この年の乙女実習は全て終わり、そしてこの1年の全日程は終了した。
セイジもほっと力を抜く。
「やっと終わったわね、じゃなかった終わったな」
何気なく見せた表情が少女と化したどの男子生徒より女性的であった。
アパートに帰るとセイジは驚いた。
「お帰り、姉さん」
既に実習を終えた筈のスナオがまた女になっていたのである。
「スナオ、なんで女になっているの・・・」
セイジは慌てて口を押さえるのだが、
「もう男っぽく振舞わなくて良いじゃない」
動揺するセイジを見て苦笑するスナオ。
「校長にお願いして春休みの間だけまた女にしてもらったんだ。姉さんが心からくつろげるように」
「スナオ、私のためにそこまで」
セイジはもう女っぽい仕草を気にしようとはしなかった。
するとセイジの体が変化し始め、
体つきがジャージの上から分かるほど華奢になり、
平たかった胸が盛り上がっていき、
臀部が大きく張り出して、そして四肢は細くなり、
髪が腰の辺りまで伸びていく。
「ふぅ」
口から出る声も既に綺麗なソプラノヘと変化した。
「お疲れ様、セナ姉さん」
南原セイジ。本名は南原セナ、そして本当は女性。
だが、生徒達だけを性転換させるというのは負い目に感じ、
そして男子生徒ばかりの中に女である自分がいるという状況に危機感を抱いている事もあり、
夏休みや冬休み、春休みという長期休暇以外は男性教師として振舞っていた。
「はい、姉さん」
スナオはブラジャーを差し出す。
「ちょっとスナオ、勝手に私の下着を・・・」
「良いじゃない。今は女同士だし」
まるで元から女であったかのようににっこりと微笑むスナオ。
「そうね。それじゃスナオ、一緒にお風呂入る?」
「えっ?」
「良いじゃない。今は女同士なんだし」
セナはスナオと嬉しそうに風呂場へと向かった。
南原セイジ…「同居人」の北原誠治と逆でここではこれが仮の姿。
実は女で本名は南原セナ。
男ばかりの中に女でいる事に危険感を抱いたのと、
生徒達に性転換させているという負い目から自ら志願して男性化しているが、
この秘密を知っているのは甥であるスナオだけ。
長期休暇の間は本来の女に戻る。
ここでは無事に実習を終えてほっとして彼から彼女に戻るところで締めくくりという話。
最終更新:2012年10月21日 20:10