投稿日:2010/05/15(土) 04:21:34
「あ、澪ちゃん一人っ?」
こんにちは、平沢唯です
軽音楽部の部室、音楽準備室の扉を開けて最初に私の目に入ったのは、長くて綺麗な黒髪でした
いつもの席で私に背を向けて座っているのは、我らが軽音部のベーシスト、秋山澪ちゃん
澪ちゃんは私の声に気付いて振り返ります、流れる髪の毛は本当に綺麗です
軽音楽部の部室、音楽準備室の扉を開けて最初に私の目に入ったのは、長くて綺麗な黒髪でした
いつもの席で私に背を向けて座っているのは、我らが軽音部のベーシスト、秋山澪ちゃん
澪ちゃんは私の声に気付いて振り返ります、流れる髪の毛は本当に綺麗です
「ああ唯、お疲れ様。見てのとおり、唯が来るのを待ってたところ。ムギは掃除当番で遅くなるみたいだし、律は……」
そう言って、ちょうど向かいのりっちゃん専用席を見る澪ちゃん
私からは顔は見えないけど、なんだかとっても寂しそうです
私もいつもの席に座って、途切れた澪ちゃんの言葉を引き継いでみます
私からは顔は見えないけど、なんだかとっても寂しそうです
私もいつもの席に座って、途切れた澪ちゃんの言葉を引き継いでみます
「りっちゃん、風邪でお休みなんだっけ?」
「……うん、昨日の夜から熱出したって。ここんとこ暑かったからって、ちょっと油断し過ぎたみたい。そんなに酷くは無いけど、大事をとって一日休みだってさ」
「昨日の帰りも、なんだか調子悪そうだったもんね」
「まったく、自業自得だ。律ったらいっつもヘソ出して寝るんだから。あの馬鹿っ」
「あぁ、なんだか目に浮かぶねっ」
「……うん、昨日の夜から熱出したって。ここんとこ暑かったからって、ちょっと油断し過ぎたみたい。そんなに酷くは無いけど、大事をとって一日休みだってさ」
「昨日の帰りも、なんだか調子悪そうだったもんね」
「まったく、自業自得だ。律ったらいっつもヘソ出して寝るんだから。あの馬鹿っ」
「あぁ、なんだか目に浮かぶねっ」
私がヘソ出しりっちゃんを想像して笑っていると、澪ちゃんが珍しくやんちゃな微笑みをみせました
いつも澪ちゃんをからかう時のりっちゃんに、ちょっと似てます
いつも澪ちゃんをからかう時のりっちゃんに、ちょっと似てます
「ひょっとしたら、律は新人類かも」
「……新、人類?」
「そう。風邪をひく馬鹿なんて希少だよ。きっと新人類に違いない」
「………ぷっ、ふふ、あははっ!澪ちゃんひっど~いっ!!」
「……新、人類?」
「そう。風邪をひく馬鹿なんて希少だよ。きっと新人類に違いない」
「………ぷっ、ふふ、あははっ!澪ちゃんひっど~いっ!!」
真面目な口調で冗談を言う澪ちゃんが珍しくて可笑しくて、思わず笑ってしまいました
りっちゃんごめんね、悪気は無いよほんとだよ
なんとか私の笑いもおさまるころ、机の上に置いてあった澪ちゃんの携帯が震えだします
りっちゃんごめんね、悪気は無いよほんとだよ
なんとか私の笑いもおさまるころ、机の上に置いてあった澪ちゃんの携帯が震えだします
「メール?」
「うん、唯が来る前から。慣れない体調不良でへこたれてる新人類を慰めてたところ」
「うん、唯が来る前から。慣れない体調不良でへこたれてる新人類を慰めてたところ」
そう言って携帯を開く澪ちゃん、また微笑んでます
でもい悪戯っ子はもういません、とっても嬉しそうな笑顔です
でもい悪戯っ子はもういません、とっても嬉しそうな笑顔です
*
「ねえねえ澪ちゃん!りっちゃんに電話してみようよ、私もりっちゃんとお話したい!」
