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とある二人たちのホワイトデー

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だれでも歓迎! 編集
バレンタインでの爆発(表向きにはガス爆発)を原因とする学校閉鎖も解かれてから三週間たった。
しかし、その教室には二人欠けていた、土御門と青髪ピアスである。
二人のお調子者のいない教室はいつもより少し寒く、少し静かだった……かなり静か、の方が適切なほどに。


とある二人たちのホワイトデー


本編前の各所の様子
scene1 神作ひのと天井亜衣


ここは戸或高校(とあるこうこう)の廊下。
そこを立派なロリなボディをもった少女が歩いている。
彼女の名前は天井亜衣、元はお尋ね者で借金まみれの男である。
しかし、その記憶も薄れてきたようで彼女の中にはヤブ医者(冥土帰しという実に高名な医者を彼女はこう呼ぶ)に“何か”されたような気がする程度のことと口調ぐらいしか残っていない。
そしてその隣を歩く桃色の髪の少女は我が宿主、神作ひのである。
彼女も元は猟奇的殺人男なのだがそんなことは全て忘れ、見事なナイフ捌きと右手に宿すエンゼル様のみ残っている。
どうやらエンゼル様も冥土返しによる“何か”をされたようでバレンタインの時のように協力的になっているようだ。
その内、元・借金まみれ男が教室の扉を開き、口を開く
「……お、まだあの馬鹿二人は来ないのか」
なんとなく気が付いたような言い方でも先に教室見渡していたら意味ないですよ?
「亜衣ちゃん、あの二人なら大丈夫よ。こんなこと何回もあったし気に病むことでもないわ」
ほら言われた。はっきり言って心配しているのがクラスの女子にも分かるぐらいバレバレだ。まぁ自分が原因と思っているならしょうがないか。
「別に気に病んでない。そういえばこのクラスに転校生が二人来るらしいぞ、職員室で話してた」
「そうなの!?……でもその人たちには悪いけど今ウチのクラス歓迎するような気分じゃないのよね…」
「はぁ……そうでもないみたいだぞ?」
話を聞きつけた男たちは未だ見ぬ美少女、女たちは未だ見ぬ美少年へと思いを馳せ、半分ほど魂がトリップしている。
そうそう、いま亜衣が話している少女は九図間 千歳(くずま ちとせ)といいクラスの良心を担っている。ここだけの話、今作以外での出番は未定だ。
「出してよ!!…あ、ううん何でもない。ただ不吉な声が聞こえただけ。でもこれで転校生が平々凡々な顔だったらまた元通りなんだよね」
まだ見ぬ転校生はプレッシャーだな。でも亜衣やひのが転向してきたから案外忘れがちなことだが転校生が美形なことってあんまりないんだよね。

キーンコ-ンカーンコーン

始業のベルだぞ、ひの、定位置に付けこもえ先生がいらっしゃるぞ。
「は~いみんな静かにしてください。きっと転校生の話題で持ちきりなのはキラキラ光るみんなの目で分かりますけど、転校生はまだ来ません」
「「「え~~~~」」」
「え~~~~、とか言わないで下さい!でもこれじゃあ皆がかわいそうなので転校生のプロフィールを紹介したいと思います」
「「「いえ~~~い!」」」
転校生に一喜一憂する馬鹿ども。
「まずは…二人とも可愛い女の子です!」
「「oh…」」「「「おおぉぉぉぉ!」」」
左は女子-(ひの+吹寄+亜衣)の声、右は男子+ひのの声である。ところでこもえ先生は雄叫び上げないで下さい。
「じゃぁ次は名前です。一人は五十嵐 夏海(いがらし なつみ)ちゃん、とっても明るい子でしたよ!」
「おぉぉおぉ!」
「もう一人は土御門 雪花(つちみかど ゆか)ちゃん、金髪の愛らしい子ですよ!」
もっとも学内ロリショタ番付一位のこもえ先生からしたら赤子のようなのだろうが……あれ?つまりはもっとロリなのだろうか?
もちろん二位は天井だ。はっきり言ってこの二人以外に票は入っていない。得票数がほぼそのまま男子と女子の人数だ。
「「おおぉぉぉ…ぉお?土御門?」」
「なんでも土御門ちゃんとは親戚関係にあるらしいですね~」
「「「へ~」」」
「おっと、そろそろ一時限目が始まるので準備お願いします」

