投稿日:2010/03/12(金) 06:40:31
『澪は私のだぞー』
『いやいや、私のだー』
「……何、してるんだ?」
『いやいや、私のだー』
「……何、してるんだ?」
私の目の前には、両の手に本人そっくりのパペットを付けた律。
いきなり部屋に来るなり「じゃっじゃーん!」とか言って見せてきた。
いきなり部屋に来るなり「じゃっじゃーん!」とか言って見せてきた。
「何って、りっちゃん劇場~澪は誰のもの!パート1~」
「なんだその変な劇場……というかパート1ってなんだ、2以降もあるのか」
「いや、なんとなく?」
「なんだその変な劇場……というかパート1ってなんだ、2以降もあるのか」
「いや、なんとなく?」
あぁ、そう。
ため息をつきつつ、パペットを見てみると結構出来がいい。
……ここまでそっくりなのは中々ないと思うけど、これ律が作ったのかな。
ため息をつきつつ、パペットを見てみると結構出来がいい。
……ここまでそっくりなのは中々ないと思うけど、これ律が作ったのかな。
「あ、これな!憂ちゃんに頼み込んで作って貰ったんだ~」
聞くよりも先に、答えがくる。
律はほんと、そういうの鋭いよなあ……って。
律はほんと、そういうの鋭いよなあ……って。
「憂ちゃん?!」
律が作ったにしては、細かいところまで良くできてるとは思ったけど。
頼み込んでまで欲しかったのか、というか良く憂ちゃんも承諾したものだ。
頼み込んでまで欲しかったのか、というか良く憂ちゃんも承諾したものだ。
「で、どうよ!コレ!」
「どうよって、お前が作ったんじゃないだろ」
「そーだけどさ。可愛いだろ?」
「確かに。……か、可愛い」
「どうよって、お前が作ったんじゃないだろ」
「そーだけどさ。可愛いだろ?」
「確かに。……か、可愛い」
良い感じにデフォルメされていて、私が欲しいくらいに可愛い。
私も憂ちゃんに頼んじゃおうかな……なんて。
私も憂ちゃんに頼んじゃおうかな……なんて。
「んじゃ、あげるよ」
「え、でも」
「いーのいーの。……さて、澪」
「え、でも」
「いーのいーの。……さて、澪」
楽しそうに笑っていたかと思ったら、急に改まったふうになる律。
まるでここからが本題だ、とでも言いたそうな顔だ。
まるでここからが本題だ、とでも言いたそうな顔だ。
「な、なんだよ」
「この3人のうち1人だけあげる。……どの私が、いい?」
「この3人のうち1人だけあげる。……どの私が、いい?」
3人。3人ということはつまり。
右手の前髪をゴムで結んでいる、本人曰くパイナップルな律。
左手の前髪を下ろしている、本人曰く似合わない髪型な律。
そして。
真ん中の両の手にパペットをつけた、いつもの律。
右手の前髪をゴムで結んでいる、本人曰くパイナップルな律。
左手の前髪を下ろしている、本人曰く似合わない髪型な律。
そして。
真ん中の両の手にパペットをつけた、いつもの律。
「え、それって」
「ほれほれ、はやく」
「いや、あのちょっと、まって」
「だめだめ。後3秒。いーち……」
「ほれほれ、はやく」
「いや、あのちょっと、まって」
「だめだめ。後3秒。いーち……」
不意打ち過ぎて、どうして良いか分からない。
それなのに、律はカウントまで始めて私を急かす。
ああ……もう、どうにでもなれ。
それなのに、律はカウントまで始めて私を急かす。
ああ……もう、どうにでもなれ。
「じゃ、じゃあ!……ま、真ん中の、律」
自分で言って置いて……は、恥ずかしすぎる!
全身が熱い、多分真っ赤になってる。
目なんて絶対合わせらんないから、律に背を向ける。
全身が熱い、多分真っ赤になってる。
目なんて絶対合わせらんないから、律に背を向ける。
「……」
「……」
「……」
……早く言えというから、答えたというのに。
肝心の律は黙ったまま。
お願いだ、早く何か言ってくれ。……余計恥ずかしくなってくる。
肝心の律は黙ったまま。
お願いだ、早く何か言ってくれ。……余計恥ずかしくなってくる。
「澪」
少しして、漸く律が口を開いた。
「澪」
もう一度、さっきよりも近づいた声。
「みーお!」
その声とともに、背中に温かい感触。
そして、私の目の前に二人の律が現れた。
そして、私の目の前に二人の律が現れた。
『澪ー私は?』
『澪ー私じゃだめか?』
『澪ー私じゃだめか?』
私の後ろから聞こえてくる声に合わせて、二人の律がパクパクと口を動かす。
もう、お前は。私を困らせることばかり言うんだから。
もう、お前は。私を困らせることばかり言うんだから。
「勿論二人とも好きだぞ」
『ほんとかー?』
「ほんと。でも」
『でもー?』
「こうやってバカやって、私を困らせるもう一人の律が一番好き、かな」
『ほんとかー?』
「ほんと。でも」
『でもー?』
「こうやってバカやって、私を困らせるもう一人の律が一番好き、かな」
後ろにいるから、本人に腕を回すことはできない。
だから、変わりに目の前の二人を抱きしめてやった。
だから、変わりに目の前の二人を抱きしめてやった。
「……ところで律」
「んー?」
「パペットは、くれないのか?」
「だーめ。澪には私がいればいいだろー?」
「いや、そうだけど。って、そうじゃなくて」
「なんだよー、私が一番っていったじゃんか」
「いやあの、律が居ない時とか……その」
「っ!……あーもう。ほんっとーに寂しがり屋ですわね澪ちゅわん」
「う、うるさい!」
「んー?」
「パペットは、くれないのか?」
「だーめ。澪には私がいればいいだろー?」
「いや、そうだけど。って、そうじゃなくて」
「なんだよー、私が一番っていったじゃんか」
「いやあの、律が居ない時とか……その」
「っ!……あーもう。ほんっとーに寂しがり屋ですわね澪ちゅわん」
「う、うるさい!」
おわる。
- パペットじゃなく人間ならおもしろそう… -- アクティブ (2012-02-28 13:33:46)
- バカップル過ぎて可愛い。 -- 名無しさん (2012-05-05 17:46:31)