邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ タイヨー仮面と夜の王さま

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毎度おなじみイザグラのありがたい表紙絵。
王さまがエラいかわゆくなられました。



タイヨー仮面と夜の王さまは、文目が幼少時に読んだ絵本である。
この絵本のイメージが後に菖蒲の形を具現化したと思われる。

以下全文
この絵本は全体の話自体はさして重要ではなく、むしろキモとなるのは大幅な余白の後部分である。


タイヨー仮面と影の王さま



少しむかしのお話です。
とおくはなれた雲の上、青空ひろがるその下に、太陽の国はありました。
太陽の国はいつもあかるく、みんな笑顔でくらしていました。

ある日、平和な太陽の国に、夜の王さまがやってきました。
いつあかるい太陽の国が、夜の王さまはきにいりませんでした。
王さまは影のまほうをつかって、太陽の国を闇夜の国に変えてしまおうとおもいました。

みんなが3度寝て起きると、太陽の国はすっかりまっくらになってしまいました。
男の子も女の子も、犬もねこも小鳥たちも、まったく笑わなくなってしまいました。
影のまほうがみんなの心のなかにまで、まっくらな影を作ったのです。
まいにちまいにち光はささず、みんなはケンカばかりして、夜の王さまはとてもまんぞくでした。

しかし、太陽の国のヒーローであるタイヨー仮面だけは、影のまほうがききませんでした。
タイヨー仮面は心の影を消すことのできる、ふしぎな力を持っていたのです。

タイヨー仮面はみどりのマントをひるがえし、太陽の国じゅうをとびまわりました。
ころんでないてる女の子は、タイヨー仮面が手を貸してあげると、泣きやんですっかり笑顔になりました。
いじめられてる男の子は、タイヨー仮面と友達になって、きづくといじめっこたちとも友達になっていました。
ケンカしている大人たちは、タイヨー仮面がはなしをきいてあげると、そのうちすっかりなかなおりしました。
太陽の国はこうやって、すこしずつ影をおいはらっていきました。

こうなると夜の王さまは面白くありません。
せっかく太陽の国をまっくらやみにできたのに、全部だいなしになってしまったからです。
王さまはタイヨー仮面の心にも影のまほうをかけてやろうと、タイヨー仮面のところにやってきました。


「おいタイヨー仮面。よくもみんなの影をおいはらってくれたな。ゆるさないぞ!」
とても怒っている王さまに、タイヨー仮面はききました。
「きみはどうしてあんなことをするの?みんな笑顔で仲良くしてたほうがたのしいだろ?」

王さまはそれを聞いてもっともっと怒りだしました。
「おれにはだーれも友達がいない。真っ暗な夜の王さまというだけでずーっとずーっときらわれものだ。
 おれはみんなと仲良くできないのに、みんなはおれを除けものにして笑っているんだ。
 そんなの楽しくもなんともない!」

それを聞くとタイヨー仮面はうなづきました。
「それはたしかに楽しくない。じゃあ友達をつくればいいんだよ。さっきいじめられてた男の子も、そうして笑顔になれたんだ。
 まずはワガハイとともだちになって、それから少しずつ増やしていけばいいんだ。」

王さまはそんなことを言われたのは初めてでした。だから最初は意地を張っていましたが、だんだん本音ではなせるようになっていきました。
影のまほうが利くのと同じ、みんなが3度寝て起きると、タイヨー仮面と王さまは、すっかり友達になっていました。
それよりもっと時間がたつと、王さまはみんなと仲良しになり、笑顔でくらせるようになりました。
こうしてみんなはタイヨー仮面に助けてもらい、とても幸せになりました。めでたしめでたし。













タイヨー仮面は疲れていました。
みんなの心の影を消すちからは、心の影を自分にうつしてしまうちからでした。
ひとを笑顔にするために、タイヨー仮面が頑張るほど、その心は影に覆われ、真っ暗に染まって行きました。

みんなは笑顔になりましたが、タイヨー仮面は笑顔をなくしました。
みんなが失った笑顔の代わりに、タイヨー仮面が笑顔を分けてあげたのでした。

タイヨー仮面はヒーローです。ヒーローはみんなを助けてくれます。
でも、ヒーローを助けるヒーローなんて、タイヨー仮面はきいたことがありませんでした。
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