さて学園都市といえども授業風景はそこらの高校と大差ないので休み時間にしよう。
ついでにこの次の時間のHRに転校生が来ることになっている。

「おい、土御門に親戚がいるってのは知ってたのか?」
「いや初耳だぞ?」
これは亜衣と灯子の会話だ。
「お前でも知らないか……いくらなんでもタイミングが良すぎる、お前はどう思う?」
「どっかの陰謀ってか?まさか。ところで天井」
「あ?なんだ?」
「いいかげん上条か灯子と呼んでくださいませんか?」
「あぁ分かった」
ここで会話にひの乱入だ。
「亜衣、良かったですね」
「あぁひのか、何がだよ?」
「こもえ先生を凌ぐほどの愛らしさなら亜衣の好敵手になるです」
「………それで?」
三点リーダー三つ以上の亜衣は要注意だ。ちょっと切れかかってる証拠だからな。
でも空気を読まないからこそひのである。さらに特攻。
「その転校生とお二人で切磋琢磨しあってください」
「…………なんで?」
ついでに数が増えるごとに亜衣は危なくなる。
ひのよ、そろそろ止めた方がいいぞ。……やめませんよね。
「二人ともさらに可愛くなります」
「……………ほう」
「そこを私がすかさずパックンチョ、二人ともおいしく頂くです」
ものすごい宣言を聞いてしまった。まさか、私のひのがそんな性癖持ちだとはー(棒読み)
「お前だけがその特殊な性癖を持っていることを忘れていないか?」
「そんな物、二人を手に入れるためにFORGETです」
「そんな高度すぎる親父ギャグはやめろ」
そんな亜衣の突っ込みに周囲ポカンであるが、ひのだけ嬉しそうだ。
「さすが私の亜衣です!感動しました!」
「私の言うな」
さっきのひのの言葉は英文にするとI forget it for get two girlsとなって『for get』と『forget』が係っている。
そこを亜衣が気づいて突っ込み、ひのが感動したのだが……本当に高度すぎる。むしろこれはギャグなのだろうか?
とそんな時、

ガララララ

( (来た……!))
男子達の目が一斉に、女子達はチラチラと扉のほうを見ている。
「は~い皆さん!とうとうやってきまs」
「先生!建前はいいから早くしてください!」
「バカ!先生泣かしてんじゃないわよ!話を聞きなさい!……どうぞ先生」
千歳である。実は彼女は所謂こもえ先生親衛隊長なのであるので先生を泣かせるとキレる。
「あ、はい。え~とでは二人ともどうぞ」


scene2 五十嵐夏海と土御門雪花


二人は学校の小会議室で待たされていた。
「雪花ちゃん、でいいん?どうしてこの学校に?」
もちろん五十嵐夏海の言葉である。
「ん~兄貴が昔に通ってたからかにゃ~?兄貴って言っても血は繋がってないんだけど」
「へ~お兄さんは今何してるん?」
「………行方不明者」
そういう前に土御門雪花は、やっぱり、と呟いていたが。夏海の耳には届かなかったようだ。
「あ、そ、そうなん?なんかゴメンな」
「気にしなくていいよ。馬鹿な兄貴だったからにゃ~」
「へ~、それにしてもさっきの先生ちっちゃかったな~」
もちろんこもえ先生のことである。
「うん、女子に人気がありそうだにゃー」
「でも私は雪花ちゃんみたいな方が好きやで?」
「え゛!?お前……」

