投稿日:2010/03/29(月) 23:37:49
私は澪より、6cm身長が低い。
小さい頃は同じくらいだったのに、いつの間にか差をつけられた。
こうして向かい合っていると、その差がはっきりと出る。
小さい頃は同じくらいだったのに、いつの間にか差をつけられた。
こうして向かい合っていると、その差がはっきりと出る。
「律。わざわざつま先立ちしなくても、私が屈むぞ?」
「いや、澪はそのままで」
「いや、澪はそのままで」
確かにつま先立ちってのも、それはそれで格好がつかないけど。
でも、そうじゃないと私からキスをしようとしても澪が屈む形になる。
そしたら、やっぱり澪からキスしているように見えるわけで。
いや、誰も見ちゃいないんだからどう見えるかなんてどうでもいいんだけど。
それでもやっぱり、気になるものは気になるんだからしょうがない。
でも、そうじゃないと私からキスをしようとしても澪が屈む形になる。
そしたら、やっぱり澪からキスしているように見えるわけで。
いや、誰も見ちゃいないんだからどう見えるかなんてどうでもいいんだけど。
それでもやっぱり、気になるものは気になるんだからしょうがない。
「うわ、っとっと」
「お、おい。大丈夫か?」
「お、おい。大丈夫か?」
バランスを崩して倒れそうになるのを、澪に支えられる。
今この状況。
私、倒れかけて澪に抱きついてる。澪、普通にしてて私の腰に腕を回す。
……どう見ても私がされる方、だよな。
あぁ!くっそー、6cmめ!
たかが6cmなのに。いや……されど6cm、か。
大体なんでこいつのほうが大きくなってんだよ、牛乳だっていっぱい飲んでんだぞ。
今この状況。
私、倒れかけて澪に抱きついてる。澪、普通にしてて私の腰に腕を回す。
……どう見ても私がされる方、だよな。
あぁ!くっそー、6cmめ!
たかが6cmなのに。いや……されど6cm、か。
大体なんでこいつのほうが大きくなってんだよ、牛乳だっていっぱい飲んでんだぞ。
「あれ?……律、また痩せた?」
頭の中で6cmに恨みつらみをブツけてたら、急にそう言われた。
自分じゃそんなん分からないっていうか、最近体重計に乗っていないからなんともいえない。
自分じゃそんなん分からないっていうか、最近体重計に乗っていないからなんともいえない。
「ん?変わんないっしょ」
「いや、絶対痩せたよ。前より腕に余裕あるもん」
「いや、絶対痩せたよ。前より腕に余裕あるもん」
澪は抱きしめる腕に少し力を込めながら、そう言い放つ。
……こいつ、時々とんでもない事言うよな。
抱き心地で痩せたかどうか判断って、どうなんだ。
……こいつ、時々とんでもない事言うよな。
抱き心地で痩せたかどうか判断って、どうなんだ。
「ちゃんと食べてるか?……流石にちょっと細すぎだ」
「食べてる!お菓子だって澪よりも食べてるじゃん」
「……それで太らないどころか痩せてるなんて、羨ましい」
「食べてる!お菓子だって澪よりも食べてるじゃん」
「……それで太らないどころか痩せてるなんて、羨ましい」
目が……羨ましいっていうより、恨めしいと言ってるようにみえるんだけど。
つーか、私にしてみれば。
つーか、私にしてみれば。
「澪のほうが、羨ましい」
「……え?」
「……え?」
心のなかでだけ呟いたつもりが、声に出てしまっていたらしい。
澪が『なんでだよ?』とでも言いたそうな顔をする。
だけど、ここでお前の身長が羨ましいんだ、と言えるほど私は素直ではない。
澪が『なんでだよ?』とでも言いたそうな顔をする。
だけど、ここでお前の身長が羨ましいんだ、と言えるほど私は素直ではない。
「これが、羨ましいっていったんだ」
そう言いながらすぐ側にある二つの膨らみを、両手で鷲掴みする。
これもこれで羨ましいから、嘘は言ってないぞ。
にしても、やーらけーなあ。
これもこれで羨ましいから、嘘は言ってないぞ。
にしても、やーらけーなあ。
「なっ!おまっ……」
あまりにも、柔らかく触り心地が良かったそれに夢中になっていた私は。
腰に回された腕が離れて、その拳がわなわなと震えていたことに気付かなかった。
腰に回された腕が離れて、その拳がわなわなと震えていたことに気付かなかった。
「ば、ば……ばかりつー!」
「いってー!」
「いってー!」
凄まじい音と共に、大きなたんこぶが頭に1つ出来上がり。すっげー痛い。
……あ。殴られた衝撃のおかげか、良い事思いついた!
そっかそっか、最初っからこうしてりゃ良かったんだよな。
……あ。殴られた衝撃のおかげか、良い事思いついた!
そっかそっか、最初っからこうしてりゃ良かったんだよな。
「……律。何ニヤニヤしてるんだ」
「そんな身構えなくたっていいじゃん」
「そんな身構えなくたっていいじゃん」
殴られたのにニヤけている私をみて、若干引き気味の澪。
ふふん。澪が屈んでても、ちゃーんと私からってのが分かる方法思いついちゃったもんね。
ふふん。澪が屈んでても、ちゃーんと私からってのが分かる方法思いついちゃったもんね。
「なんか、企んでないか」
「いやーさっきので、キスを有耶無耶にされちゃったなあと」
「そ、それは律が倒れてきたから……その」
「だからさ、やり直し。……ほら、澪こっち向いて」
「いやーさっきので、キスを有耶無耶にされちゃったなあと」
「そ、それは律が倒れてきたから……その」
「だからさ、やり直し。……ほら、澪こっち向いて」
ニヤける顔を抑えて、真剣な顔をしていってやれば、澪はちゃんとこちらを向く。
私もちゃんと澪の方を向いて、最初と同じように、向かい合った。
今度は、つま先立ちなんかしない。
私もちゃんと澪の方を向いて、最初と同じように、向かい合った。
今度は、つま先立ちなんかしない。
「でも、どうするん……」
澪が最後まで言葉を告げる前に。
右手を澪の後頭部に当て、そのまま引き寄せる。
一瞬だけ、触れるだけのキスをして、右手を離す。
右手を澪の後頭部に当て、そのまま引き寄せる。
一瞬だけ、触れるだけのキスをして、右手を離す。
「こうする」
そう言って、澪に笑いかける。
不意をつかれて驚いた顔が、みるみるうちに赤くなっていく。
不意をつかれて驚いた顔が、みるみるうちに赤くなっていく。
「け、結局……私が屈んでるじゃないか」
赤くなった顔を見られたくないのか、顔を背けながら澪が言う。
うん。……全くもって、その通り。
だけど、私の悩みは解決したもんね。
うん。……全くもって、その通り。
だけど、私の悩みは解決したもんね。
おわる。