邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ
エレクトラ
最終更新:
jyakiganmatome
名前:『エレクトラ』
正式名称、《D-102E》
①Electra(エレクトラ):
ギリシア神話に登場する女神。
父を殺した母を憎み、母とそれに協力した情夫を、弟オレステスと共に殺害した。
『エレクトラ・コンプレックス』とは、母を憎む女児の心理を指す。
②electric
『琥珀のような』が原義とされる英単語(琥珀は摩擦によって電気を帯びるため)。
【形】「電気の」「電気を帯びた」「電気的な」
【名】「電気回路」「電気設備」・「電撃的な(はらはらする)」
③elect
【動】
1)「選挙する」「選出する」
2)「決定する」
3)「(人が神によって永遠に救われるために)選ばれる」
【名】
1)「選ばれた者」「えり抜きの者」
2)「神の選民」
開発者側の正式名称は「エレクトリック・エレクトラ」。
周囲の電子機器への干渉。あくまで「体質」による能力なので、眼の能力ではない。
ラジオ、テレビから車や飛行機まで、電子的に制御されている物ならば全て完璧な制御下における。
射程距離は自らの周囲500メートルだが、一度操作したものはほぼ無制限に操れる。
彼女自身もこの特殊能力の原理は分かっていない。
種族:生機融合体。俗に言うサイボーグ。
脳以外は全て義体であり、金属骨格と人工筋肉、特殊な磁気を帯びた人造皮膚によって構成されている。
この皮膚によって電子機器への干渉を行っていると思われるが、未だにその「体質」の原理は不明瞭。
性別:女性(脳の構造・義体、共に女性型)
年齢:???
一人称:私
二人称:あなた
三人称:あのひと
口調:ざっくばらんで無鉄砲
口癖:「人間よりは頑丈だから」
好きなもの:発砲、破壊
嫌いなもの:見えない敵
容姿:セミロングの銀髪を持った、10代の少女のような外見を持つ。
服装は黒いシャツ・黒いミニスカートに黒いサイハイソックス。その上から、黒いファーが付いた白いコートを羽織る。
このコートは冷却機能があり、彼女の義体がオーバーヒートしないよう常に冷却している。
眼球は義眼だが、角度によって網膜部分の色合いが七色に変化する。
装備:
分子増殖特性を持った流体金属で作られる“万能兵器”。
ナボコフ・システムが導入されており、人工知能が搭載されている。自らの意思を持ち、喋り、思考する。
パーソナリティはあっけらかんとした男性のよう。しかし一般常識を重んじる節があり、しばしばエレクトラの暴走を止める。
“オレステス・トイボックス”というのは正規の名前ではなく、エレクトラがつけたもの。
「トイボックス」とはおもちゃ箱の事であり、『どんな武器でも出てくる魔法のおもちゃ箱』という意味があるが、オレステスはエレクトラのそういった、戦闘を遊びと捉える部分を心配している。
流体金属の塊であるため、決まった形状を持たない。また、兵器や武器以外の形状に擬態する事も可能。
普段は指輪やネックレスの形でエレクトラにくっついている。
戦闘時の主な形質は「マテバ・リボルバー」。しかし形が似ているというだけで、当銃と全く同じ性能ではない。実際、エレクトラが好んで使用するのは『69口径』というものすごいサイズのものである。
上記した通り分子増殖特性を備えており、自らを構成している特殊な金属分子を、空気中の素粒子を原料として増殖させる事ができる。
そのため武器としての形・大きさ・弾数に制限はない。また、分子振動により高熱を発生させることも可能であり、ナイフ状に変形して刃部に高熱を持たせた溶断機などにも変じる事ができる。
しばしば二丁拳銃として二つに分離もするが、その場合、どちらか一方だけが思考し、片方は単なる銃である。
その特性から、爆弾やランチャーなど、火薬的特性を持った武器に変形するのは不得手。また、自分で自分の引金を引くことはできない。
使用技:正確無比な射撃
戦術:
・エレクトラ:突貫。考える前に撃ちたがる。
・オレステス:心配性。しばしばエレクトラの独断専行に頭を悩ませる。
職業:???