「あれ?残念やな~、やっぱこっちの気はないんか~、さっきの黒髪さらさらヘアーの人とかあのロリっ子と同じクラスかな~」
上やんもうフラグ立ててるにゃー…さすが、と金髪の少女はしみじみ思う。
「ところでその髪凄いな~、ごっつ綺麗や~」
常識的に考えて雪花の髪は金髪でまず凄い。そしてその髪質も艶々滑々で凄い。さらに癖なんか全く付いてないから凄い。
「ナッちゃんに言われたくないにゃ~」
「私ナッちゃんなん!?」
ナッちゃんこと夏海の髪も確かに凄かった。腰ほどある髪を結んでいるピンク色のリボンは大きく、所謂ねこみみリボン。そしてそのピンクが映える髪は蒼い。
蒼髪、それは誰かを思い出させる……
「それに目もでかいにゃー」
「そんなことないねん」
ロリ好きで少し色が違うが蒼髪でなんちゃって関西弁、青髪ピアスそっくりである。
……まぁそうなんだけどさ。
そしてそうなるともちろん雪花も土御門元春その人。
この二人は先月のバレンタイン爆発事件で重篤、通常の治療不可とされて身体を弄られたのである。
その副作用で…というより本来の目的なのだが性別を入れ替えられたのだ。
機器の連続使用による不具合で土御門雪花、つまり元春の記憶を完璧には改竄出来なかったようだが。
そういえばこの機器、ロリと美少女しか作ってない気がするのだがどうなのだろう?
不細工にレアのレッテルが貼られるような世の中にはならないでほしい。
「ナッちゃん、土御門元春って知ってる?さっきのうちの兄貴なんだけど」
「う~ん、聞いたことないなぁ」
「そっか(やっぱ完璧に記憶改竄されたみたい…)」
しかし記憶は改竄されていなくても男性としての片鱗はもう見当たらない。
彼、今は彼女の記憶には自分は男性であり女性に変えられた、という記憶はあるもののそれだけなのである。
彼女には自分が女性に代わってしまったことの嫌悪感など無く、女性であることに疑問も無い。
「「……・………………」」
沈黙。
「蒼髪ピンクリボン、略して蒼ピ……やっぱ蒼ピがいいな」
「へ?なんや?」
「夏海を今日から蒼ピと呼ぶことにするにゃー」
「え~………ん、蒼ピ?なんかしっくりくるなぁ、でも定着するんかな?」
まず間違い無く定着しない。だって傍から見たら別人なんだから……
「冗談を真顔で返されても困るにゃー」
「そりゃそうやねー…お、こもえ先生や」
男の子……じゃない男なのに桃髪で違う意味で女子に人気があって絶対乗法記号の後ろに来る人だ。
「お二人とも~教室行きますよ~」


scene3 御坂ミコトと白井黒子


「お兄様!?そんなっ!だめですの……」
「うるさいなっ!」
「あぁ!あぁ…ダメ…あぁぁぁぁぁ!!」
「おい?どうしたんだよ?」
「もう見てられませんわ!どいてくださいですの」
ここは学生寮のキッチン、新婚夫婦みたいな二人が…
「ちげぇよ!」
みたい、じゃなくて夫婦なんですか?…いや何も言ってませんよ?
…二人が行っているのはクッキー作り、さっきまではミコトがやっていたが、ダメダメなので黒子が無理矢理ゴムベラを奪い取ったようだ。
「ほら!ここにあるのはなんだと思いますの!だまですの!全く、こんなでは想い人に上げるほどのレベルには程遠いですの」
「むぅ……」
なんで男女が一つ屋根の下の学生寮に…なんて野暮なことはスルーして…
「あれ?黒子はなんで俺を手伝ってるんだ?」
「私も人にあげるからですの!」
「でもお前は女……だよな?女装癖とかって言うまことしやかな噂が流れているけど、まさかな?」
「当たり前ですの!その貰ったからですの…戸或高校の上条灯子さんからチョコを……」
「え!?上条灯子って……いつの間に?俺はあのときの爆発騒ぎで貰えなかったぞ?」
「その次の日入院していたらくれたんですの」
正確には上嬢灯子が隣の病室にいるはずの土御門たちに渡そうとしたら行方不明になっていたので家庭科室にいた黒子に上げたわけなのだが……
だが少女の頬は少し上気している…どうやら変わった性癖を持っているのは確かなようだ……
「と、いうわけでお兄様も一応ライバルなのですがこの実力の差はさすがに後ろめたいので協力しようかと思ったのですの」
「そ、そうか……」
顔はいいのに変わったやつ…と思っているのか少年の顔は引き攣っている。
どうしたんですの、と聞く少女にも分かったようで、
「そんなに嫌そうな顔なら協力はしなくていいですのね。私は私の材料を買ってきますの」
少女は出て行った。

黒子は焦燥した。必ず、かの超電磁砲の男を負かさねばならぬと決意した。黒子には男の心が分からぬ。
黒子は学園都市の風紀委員である。空間を移動し、悪人をぶっ飛ばして暮らしてきた。けれども乙女心には敏感である。
「誰も一昼夜走り通すつもりはありませんのよ?」
白井黒子はスーパーにいた。
「ん~相手は女の子…しかも年上…長髪…良い香り…っは!よし、これとこれを使って……」
どうやら何を作るか決まったようだ。

