けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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投稿日:2010/07/29(木) 13:12:22

いつから友達じゃなくなってしまったのだろう。

どきん、どきん
煩いくらい鳴り響く心臓の音。いっそ止まってしまえばいいのに、
なんて思ってしまう。いっそ止まってしまったら、こんな想いを
感じなくて済むのに、と。

「澪!」

ほら、おまえがそうやって名前を呼ぶから。
心臓がさらに大きな音をたて暴れだす。

律が好き。
誰よりも大切で、愛おしい。

もうそれは変えようもない事実。


朝。家を出る前不意に律のことを思い出す。
今日は何を話そうかとかそんなことを色々考えながら待ち合わせ場所へと
向かう。
案の定律は遅れて来て「悪い悪い」と笑いながら隣を歩き出す。
拳一つ分くらいの間を空けて昨日のドラマがどうだったとか次の学園祭は
何をやるだとかそんな他愛もない話をする。
律が来る前、今日はこれを話すんだ、と決めて待っていたのに結局律の
ペースに飲み込まれてそんなことは無駄になってしまう。けどそれは
決して嫌じゃなく、寧ろ楽しくて嬉しくて。

校舎が見えてきたとき、昨日の雨で濡れていた地面に足を滑らせ
転びそうになった。律の手が伸びてきて手を掴んでくれたのに、
バランスを崩してしまい結局地面に倒れこんだ。

「痛っ……」
「あー、朝からさんざん。澪ー、大丈夫か?」

うん、と頷いて閉じていた目を開けるとすぐそこに律の心配そうな顔があり。
突然かあっと頭に血が上り慌てて目を逸らした。


「澪?」

律が顔を覗きこんでくる。
今、律に押し倒されている形になっているわけで。それなのに律は
動じていない。そのことが妙に悔しくて、そしてこんなことで動揺する
自分が恥かしくて律を押しのけ立ち上がった。
助けてくれようとしてこうなったのに、素直に「ありがとう」と言えない。
そんな自分が嫌だと思いながらも「バカ律」と口走ってしまう。
いつもこうだ。
言いたいことは他にあるのに、気持ちと裏腹なことを言ってしまう。
律の前じゃ素直になれない。

「ほら、行くぞ」
「あー、はいはい。で?澪しゃんったら何を怒ってるのかしら?」

吃驚した。自分でもそんな風に振舞ってるつもりはなかったのに。
律は自分でもわからないようなことまでちゃんとわかってくれる。
多分、こういうところも好きになってしまった原因。

「別に怒ってない」
「怒ってるじゃーん」
「怒ってないっ!」

怒ってるよ、本当は。
何でそんなことはわかって私の気持ちには気付かないんだって。
何で自分だけこんな気持ちにならなきゃいけないんだって。

「澪、最近変」

突然律が真剣な声で言った。
律はずるい。何も気づいて無いふりしてて本当はちゃんと気付いてて。
だけど肝心なことには気付かない。

「澪さ、最近私のこと避けてないか?」
「避けてない」
「本当に?」

ぐっと至近距離に迫られる。思わず後ろに後ずさった。
それと同時に頭の中で何かが切れた。


「好きだから!」
「え?」
「律のことが好きだから!」

案外簡単に言えてしまえるものだ。自分でも驚く。
もう口に出してしまったものは仕方が無い。
すらすらと言葉が飛び出てくる。それを勢いに任せて律に向い吐き出した。

「何で気付かないんだよ、こんなに好きなのにっ……!私だけどきどきしたり
赤くなったりバカみたい……!どうして変なとこで鋭いくせにこういうとこで
鈍感なんだ、バカ律!」

あぁ、そっか。いつのまにか自分でも気付かないくらいこんなにも
好きになっていたんだ。言葉と共に涙も一緒に溢れ出す。
好きで好きで仕方なくて。唯それを律に伝えたくて。
「好き」だと何度も何度も繰り返す。

「澪……」

突然目の前が翳った。
律が少し背伸びをして私をぎゅっと抱き締めていた。少し震える腕で。

「り、つ……」
「澪、ごめんな、気付かなくてごめん、泣かせてごめん。絶対澪には悲しい
想いはさせないでおこうって決めてたのに。私のせいで泣かせてどうすんだ
よ……、ごめん」

私の身体を抱き締める律の腕の力が強くなる。

「澪、私も澪のこと大好きだ」

待ってた言葉。ずっとずっと。
けど。きっと。
律の好きと私の好きは違う。

「うそっ……だ」
「バカ、嘘でこんな恥かしい台詞言うかよ。――ほら」

律の右手を掴まれ律の胸元に置かれる。律は私の胸元にもう片方の左手を
置くと赤い顔で笑った。

「な?私たちの心臓、同じくらい早いぞ」

どきん、どきん

お互いの心臓が同じリズムを刻んで動いている。
それがどうしようもなく嬉しくてまた「バカ律!」と口走った。
律が嬉しそうに笑った。




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