所属組織:???
出身世界:???
タイプ:???
キャラクター:
その外見とぶっきらぼうな口調から、一見クールなのかと思いきや、彼女を突き動かすのは基本的に破壊衝動である。
とにかく自分を邪魔する存在が目の前にあるのが我慢できなくなるタイプであり、それは人間から建物、赤信号まで、ありとあらゆるモノに適応される(ちなみに赤信号は能力で青信号に変えて渡っている)。
しかし破壊衝動が強いというだけであり、精神的・日常的には至ってまともというのがまた扱いづらい点でもある。
あくまでも自我が強すぎるのであって、彼女の中には優しさや正義の心もまた、僅かだが存在してはいる。
設定:
エレクトラは、サイボーグでありながら、一種の進化人類である。
彼女のオリジナルは既に脳の一部分だけであるが、彼女はこの『脳』を、自らの代のみで新人類として進化させた。
簡単に言ってしまえば、「脳が機械の体に適合するため進化した」のである。
普通、脳だけを残して全身を義体化すると、多くの場合脳が義体から与えられる膨大な情報を処理し切る事が出来ず、オーバーワーク状態に陥って最悪の場合死滅する。人間が仮に蝙蝠と同じ聴力を有して超音波を聞き取れるようになったとしても、脳がその全ての音を聞き分ける能力がないまま、その能力が無意味どころか足かせになってしまうように。しかし、このエレクトラは全身が義体であるにも関わらず、脳がストレスを受けるどころか、義体に合わせて成長したのである。
主に脳の情報処理領域、空間把握領域、体性感覚領域に考えられないほどの肥大化が見られ、彼女は義体、更には《接続》した機器類からフィードバックされる情報すら、ほぼ完璧に自らの脳で把握・処理することができている。いわば、これは『自分の意識を空間に広げる』能力だとも言える。それはまるで戦闘機のパイロットが常人の脳よりも空間把握に長け、強靭な三半規管を有するまでに《進化》するように。
実際の科学的計測によっても、彼女の義体識閾値は90%超過であり、これは過去の全身義体化被験者の平均値《8.6%》とは比べ物にならないほどに高い。多くの軍科学者が彼女のこの《進化》の原因を突き止めようと試みたが、結局有力な意見は出ないままに終わった。しかし恐らくは「生まれる前から全身義体であった」という点が関係しているのではないかと考えられている。それはまさに《Elect》、『神に選ばれし選民』のように。
彼女を“造った”天才科学者であれば、或いはその原因さえ特定できそうなものであるが、いかんせん彼女が何処に居るかは彼女自身しか知らないのである。
どっかの悪の科学者の、実の娘である。
がしかし、生まれつき肉体のほとんどが形成されないままで生まれてきてしまったため、生まれてから数ヶ月間培養液の中に脳味噌だけで浮かんでいた。その後、脳がある程度成長したところで金属骨格と人工筋肉による義体を与えられてサイボーグと化し、そのまま意識が戻る前に必要最低限の戦闘技術を直接脳にインプットされ、軍部に『兵器』として送られた。
しかし彼女が兵器として送られた軍部《メイヴ》もまたまともではなく、そこは襲い来る未確認の外敵から秘密裏に地球を防衛するという、これまた頭のおかしい中二病患者のような組織であった。のだが、実は実際に数年前からこのジャキシティを中心に機械生命体『RAH』の侵攻が幾度と無くおきており、その都度この《メイヴ》が一般住民たちに察知される前に迎撃していたのだった。すごい話である。
その『RAH』の撃墜に必要不可欠な存在であったのが、この《D-102E》=エレクトラだった。