「……そうだな、そっちの方が手っ取り早いし、電話が出来ないくらい悪いわけもないしな」
「……そうだな、そっちの方が手っ取り早いし、電話が出来ないくらい悪いわけもないしな」
メール画面を閉じた澪ちゃん、慣れた手付きでりっちゃんへ電話をかけます
でも、押したボタンは一つ、リダイヤルボタンだけです
でも、押したボタンは一つ、リダイヤルボタンだけです
「律?」
三秒と掛からずに、りっちゃんに繋がったみたいです
澪ちゃんのリダイヤルボタンは、りっちゃん直通です
澪ちゃんのリダイヤルボタンは、りっちゃん直通です
「……そう、今、唯が来たとこ。律の声が聞きたいってさ。……え?そんな話してないって、うん、ほんと」
りっちゃんはこの場に居ないのに、なんだか急に部室が賑やかになったような気がします
澪ちゃんも凄く楽しそう、ちょっとだけ悔しいけど、やっぱりりっちゃんは凄いです
澪ちゃんも凄く楽しそう、ちょっとだけ悔しいけど、やっぱりりっちゃんは凄いです
「嘘じゃない。……うん、それじゃ、唯に代わるからな」
澪ちゃんから携帯電話を受け取ります
ずっとメールしてたのかな、少し温かいです
ずっとメールしてたのかな、少し温かいです
「もしもーし、りっちゃん大丈夫?」
『唯っ、澪のヤツ“馬鹿は風邪ひかないなんて迷信だ~”とか言ってなかったか……?』
「へ?……あ、あぁ」
『やっぱり言ってたか』
『唯っ、澪のヤツ“馬鹿は風邪ひかないなんて迷信だ~”とか言ってなかったか……?』
「へ?……あ、あぁ」
『やっぱり言ってたか』
私が澪ちゃんの顔を見ると、澪ちゃんは“どうした?”と首を傾げます
「………ううん、言ってなかったよ」
『本当に?他にはなんか言ってた?』
「えっと、あのね、りっちゃんは新人類さんなんだってさ。とっても珍しくて凄いんだって」
『新人類……?なんだそ、あああっ!?』
『本当に?他にはなんか言ってた?』
「えっと、あのね、りっちゃんは新人類さんなんだってさ。とっても珍しくて凄いんだって」
『新人類……?なんだそ、あああっ!?』
りっちゃんの叫び声が聞こえたみたいで、澪ちゃんが笑い出します
*
『ぐぬぬ、澪のやつぅ!今すぐ成敗に行ってくれるう!』
「まあまありっちゃん、しっかり治して明日おいでよ」
『人を新種の馬鹿呼ばわりして~!わかったよ、明日は見てろよ澪め!』
「そうそう、明日は必ずね。澪ちゃん、りっちゃんが居なくて寂しがってるよ?」
「……なっ!?ゆ、唯、いきなり何言って……!」
「まあまありっちゃん、しっかり治して明日おいでよ」
『人を新種の馬鹿呼ばわりして~!わかったよ、明日は見てろよ澪め!』
「そうそう、明日は必ずね。澪ちゃん、りっちゃんが居なくて寂しがってるよ?」
「……なっ!?ゆ、唯、いきなり何言って……!」
澪ちゃん、顔が真っ赤です
『ほほう、澪がね~』
「罪な人ですな、りっちゃん殿う。じゃ、澪ちゃんに代わるね」
『うむ、くるしゅうない』
「罪な人ですな、りっちゃん殿う。じゃ、澪ちゃんに代わるね」
『うむ、くるしゅうない』
私が返すより早く、澪ちゃんは携帯を手に取ります
「ち、違うからな!別に寂しくなんか……、本当だってば!ああもう!だからあ、違うって!」
いつも部室で聞くのと同じ、とっても賑やかな二人のお話
ボタン一つでこんなに楽しい電話が繋がる澪ちゃん達が、ちょっぴり羨ましいです
ボタン一つでこんなに楽しい電話が繋がる澪ちゃん達が、ちょっぴり羨ましいです
私もたまには誰かに電話、してみようかな
放課後の軽音部室から、平沢唯がお送りしました!