「警察の無能さには呆れるばかりだ」
つまるところ、犯行報告文書には身代金など一切記載されてはおらず、その代りに
この情報をメディアに露出させる要求があったらしい。
この情報をメディアに露出させる要求があったらしい。
「そんな誘拐犯居るわけ無いだろ」
「しゃーないんじゃねーの?要求どおりにしないで誘拐されたお嬢さんが殺されちゃったら
それこそ大事っていうかさー」
それこそ大事っていうかさー」
「まあ、有り得ないけどね」
その「誘拐されたお嬢さん」は、僕の目の前で優雅に紅茶なんか呑んでいる。
本当ならこんな奴に出す茶葉は無いのだが、もし今騒ぎたてられたら状況証拠と証言だけで
一気に僕等は誘拐犯に仕立て上げられかねない。
本当ならこんな奴に出す茶葉は無いのだが、もし今騒ぎたてられたら状況証拠と証言だけで
一気に僕等は誘拐犯に仕立て上げられかねない。
「港の近くにアジトなんか構えちゃったのが、また凄くそれっぽいよな」
「アジトって言うな」
結局、こいつの目的はこの自作自演の誘拐劇の犯人役に、僕等を陥れる事だったのだろうか。
その動機がどうであれ、僕の行動は全く持って迂闊だった。
ボイスレコーダーでも回しておけば、少しは状況を好転させられたのかもしれないのに。
それにしたって、この女にまんまとやり込められた事に変わりは無い。
その動機がどうであれ、僕の行動は全く持って迂闊だった。
ボイスレコーダーでも回しておけば、少しは状況を好転させられたのかもしれないのに。
それにしたって、この女にまんまとやり込められた事に変わりは無い。
「……で、だ。なんでこんなことをしたのか聞かせてもらえるかな」
「さっき言ってたホワイダニットって言う奴ですか?探偵ならそこも推理すべきではないでしょうか」
カチンときた。
この女、先ほどまでとは打って変わって余裕綽々と言った態度だ。
それもそのはず、彼女は現在、僕に対して圧倒的優位な状況に立っている。
この場で殺して埋めてやろうにも、これだけ大掛かりに捜索されている人間相手にそれは不味い。
この女、先ほどまでとは打って変わって余裕綽々と言った態度だ。
それもそのはず、彼女は現在、僕に対して圧倒的優位な状況に立っている。
この場で殺して埋めてやろうにも、これだけ大掛かりに捜索されている人間相手にそれは不味い。
「でもどうすんのさ所長。このままだといずれここ、嗅ぎつかれちゃうんじゃないの」
「かといってこの女をこのまま解放したところで……」
「ええ、もちろん警察には貴方達が犯人だと証言しますよ。既に出来る限り、この事務所内には私の痕跡を残してありますし」
「マーキングのような事をする奴だな」
最悪だ。
自分の拠点内に、現状最大の敵を置き続けねばならないこの状態。
おそらく癌を患ったらこんな気分なのではないだろうか。
自分の拠点内に、現状最大の敵を置き続けねばならないこの状態。
おそらく癌を患ったらこんな気分なのではないだろうか。
「………しかし手口は斬新だったよなぁ。警察相手じゃこうは行かないぜ?探偵事務所選んで堂々殺人予告ってのがさ」
「…ウチを選んだのがまた絶妙だね。警察と仲のいいところもあるからさ。嘘の予告だろうが突き出されて調べられる」
「嘘ではないですよ?」
「……………は?」
思わずその場で固まってしまう。
「さっき言ったことは真実です」
「………………」
「この際、ボイスレコーダーを回して貰って居ても特に構いませんが、私は彼を殺します」
「………なにを言って」
「勿論、この部屋から出なくても問題ありません。どうぞ鳳探偵事務所の皆さんは私を監禁し続けてください
この場所から私は犯行を実行に移します」
この場所から私は犯行を実行に移します」
「いわば、逆密室殺人です」