戦闘機のような飛行物体の形状を持って空から侵攻してくる『RAH』を迎撃するためには、こちらも空を飛び戦わなくてはならない。そのための機体、《超特殊戦闘機・不知火(しらぬい)》がこの《メイヴ》には存在したが、戦闘用の高度なAIを搭載すし自ら思考する、非常に“扱い辛い”機体を操縦できる人間が、現状では居なかった。そこで、手すらも触れないままにあらゆる電子機器・兵器を操作できる、つまり「兵器と一体化できる」エレクトラが、必然的に搭乗者に選出されることとなった。そして不可思議な事に、この《不知火》の機体も、まるで最初からエレクトラに操縦されるために造られていたかのように、彼女と完璧に同調した。
エレクトラは《不知火》と共に、素晴らしい戦績を見せた。日増しに強力になり数を増す『RAH』を堕とす事により、エレクトラは兵器である自身の存在意義を見出そうとしていた。
だがある日、突然エレクトラは自身専用に製作されていた白兵戦闘用兵器「オレステス」と共に《メイヴ》本部を強襲し、逃亡する。
その原因は全く不明であり、《メイヴ》側にしても「兵器に裏切られる」など前代未聞の事件であった。
《不知火》には即席のAIが積み込まれたが、エレクトラほどの戦闘ができるはずもなく、次第に『RAH』の迎撃は困難となってゆく。
そして現在、エレクトラは未だに《メイヴ》から逃亡し続け、《メイヴ》はあくまでも秘密裏に彼女を追跡している。
しかしそんな時、正に泣きっ面に蜂とも言える事態が起きた。
『RAH』の地上侵攻である。
空戦タイプの『RAH』以外が侵攻してきたことはこれが初めてであり、エレクトラ追跡によってほぼ壊滅しかけている所に、まさにチョーベリーバッドな事件であった。
だがしかし、《メイヴ》の予測とは裏腹に、エレクトラは地上に侵攻してきた『RAH』を命令を受けないまま自発的に迎撃・殲滅し始め……
彼女が《メイヴ》を強襲、逃亡した理由は、『生存本能』である。
彼女に自我が芽生えると同時に沸き起こった、『自分は機械か人間か』という疑問。
その疑問はやがて彼女の中で、ひとつの答えを導き出した。
「私は、機械でも、人間でもない。」
エレクトラは「兵器」として“製造”され、そして「兵器」として生きてきた。それ以外に彼女が生きる術は無く、そしてそれ以外に生きる方法を彼女は知らなかった。彼女は生まれた瞬間から、「兵器」以外の何者でもありはしなかった。
だが、「兵器」は「戦争」と共に存在するものである。
もし「戦争」がこの世から消えたのならば、「兵器」は何の意味も無く、ただの危険な鉄の塊となってしまう。
「私は『RAH』と戦うために造られた『機械=兵器』だ。
ならばもし『RAH』が消え、戦う必要が無くなった時、『兵器』である自分はどうなるのか。」
そう考えたとき、導き出された答えは「死」であった。
機械的廃棄なのか、人間的安楽死なのか、それは分からない。
しかし自分の存在は人間たちの手で、確実に消される。
「私はこの戦いに、勝っても負けても殺される。
空飛ぶ機械生命体に撃ち落とされるのと、人間に廃棄されるのと、何が違うのか。」
この身体は既に人間ではない。しかし、同時に「兵器として死ぬ」事を認められるだけ潔さも人間として戦う事の誇りも、彼女は持っていなかった。
人間を捨てきれず機械にもなり切れない彼女の「人間」は、己の内の「機械」を、完全に許容できなかったのだ。
そしてエレクトラは、その運命に対抗するための、ひとつの哲学を導き出す。
「私は私を、一つの独立した、“私”という種族と考える。
これは戦闘でも、ましてや戦争でもなく、『生存競争』だ。
勝つ必要は無い。ただ負けなければ、死ななければいい。
私は“私という種”を保存するために、『人間』からも、『RAH=機械』からも、生き延びなければならない。
何故なら、私は人間でも、機械でもないのだから。」
この哲学に到達したその日
彼女は《メイヴ》本部を強襲したのであった