「律、ちょっと狭い。そっち詰めて」
「あらあら、澪ちゃんまた少し太ったのかしら?」
「う、うるさいっ。余計なお世話だ」
「あらあら、澪ちゃんまた少し太ったのかしら?」
「う、うるさいっ。余計なお世話だ」
私は肯定にしかなっていない言葉を返す。直後に布団と寝間着がこすれる音が部屋に響いた。
軽口を叩きつつも、律はしっかり寝場所を開けてくれたらしい。
そこへ身体を寄せると、
軽口を叩きつつも、律はしっかり寝場所を開けてくれたらしい。
そこへ身体を寄せると、
「2人で1つの布団は、やっぱりちょっと窮屈だな~」
「律が言い出したんじゃないか」
「じゃあもう1つ布団敷くか?」
「……面倒だから、いい。寒いし」
「だなっ」
「律が言い出したんじゃないか」
「じゃあもう1つ布団敷くか?」
「……面倒だから、いい。寒いし」
「だなっ」
暗闇で顔は見えないけど、律は確実にニヤリと笑って勝利宣言をしているのだろう。
この手のやり合いで私に勝ち目が無いらしい事は随分前に悟った。
この手のやり合いで私に勝ち目が無いらしい事は随分前に悟った。
部屋には窓に雪が吹き付けるチリチリという小さな音が響いていた。
私と律はお互い見えない顔を向け合ったまま。
私と律はお互い見えない顔を向け合ったまま。
「澪は、明日からお母さんの実家だっけ?」
「そう。帰るのは三が日過ぎてからだな」
「それじゃ、お泊まり会どころか会うのも今年は今日で最後か……」
「なんだ、寂しいのか?」
「うん」
「そう。帰るのは三が日過ぎてからだな」
「それじゃ、お泊まり会どころか会うのも今年は今日で最後か……」
「なんだ、寂しいのか?」
「うん」
即答されて、堪えきれず私は小さく微笑む。
「じゃあさ、澪が帰ってきたら初詣行こうぜ。今年は軽音部のみんなで!」
「……そうだな、みんなで」
「ちゃあんと晴れ着、着てこいよ~。楽しみにしてるから」
「う、うん」
「……そうだな、みんなで」
「ちゃあんと晴れ着、着てこいよ~。楽しみにしてるから」
「う、うん」
今年の初詣は賑やか、2人きりじゃない。嬉しいくて寂しい複雑な気持ちを飲み込む為に、思わず頷いてしまった。
「おやすみ、澪」
さて困った、今年はどんな晴れ着を着ようか。