邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ 容疑者Ⅰ

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「なんで毎度毎度、顔を合わせる事になるんだろうね」


僕は溜息をつきながら、二人の刑事のうちの一人、佐々木 尚に話を振った。
コンビのうちのガタイの良い方。身長は190近く、筋骨隆々と言いはしないが、引き締まった体の男。
事件を起こしたとして、出来ればこいつには追われたくないと思わせるタイプだ。


「そりゃ、俺らが捜査一課だからっすよ。殺人と誘拐はうちらの仕事、ってね」

「強盗、人質立てこもり、放火に性犯罪も追加しておくと良いよ」

「強盗や立てこもりは機動隊の方が活躍しますし、性犯罪専門ってスタイリッシュじゃないじゃないっすか」


相変わらず刑事になったくせに、学生気分の抜けないチャラい新卒サラリーマンみたいな喋り方をする。
僕にまで砕けた敬語を使ってくるのは殊勝な心がけではあるけども。


「むしろ毎度毎度君が居合わせる方が、こちらとしては不思議だよ。探偵はひきこもっていた方が事件が起きないと思うけど」


さらに砕けた口調で話してくる、ひょろっとした男、志波 行人。
こちらも身長にして180を越え、佐々木とのコンビには軽く威圧感を漂わせる。
単体だと木の棒のようで頼りなさそうなのだが、人によっては逆にただならぬ何かを感じさせるかもしれない。


「ぼくより先に金田一少年とコナン君を捕まえておけよ。それだけで年間の殺人件数が大幅減だ」

「屏風の虎を捕まえろ、ってかい。探偵はとんちを使っちゃまずいと思うなぁ」

「ま、鳳探偵事務所は親の代からそんなんだったっておやっさんが言ってたっすよ」


佐々木がおやっさんと呼ぶ警部、及川 健介は、パパが現役だった時代には刑事として何度か事件で御一緒してたそうだ。
そのころにパパがさんざん彼を差し置いて事件を解決し、なおかつたっぷりおちょくったせいで、娘の僕がとばっちりを食らう。
まあ、僕もたっぷりおちょくってやってるんだけどさ。

しかしこいつら、警察としてはわりと有能なほうなのだ。
特に、専門ではない対能力者犯罪でもそれなりの手柄をあげているようで、戦闘ランクもDくらいあるんじゃないかな。
彼ら自身は無能力者なんだけども、警察は組織力と戦略でそれをカバーすることができる。
けど、今回の一件が「誘拐事件」ではなく「殺人事件」だと気づいてないうちは、戦力として期待できそうにないだろう。
それを僕から教えるわけにもいかないし。

で、これから殺害される予定の萌葱の婚約者、三島 健吾君は萌葱の心配ばかりしている。
なんというか非常に哀れな感じなのだが、彼の何が彼女を殺意に駆り立てたんだろうか。


「…なんだって自宅に捜査本部を置いちゃうのかな」


そういうのは小説の中だけで良いんだよ。事件は会議室で起こしておけ。
婚約者が入り浸ったであろう自宅内なんて、なんの罠がしかけられたか解ったもんじゃない。
何せ、彼女、仙堂 萌葱は


「……よりにもよって、「遠視」能力者なんだよ」


クドリャフカに調べてもらったところ、彼女の眼は「千里眼」。
他に何もできないが、どこの景色でも「観る」事が出来る能力者。
ランクにすらほとんど影響しない、実に平和的な能力なのだが、こと今回においては、その存在はあまりに凶悪だ。
遠隔殺人が実行される予定なら、彼女はこちらの状況をのほほんと観察しながら、好きなタイミングであらかじめ仕掛けた
ギミックを発動させることができる。


「…おねえちゃん、しっかりボディチェックはしたんだよね?」

「アシュも見てたろ。孔と言う穴まで調べた」


が、どこにもリモコンのようなものは見当たらなかった。
とはいえ、それで万全とはいえないのだ。
もし万に一つでも、「リモコンを見落とした」時点で、有る意味詰んでる事になる。


「となると、あの婚約者、三島 健吾を下手にうろつかせないことだよね……」


それに、まだ共犯者、もとい別動実行犯の存在も否定できない。
この中に萌葱と協力しているものがいて、直接健吾を殺しに走る可能性が有る。


「警部。今回は誘拐とはいえ身代金の要求も無い、えらく奇妙な事件だよ。もしかしたら別の狙いがあるのかもしれない
 三島氏にも十分な警護を付けておいた方がいいと思うな」

「んなこたぁ言われなくても解ってんだよ、このメスジャリが!」


嫌われたもんだ。
出世欲の塊というのはこうも醜くなるものだろうか。



とりあえず、ここまでは僕が事前に知っている人物の話だ。
次は容疑者として本命になってくるであろう、屋敷の人物について少し調べてみなきゃね。