邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ 大言はどこに根拠を持つのか

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「警察の無能さには呆れるばかりだ」


つまるところ、犯行報告文書には身代金など一切記載されてはおらず、その代りに
この情報をメディアに露出させる要求があったらしい。


「そんな誘拐犯居るわけ無いだろ」

「しゃーないんじゃねーの?要求どおりにしないで誘拐されたお嬢さんが殺されちゃったら
 それこそ大事っていうかさー」

「まあ、有り得ないけどね」


その「誘拐されたお嬢さん」は、僕の目の前で優雅に紅茶なんか呑んでいる。
本当ならこんな奴に出す茶葉は無いのだが、もし今騒ぎたてられたら状況証拠と証言だけで
一気に僕等は誘拐犯に仕立て上げられかねない。


「港の近くにアジトなんか構えちゃったのが、また凄くそれっぽいよな」

「アジトって言うな」


結局、こいつの目的はこの自作自演の誘拐劇の犯人役に、僕等を陥れる事だったのだろうか。
その動機がどうであれ、僕の行動は全く持って迂闊だった。
ボイスレコーダーでも回しておけば、少しは状況を好転させられたのかもしれないのに。
それにしたって、この女にまんまとやり込められた事に変わりは無い。


「……で、だ。なんでこんなことをしたのか聞かせてもらえるかな」

「さっき言ってたホワイダニットって言う奴ですか?探偵ならそこも推理すべきではないでしょうか」


カチンときた。
この女、先ほどまでとは打って変わって余裕綽々と言った態度だ。
それもそのはず、彼女は現在、僕に対して圧倒的優位な状況に立っている。
この場で殺して埋めてやろうにも、これだけ大掛かりに捜索されている人間相手にそれは不味い。


「でもどうすんのさ所長。このままだといずれここ、嗅ぎつかれちゃうんじゃないの」

「かといってこの女をこのまま解放したところで……」

「ええ、もちろん警察には貴方達が犯人だと証言しますよ。既に出来る限り、この事務所内には私の痕跡を残してありますし」

「マーキングのような事をする奴だな」


最悪だ。
自分の拠点内に、現状最大の敵を置き続けねばならないこの状態。
おそらく癌を患ったらこんな気分なのではないだろうか。


「………しかし手口は斬新だったよなぁ。警察相手じゃこうは行かないぜ?探偵事務所選んで堂々殺人予告ってのがさ」

「…ウチを選んだのがまた絶妙だね。警察と仲のいいところもあるからさ。嘘の予告だろうが突き出されて調べられる」

「嘘ではないですよ?」

「……………は?」

思わずその場で固まってしまう。

「さっき言ったことは真実です」

「………………」

「この際、ボイスレコーダーを回して貰って居ても特に構いませんが、私は彼を殺します」

「………なにを言って」

「勿論、この部屋から出なくても問題ありません。どうぞ鳳探偵事務所の皆さんは私を監禁し続けてください
 この場所から私は犯行を実行に移します」








「いわば、逆密室殺人です」