ミコトは激怒した。必ず、かの同性愛者の女を……
「誰も一日中なんて走らねぇよ!」
おぉ、見事な天丼(同じボケを重ねること)もどきの完成だ!
ミコトはオーブンの中をじっと見ていた。三度目の正直を祈って。
ついでに一回目はコゲコゲの真っ黒け、二回目は水分が足りなくてひび割れている。
「お、お、お!ここだ!……できた~!」
どうやら二度あることも三度目はなかったようだ。
「黒子、悪いが負ける気はないからな」
自信をみなぎらせ空間転移できた少女に向かって言い放つ。
「……その黒焦げ歪なクッキーで私に勝つつもりですの?それ、ゴキブリに見えますの」
「これは失敗作だー!」

第672組・白井黒子VS御坂ミコト
今年初参加の二人!火花というより静電気が飛び散っております。


scene4 神作ひのと五十嵐夏海


自己紹介も終わって親睦会となるべく設けられた休み時間
「あ!黒髪サララ!」
「……………あ、俺?」
「そうだぜ~上やん、もうフラグ立てたのか?」
「土御門、お前………怖がりだろ!?ウチの学校自慢の理科室連れて行ってやるよ!」
「…………あ~よろしく頼むにゃ~」
「にゃ~、はやめい!」
あれは任意同行に見えないこともないな。
残ったのはひのと五十嵐夏海である。
「夏海さんでいいですか?」
「もちろんや、むしろ全く関係ない呼び方されても困るっちゅーか……」
「ずばり聞くです!アカシアの花言葉は!?」
「秘密の愛や!じゃあ同じような意味の花は!」
「イキシア、秘めた愛です!なるほど貴女はやはり……貴女が好きな花は?」
「決まってるやんか、神作だってそうやろ?」
「まぁそうです。ところで誰か狙ってるです?」
「……うーん、さっきの……亜衣さん?や」
「そうですか、今から私達はライバルです」
ものすごい会話だな。公序良俗にギリギリ反してるぞ。
むしろ口が挟みにくいな。
「……ものは相談なんやけど。私ここら知らへんからホワイトデーの買出しとか協力せぇへん?」
「まぁライバルなのにフェアじゃないのはいただけないです。楽しめないですし。合言葉は……」
「「白い百合」」
コラ、そこニンマリするな
この密談が今年のホワイトデーの名を変えるとは誰が予想しえただろうか。
「おいひの、私に渡す気か?」
「あ、亜衣、もちろんです♪」
「なら条件はバレンタインのときと同じだからな…あ、五十嵐もだ」
「あ、え、はい…?」
なら今回も受け取らなくて平気だな、なんて言いながら亜衣が去って行った。
条件とは『上条灯子に何かを受け取ってもらうこと』だ。簡単などと思うことなかれ、彼女は行事のプレゼント、特に食品はひとつしか受け取らないのだ。なぜなら太るから…
そして彼女にプレゼントしたい人は他クラス、他校など当たり前、そして他国にまでいて数千人以上にも上るのだ。
その数千人もの猛者を毎回誰かが開催している予選・本戦と勝ち抜かなければならないのである。
ついでにバレンタインのときは病院に行った時に看護婦さんから貰ったらしい。
「夏海さん聞いたです?」
「…まず他で勝負やな」

第871組・神作ひのVS五十嵐夏海
愛(亜衣?)のために戦う二人!ここに参加表明です。


scene5 上条灯子と土御門雪花


「土御門だよな?」
「さっき自己紹介したの聞いてなかった?」
「元・土御門元春だよな?」
「そうにゃ~気付いてよかった」
「じゃあ五十嵐は青ピか?」
「うん」
そうか、よかった…なんていいつつ上条さんあまり良くないような気がしなくもないですが?
「土御門、頼みがある」
「名前で呼んでにゃ~」
「雪花、いつもどおりに頼む。絶対にあいつらを落としてくれ」
「じゃあまずはにーチン潰すにゃ~」
「頼んだ、礼は」
去年と同じは嫌だなぁなんて考えてる顔だ
「去年と同じメイドコス……は飽きたからあえての執事コスなんてどうかにゃ~」
「わかった、それでいい」

おぉっと!ここで毎年ベスト4まで進んでいる実績のある土御門の参加だぁぁ!
しかし性別が変わったので初参加扱いです。


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