552 :悲しい一人暮らし:2006/11/23(木) 11:15:54.06 ID:r1uxglDdO
では。
1
女が死んだ。
自殺だった。僕と幼は喜んだ。
「これで二人の邪魔をされない。彼女の嫌がらせを受けなくて済む。」と。
しかし、葬式が終わった後僕達は彼女の両親に呼び出された。
そして遺書を読んだ。
男さんと幼さんへ。
この手紙を読む頃、私はこの世に居ないと思います。私は、男さんに振り向いて欲しかった。私だけを愛してほしかった。
なのに、二人は私の見てる前(正確にはモニター越しである)で愛し合った。何度も。私は決めました。
死んで、あなたを幼の手から守ります。男さん、愛しています男さん、愛しています男さん、愛しています………




553 :VIP足軽の子:2006/11/23(木) 11:17:08.09 ID:r1uxglDdO
2
その後はもはや字になっていなかった。
辛うじて読めた部分はすべて、僕への告白と幼への恨み、つらみだった。最後にはきれいな字で
「男さん。待っていてください。幼を殺したら迎えに行きます☆」
と、書いてあった。僕は、恐怖で目眩がした。彼女は狂っている。いや、狂っていた。
僕達は凍り付いた。さっきまでの嬉しさ、解放感、1ミリの罪悪感はいつの間にか恐怖にすり替えられていた。
そして、夜が来た。




554 :VIP足軽の子:2006/11/23(木) 11:18:22.97 ID:r1uxglDdO
3
女は青白い顔で微笑みかけてきた。
僕は恐怖で失禁してしまった。叫ぼうにも声が出ない。やっとの思いで呟く。
「なんで…。死んだはず……。」
彼女は微笑みを崩さずに言う。
「手紙、読みました?あの通りです。幼さんを殺したら迎えに来ます。今日は挨拶に来ました。では☆」
そう言うと彼女は消えた。




555 :VIP足軽の子:2006/11/23(木) 11:19:37.64 ID:r1uxglDdO
4
その後数日は何事も無いように思えた。
そして、数日ぶりに幼に合った。幼はかなりやつれていた。
「どうしたんだ!?何があった?」
問う。
「女さんが…毎日来るの。」
幼によると、女は毎日幼の所に現われてこう言繰り返すらしい。
「男さんを返せ。殺してやる。殺してやる。」
そして、彼女の顔は赤黒く浮腫んでいるらしかった。




556 :悲しい一人暮らし:2006/11/23(木) 11:20:54.36 ID:r1uxglDdO
5
僕は、すぐに対策を取った。
部屋に札を張り、塩を撒いた。そこで幼と二人で寝ることにした。
その夜さっそく彼女は現われた。だか、僕には姿が見えずに声だけが聞こえた。
「男さん。無駄ですよ。私にはこんな物、意味がありません☆」
張ったはずの札が僕の方に飛んできた。そして、
「明日から妙な真似をしたらすぐに幼さんを殺します。ご家族も。」
そう言うと気配が消えた。
幼は泣いていた。




557 :悲しい一人暮らし:2006/11/23(木) 11:22:27.37 ID:r1uxglDdO
5
翌日。
幼が自殺した。
遺書等は見つからなかったそうだ。彼女だ。次は僕だ。
その夜、彼女はさっそく来た。
「約束です。行きましょう☆」
僕は静かにドアノブに掛けたタオルに首をくぐらせた。
幼の元へ、彼女ではなく幼の元へ行けるように。
「ようこそ☆待っていましたよ、男さん。これで邪魔な人は居なくなりました☆」
終わり。

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最終更新:2006年11月23日 12:08