残った。
私はとりあえず、自分の家に向かって歩き出した―――。

それから、色々なことがあった。
法事やら何やらで、とても忙しく、慌しかった。
しかし私はいつも心にぽっかりと大きな穴が開いていて、まるで流されるように日々が過ぎていった。
律のいない毎日。私は完全にただの抜け殻になっていた。
律との思い出に浸り、枕を抱き締めながらめそめそと嗚咽を漏らす日々。

それに私は毎朝、家の前で律が迎えに来るのを待った。
「おーし、学校いこうぜー!」と元気な律が迎えに来るのを待った。
待ち続けて、毎朝遅刻した。
律はもういない。それはよくわかっている。
でも私は待ち続けた。律が来るのを期待して。

……そして律がこの世を去って、2週間が経った。
この日から久々に、部活が再開された。
久々の軽音部。私は正直すぐにでも家に帰りたかったが、唯に無理やり部室に連れてこられた。
部室では既にムギがお茶とケーキを用意していた。

「“みんな”集まったわね?さぁ、久しぶりにお茶にしましょう?」
「えへへ。本当に久しぶりだねー!」
「唯先輩、久々だからって食べ過ぎないでくださいね」

4人でも“みんな”。胸がズキンと痛んだ。
一方で唯やムギ、梓は既に前の調子を取り戻していた。
いや、正確には―――取り戻そうと、努力していた。
毎日めそめそ泣いている私とは大違い。

「ほら、澪ちゃんも食べようよ!」
「……う、うん」

唯に勧められ、私はフォークを手に取り、ケーキを食べようとした。
しかしやはり手が動かない。
律を少しでも連想する食べ物は全て食べられなくなっていた。
特にハンバーグは見かけただけで涙が出るほどだった。

「……ごめん、やっぱり食べられない」

私はフォークを置いた。


途端に、みんな少し寂しそうな表情になった気がした。
駄目だね、私。せっかく皆が少しでも明るく振舞おうと頑張ってるのに、雰囲気暗くしちゃって。
もう軽音部……辞めようかな。
私がいると、絶対迷惑が掛かる。

「えっと……私、帰るよ。唯、ムギ、梓……今日は誘ってくれて、ありがとう」

私は席を立ち、鞄を片手に帰ろうとした。

「澪ちゃん、待ってよ!」

唯が私の腕を掴み、引き止めようとする。
私はその手を黙って振り払った。

「……放っておいてくれ」

しかし唯は諦めずに、私の腕を再び掴んだ。
いや、気が付けば―――梓とムギも、私の腕を掴んでいた。

「放っておけないよ……私達は、りっちゃんに頼まれたんだもん」
「そうです。頼まれました」
「ええ。頼まれたわ」

私は足を止めた。
律に、頼まれた……?
一体何を……?

「あのね、前に澪ちゃんが居ない時、りっちゃんが私達に言ったんだよ。皆覚えてるよね?」

梓もムギも、笑顔で頷いた。
そしてまず最初に、梓が言った。

「『もし私の居ない時に、澪が落ち込んでたら―――』」

次にムギが言った。

「『頼むから、励ましてやってくれ』」

最後に唯が言った。

「『私は、暗い澪はもう見たくない。いつでも明るく笑顔でいて欲しいんだ』―――ってね」

3人の言葉を聞いて、私は無意識のうちに手に持っていた鞄を床に落としていた。
律が、律がそんな事を―――。
私は泣いた。
嬉しくて泣いた。声を出して泣いた。
そうか。そうだったんだ。
私はずっと、律のことを思い出す度に涙を流していた。


私が泣く事で少しでも律が救われれば―――と勝手に思っていた。
私だけ明るく楽しく過ごすのは、律に申し訳ないと思っていた。
でもそれは間違い。大間違いだった。
律は私に、明るく―――笑顔でいて欲しかったんだ。

「そうか。そうだったんだ。唯、ムギ、梓……ありがとう!」

私は涙を拭い、笑顔で、励ましてくれた3人にお礼を言った。
本当にありがとう。律の思いを、私に伝えてくれて―――。

「うんうん。良かった良かった。それじゃ、お茶の続きを―――」
「いや―――お茶の続きは、また明日な!」
「え?どうしたんですか、澪先ぱ―――」

私は制服の上着を脱ぎ捨て、言った。

「ごめんっ、私―――行かなきゃいけないところがあるんだ!」

次の瞬間、私は全速力で駆けていた。

「あっ、澪ちゃん!?」

行かなきゃ。今すぐ!
どこに行くかって?それはもちろん……律に会いに!

