邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ
アキラのTIPS
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jyakiganmatome
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アタシがまだ、小学校に上がる以前の事。
祖父に、大好きな港に連れていってもらったのを、薄ぼんやりと覚えている。
祖父に、大好きな港に連れていってもらったのを、薄ぼんやりと覚えている。
……
…………
………………
「おじいちゃん、おじいちゃん、海! 白いお船!」
「晶は本当に海が好きだね」
「うん! だってね! 大ーきいし、青くってすごく綺麗だもん」
赤茶色の髪をした初老の男が運転する、角ばったスポーツカー。運転席で笑う彼の膝の上ではしゃぐ、赤い髪と瞳を持つ少女。
窓を開けて、海風を気持ち良さそうに浴びているその少女は、青い色の空と海、そして、赤い色の祖父の車がお気に入りだった。
窓を開けて、海風を気持ち良さそうに浴びているその少女は、青い色の空と海、そして、赤い色の祖父の車がお気に入りだった。
「ねー、おじいちゃん。アタシも運転してみたいっ」
「うーん……じゃあ、ちょっとだけだぞ」
祖父はそういうと、少女が、足をアクセルに届かせても前が見える様に、体を支えてやり、ハンドルを握らせる。
「ありがとうっ! おじいちゃん! ……これ踏むと動くの?」
興奮と緊張で、頬まで若干赤く染めて、祖父に尋ねる。
「ああ、そうだよ。ゆっくりやってごらん」
「ぶっぶぅーん!」
アクセルに全体重を一気にかけられたスポーツカーは、蛇行しながら海の方へ突っ走る。甲高い音が耳を衝いたかと思うと、次の瞬間、車は、海への落下寸前で停車していた。咄嗟に、祖父がブレーキを踏み込んだのであった。
少女は、自分が車を使い、一瞬でこれだけのことをやらかした現実に、呆然と目を丸くしているのみ。
祖父は、孫娘の無茶を諫めるでもなく、慌てた様子もなく、一言だけこう云った。
少女は、自分が車を使い、一瞬でこれだけのことをやらかした現実に、呆然と目を丸くしているのみ。
祖父は、孫娘の無茶を諫めるでもなく、慌てた様子もなく、一言だけこう云った。
「まあまあだな」