けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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投稿日:2010/04/30(金) 00:14:16

良い天気だ。雲ひとつない青空。
雨の日ばっかりでうんざりしてたけど、やっぱ天気がいいと気分もいい。


「律は、太陽みたいだ」

隣で同じように空を見上げる澪が言った。まさかデコが光ってるから、とかじゃないだろうな。

「元気いっぱいで、皆を明るくさせてくれるとこ、とか」
「なんか、照れるんだけど」
「はは、顔赤くなったら余計似てるかも」

うっさいうっさい。澪がそんなこと言うのが悪い。
っていうか私が太陽なら、澪はなんなのさ。

「私?うーん。私は……雲、かな」

澪が、雲だって?……なんだってそんな。
あからさまに訝しんだ顔をしただろう私をみて、苦笑する澪。

「泣いて雨をふらせて、怒って雷落として……ってことか?」
「そ。……あと、折角の光を邪魔しちゃうとか、かな」
「邪魔って、んなことないだろ。それに……澪が雲だと、困る」

だって、今みたいな空が全然嬉しくなくなっちゃうじゃないか。
折角晴れてて、元気いっぱいの太陽が見えてるっていうのに。

何処にも。何処にも、雲がないんだ。
こんなに広いのに、雲が少しもないなんて。

「……澪が雲だっていうなら」
「ん?」
「こんな天気、いらない」

澪がいないなら、私は今みたいに明るくいられる自信がない。
自分が明るくなれない太陽が、皆を明るくなんて出来るはずもない。

「澪が、そんなこというから」
「うん」
「昨日までの雨が、恋しくなった」

今の空を眺めていることができなくて、俯く。
多分、今にも泣きそうな顔をしてるに違いない。だって、こんな寂しくて悲しいことってないだろ。
隣にいた澪が、私の正面にくる。多分、いま顔をあげれば間違いなく泣くだろう。
ふわりと、澪の匂いがいっぱいに広がって暖かくなる。……抱きしめられた。
私は小さいから、すっぽり覆われちゃうんだ。

「ごめん。なんか、変なこと言っちゃったな」
「ほんとだよ、ばかみお」

*

曇の日は、きっと太陽がへこんでるんだ。
でも太陽は不器用だから、皆の前でそんな姿見せらんないんだ。
だから、きっと雲がこうやって覆い隠してくれる。

雨の日に泣いてるのは、雲じゃなくて。
きっと、へこんだ太陽が泣いてるんだ。
そんな太陽をみて、雲が「しっかりしろ!」って雷を落とす。

そんで、そんで太陽が元気になったら。
今の空みたいに居なくなっちゃう、のかなあ。
そんなの、嫌だよ。……澪。

「あ。……律」
「なに」
「空、みてみなよ」

雲ひとつない空なんか、みたくない。

「いいから、ほら」

半ば無理矢理、空を見上げさせられる。
なんだ、さっきと何も変わってないじゃないか。
やっぱり、雲は何処にも居ないじゃないか。

「そっちじゃない、あっちだ」

澪が指差す方を見ると。
雲が、あった。

「太陽が頼りないからって、出てきたのかもな」

なんて言いながら、笑う澪。
太陽が頼りなくて雲が出てくるって言うなら、頼りないままで、いい。


太陽が元気でいられるのは、雲が側にいてくれるから。
太陽が一番照らしたいのは、引っ込み思案で恥ずかしがりだけどこうやって側にいてくれる、雲なんだ。



おわる。



  • おおすごくいい -- 名無しさん (2011-07-31 07:56:46)
  • うおおいいなこれ 感動した -- 名無しさん (2012-01-07 20:40:56)
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