私は走った。途中で先生に廊下を走るなと叱られた。でもそれを無視して走った。
上履きのまま、玄関を飛び出し街を走った。
外はすっきりとした青空だった。こんな綺麗で清々しい青空、初めてかもれない!
私は息が切れても走り続けた。途中人にぶつかっても走り続けた。
そしてしばらく走って、私はとある墓地に到着する。
私はその墓地の中に入り、あるお墓の前まで走った。
そのお墓にはまだ新しいお花やお線香が供えられていた。

「はぁ、はぁ……律……」

そう。ここが、律の眠る場所。
私は額の汗を拭い、息を整えた。
もちろん、私はお墓参りに来たわけではない。
律に―――言いたいことがあって、来た。

例え、無意味でもいい。
独り善がりと言われてもいい。
言いたい。言わなきゃ。
私は大きく息を吸った。

「り、律っ……私は……私は……」

律に優しく触れながら、私は言った。

「私は……律のことが、好きだ!大好きだっ!」

私は大声でそう言った。律に届くように。


他のお参りしている人たちが私のことを怪訝そうに見ていた。
それでも構わない。
とにかく、大声で私の想いを―――叫んでやった。

そして私は笑った。心から笑った。
笑いながら、両脚を投げ出してその場に座った。
溜め込んでいた事を思いっきり叫んでやったら、なんだか笑いがこみ上げてきたのだ。
心が頭上の青空のように、爽やかで晴れ晴れとしていた。
私の想い……律に、届いたかな。

「律……約束する。私、もう泣かない。そして律のことも忘れない!」

私は立ち上がり、律に向かって笑顔で言った。
今まで生きてきた中で、一番のとびっきりな笑顔。
そして私は律に背を向け、歩き出した。

私は……今度一切、誰とも恋はしないだろう。
最初で最後の恋。
そう。私はこの先ずっと、律に恋をし続ける。
―――永遠に。





◇  ◆  ◇





そしてあっという間に一週間が過ぎ去った。
私はもうあれから、約束通り一度も悲しみの涙は流していない。
もう寂しくはなかった。毎日学校帰りに、律に会いに行っているから。

「あ、澪ちゃん!」
「澪先輩、今日は遅かったですね?」
「澪ちゃん、今日は掃除当番だったから」

唯、ムギ、梓は完全に前の調子を取り戻していた。
もう心から笑い合えて、楽しいと思える軽音部だ。
ただ、音楽活動は完全にストップしていて、本当に放課後ティータイム部になってしまったが。

「おおー、澪ちゃん、その黄色のカチューシャ、似合ってるねい」
「あ……ひょっとして、律先輩のですか?」

私は微笑みながら頷いた。
律の両親から、形見として貰ったのだ。


まぁ、ただ唯一残念なのは、律の感想を聞けないことか。

「はい、澪ちゃん、お茶」
「ありがとう、ムギ。あはは、これから文化祭だとか色々あるのに、どうしよう」
「まぁ何とかなるよー、私達にはあずにゃんがいるし」
「えっ……私ですか!?」

私は席に着き、ムギから紅茶を受け取った。
そう。メンバーが欠けているので、当然ライブもできず実はちょっとした廃部の危機だったりする。
私なんかもう1ヶ月近く楽器に触ってないし、はっきり言ってちゃんと弾けるか不安だ。

「あ、そういえばさー、言い忘れてたんだけど―――」

ちなみに部長は唯になった。
律と同じく、少し頼りない部長である。
色々、提出物等も出すのを忘れることがあるし。

「実は、今日から―――待ちに待った、新入部員の人が!」
「えぇっ!?」

唯の突然の発言に、思わず大きな声を出してしまう私とムギ、そして梓。
そ、そういう大事なことはもっと早く言え!というか言い忘れるなっ!
危うく、紅茶のカップを落としてしまうところだったじゃないか。

「しかも、なんと1年生で、ドラムが得意なんだって!」
「ど、ドラムが得意……ってことは、遂に練習再開ですか!?」
「どんな子かしら~」

梓が目を輝かせ、ムギは期待でにっこり笑顔。
私は襟元を正し、髪を手で軽く整えた。
1年生で、ドラムが得意なのか。一体どんな子なんだろう?

「それじゃ、新入部員さん、入って入ってー!」


―――この日より、第二の軽音部が始まるのだが、それはまた別のお話。




おわり



  • やべぇ泣いた -- 名無しさん (2011-07-31 10:06:38)
  • おまっwなかせんじゃねーよっ!! -- 涙 (2011-11-27 17:51:25)
  • 誰かが死ぬのは嫌でござる -- 名無しさん (2012-07-12 23:34:21)
  • すごく泣けました! -- 麗愛 (2012-07-27 00:11:56)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー