カロン株式会社

??? 「おい!起きろよ!」
女王 「う~ん。」
おうじ♪ 「やっと目が覚めたか。」
女王 「あ?あんたはおうじ♪!あんた生きてたの?」
おうじ♪ 「いや、死んでるよ。」
女王 「え?」
おうじ♪ 「察しの悪い女だな、あんた。俺もあんたも死んだんだよ。」
女王 「そうか。あたしは死んだんだね。」
おうじ♪ 「そうだよ。あんたは死んだんだ。」
女王 「で、ここはどこなんだい?」
おうじ♪ 「あの世とこの世の境界を流れる川だ。ここは、この世側の川岸だよ。」
女王 「三途の川ってやつだね。」
おうじ♪ 「そうだ。」
女王 「けど、あんた口悪いね。生前もそんなだったかい?」
おうじ♪ 「生前からタメ口だったぜ。それにもう死んじまったんだから、しゃべり方なんかどうでもいいだろ。」
女王 「ああそうだね。あんた生前もあたしのこと、あんたって呼んでたよね。」
おうじ♪ 「そうだったかな?」
女王 「あんたぐらいだよ。あたしのことあんたって呼んでたポケモンは。」
おうじ♪ 「俺は人に仕えるなんてまっぴらごめんだったからな。」
女王 「で、結局命を落としたのはあんたとあたしだけかい?」
おうじ♪ 「そうみたいだな。俺とあんたは嫌われ者だったからな。バチが当たったんだぜ。」
女王 「ふん。すまなかったね。あたしとしては、ポケモンたちをなんとか助けたかったんだけど、あんただけは救いようがなかったみたいだね。お互い救いようのない馬鹿だわ。」
おうじ♪ 「ほっとけ。」
女王 「でも、嫌われてたんは、あんただけだよ。あたしは人望があったし、ファンも多かったんだからね。」
おうじ♪ 「け!あんたの性格救いようがなかったじゃないかよ。」
女王 「あんたに言われたくないよ。でもまあ、そう言われてみれば、まったくそうだね。けけけけ。」( `∀´)
おうじ♪ 「あんた戦闘ヘリ使って、R団の連中にロケット弾ぶち込んだだろ?」
女王 「あんた、よく知ってるね。そんときもう死んでたんじゃないのかい?」
おうじ♪ 「虫のお知らせってやつさ。あんたの悪名はここまでも届いてるんだぜ。」
女王 「けけけけ。こんなところまでそんな噂が流れてるなんてね。コケ威しの割には結構効いたみたいだね。」
おうじ♪ 「しかし、そんな物騒なもの使って、よく死人がでなかったな。」
女王 「硝酸カリウムの特殊弾頭使ったからね。凍るだけで殺傷能力ないんだよ。あれ。」
おうじ♪ 「でも、硝酸カリウムってインポになるんじゃないのかよ?」
女王 ( `∀´)「けけけけ。そんなの単なる都市伝説さ。そんな薬理作用は確認されてないけど、あたしが意図的にデマ流してやったんだよ。」
おうじ♪ 「おまえ、相当悪どいな。」
女王 「はったりでも、やつら相当ビビってたみたいだから、それなりの効果はあったんじゃない。」
おうじ♪ 「け!地獄への旅の道連れがおまえかよ。」
女王 「あたしを待っててくれたのかい?先に地獄に落ちとけばよかったのに。」
おうじ♪ 「け!別にあんたを待ってたわけじゃねえ。金がなかっただけだよ。」
女王 「え?地獄に行くのに金がいるのかい?」
おうじ♪ 「お前何も知らないんだな。三途の川を渡るには渡し賃がいるんだぜ。」
女王 「あたし持ち合わせないよ。」
おうじ♪ 「ちぇっ!普通は葬式んときに持たしてもらえるんだけどな。あんたロクな死に方してねえな。」
女王 「いや。あたしの別人格がまだ生きてやがるからね。うちが死んだなんて誰も思ってないよ。」
おうじ♪ 「え?なんだって?」
女王 「もうどうでもいい話だけどね。」
おうじ♪ 「しかし、金がないんだったら、渡し守のカローンのじいさんの下でしばらく働かなきゃなんないぞ。200年くらい。」
女王 「カローンって何か聞いたことある名前だね。」
おうじ♪ 「死者の霊を舟であの世に運ぶじいさんだよ。これがまたケチくさいじいさんでよ。金もってない亡者をタダ同然で働かせやがんだよ。」
女王 「はん!独占企業だから怖いものないよね。」
おうじ♪ 「まあ急ぐ旅でもないし、あいつの下で働くかな。」
女王 「いいこと思いついたよ。あんた筏作りな。」
おうじ♪ 「え?自分で舟作って渡るのかよ。それもめんどっちいなあ。」
女王 「ふっ。違うよ。ところで、そのじいさんの船賃いくらなんだい?」
おうじ♪ 「オボロス銅貨1枚か、1文銭6枚らしいぜ。」
女王 「そうかい。じゃあ、あたしは5文で渡してやるかな。オボロスってのはよくわからんけど。」
おうじ♪ 「お前ここで渡し守をするつもりかい?」
女王 「そのつもりだよ。誰でも絶対1回は死ぬんだから、この商売食いっぱぐれないし、亡者は絶対安い方の舟に乗るよ。」
おうじ♪ 「おいおい。死んでも商売する気なんだな。商魂たくましいやつだな。」
女王 「地獄の沙汰も金次第って言うじゃんか。このまま地獄に行ってもつまんないしね。」
おうじ♪ 「まあ、どうせ俺もすることなかったんだ。手伝ってやるぜ。」
女王 「じゃあ、店の名前はカロン株式会社にでもしようかな。」
おうじ♪ 「おい、あのじいさんの名前じゃないかよ。」
女王 「どうせ商標登録なんかしてないだろうよ。こんなの早いもの勝ちさ。先に名乗ったもの勝ち。」
おうじ♪ 「でもそんな紛らわしい名前だったら亡者が混乱するぞ。」
女王 「それが狙いだよ。あたしでも知って名前なんだ。きっとみんな間違えてうちの舟に乗るよ。」
おうじ♪ 「カローンのじいさん、商売あがったりだな。あんた死んでも阿漕な商売するんだな。」
女王 「そんなの知るかい。競争力のないものが淘汰されるのは自然界の摂理さ。さあいっちょやったるかい!」
おうじ♪ 「お前と一緒に居れば退屈しないですみそうだな。」
女王 「思いっきり稼いで、ここに冥界はるか♪御殿でも建てようかね。」
おうじ♪ 「け!好きにしなよ。」

<<カロン株式会社・終わり>>

(2009.11.16)

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最終更新:2009年11月18日 22:22