※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「精神医療の静かな革命 向精神薬の光と影」 著;田島 治

 向精神薬の登場によって、精神医療にどのような影響があったかについて書かれた本。
 「光」と「影」のそれぞれについて、向精神薬によって治療が楽になった点を「光」、として、精神医療全体がビジネスになったせいでデータの捏造や隠蔽が問題になった点を「影」として表現している。
 文章全体で見ると、明らかに「影」についての部分の量が多く、「光」の側でも問題点についていろいろと描かれている。
 DSMについては否定的であり、「病気の原因」を求める医療から、「症状への対処」を求める医療にシフトしたことによって、精神科医の作業が機械的になってしまったと述べられている。また、精神分析が軽視され、向精神薬を重視する風潮についても若干の苦言を呈している。


「危ない精神分析 マインドハッカーたちの詐術」 著:矢幡 洋

 現職の臨床心理士が、一昔前に発生した「記憶回復療法」の歴史と、それによって起こった影響について書いた本。
 前半部分は事件の経過が中心となって描かれており、後半部分はPTSD概念と精神医療全体についての意見が述べられている。
 DSMに関しては向精神薬の本とは異なった意味で否定的である。向精神薬に代表されるような分子生物学の関係者と精神分析に代表される心理学の関係者での縄張り争いとまで発言している。また、「病気の原因」から「症状への対処」への重点のシフトに関する見方は正反対であり、患者が治るのがいい療法であるという点からこのシフトを肯定している。
 患者へのレッテルづけに関してはかなり詳しく述べられており、偽記憶症候群の見方から様々に論じられている。「レッテルを貼ることによって患者側にレッテルと合致した兆候が見られるようになる」など、安易なレッテルづけによってどれほど危険なことになったのかが詳しく述べられている。