つかぬ間の静寂
【調査団体ORIGIN本部】
ギムレット 「おい。
クロフネから速達が来てるぞ。」
オペラオー 「しかし
クロフネは、どうしてメールとかファックスとか使わないんだろうな。今どき早馬や手紙じゃ流行らねえぜ。」
ギムレット 「手があんな爪状態だからな。パソコンや携帯は使えないんだろう。」
オペラオー 「じゃあどうやってペンを握るんだよ?」
ギムレット 「知るかよ。」
オペラオー 「お!いい記念切手使ってるじゃんか。」
ギムレット 「リーダーは、
クロフネに返事書いてやってください。」
オペラオー 「記念切手は、あとで俺にくださいね。」
ギムレット 「それから、返事は普通郵便でいいですよ。速達は高いから。それか
ヒヒンに運んでもらってもいいです。」
オペラオー 「ヒヒンって誰だい?そんな奴いたかな?」
ギムレット 「あれ?ちょっと違ったかな?」
ベッカム 「・・・あ」
ピロリロリン!ピロリロリン!
ギムレット 「おっと!メールだ。この着信音は
ラスカル♪からだな。」
オペラオー 「内容は何だい?」
ギムレット 「えーと、どれどれ。
PPKOは赤十字班や警察班などの人道的支援の派遣はすぐに決定したのですが、平和維持部隊の派兵がなかなか決定しません。一番のもめていることは、各委員の誰が部隊をどれだけ出すかということです。たくさんの人の意見や利害が衝突してしまってなかなか話し合いが前に進まないようですね。それから、ボクはまた
はるか♪さんのところに戻されることになりました。新しい情報が入手できしだい報告します。」
オペラオー 「
ラスカル♪にしては、予想以上のできだったな。」
ギムレット 「それでさあ、俺、言おう言おうと思ってたけど、言い出せないでいたことがあったんだ。」
オペラオー 「うーん。実は予想がつくんだが・・・。俺も思ってることがある。」
ギムレット 「じゃあ、いっせいのでぇ、で一緒に言おうか。いっせいのでぇ」
オペラオー・
ギムレット 「俺たちの存在意義!」
ギムレット 「はははは!やっぱり同じこと考えてたんだな。」
オペラオー 「はははは!俺と同じだ。はははは。」
ギムレット 「はははは。そうだよな。
ドトウなんかかわい子ちゃんと出かけてるが、この展開のペースだと、賢島でウーロン茶飲んでおみやげの真珠の入った文鎮買って帰ってきたら紛争終わってるって感じだよな。」
オペラオー 「それに俺たちが情報収集するよりもテレビやインターネットの方がニュースでやるの早いんだものな。」
ギムレット 「俺思うんだけど、俺たちストーリーテラーに徹するかだな。大変だ!こんな情報が入ったぞ!なんてな。」
オペラオー 「うん。そうだよな。各地に送り込んだエージェントなんか
ラスカル♪以外ろくな情報仕入れてこないんだものな。」
ベッカム 「・・・あ」
ギムレット 「そうそう、今週末1杯会する予定だったろ。」
オペラオー 「おっと忘れてたぜ。今回は俺が幹事だったよな。店はどこがいいかな。」
ギムレット 「
オシリアちゃんもさそうんだから、こましな店にしろよ。」
オペラオー 「HotPepperでいい店調べとくよ。一人4,000円以下で飲み放題付き・・・。」
ギムレット 「お前、そういうの情報収集能力高いからな。」
オペラオー 「できれば、焼酎揃えのいい店を・・・。」
ベッカム 「・・・」
【
R団主計局】
まりさ♪ 「ちょっとーーー!何で報酬これだけなのよ!」
係員 「ですから、
?????の身柄の確保に失敗したじゃないですか。」
まりさ♪ 「だからー。成功報酬はあきらめるわよ。だけど基本謝金が契約の半分以下じゃないの!」
係員 「これ以上は出せません。以上です。」
まりさ♪ 「ふん!もうあンたとこの仕事お断りだからね。頭にきちゃう!!!
むう♪行くよ!こんなとこさっさとお別れだよ!」
むう♪ 「ねえ。ねえ。ねえ。姉ちゃん!お金もらえた?ねえ。ねえ。約束だよ。リカちゃん人形買ってよ。」
まりさ♪ 「リカちゃん人形はなし。これじゃ当面の飯代にもなりゃしない!ぶつくさぶつくさ・・・。」
主任 「おい、何、報酬のことで傭兵ともめてるんだよ。」
係員 「いえ。報酬が安いとか文句ばっかし言いましてね。」
主任 「まあ、言いたいこともわからなくはないな。確かにもう
R団は資金的におしまいだ。傭兵どころか正規兵に払う給料ももうすぐこげつく。給料どころか来月の光熱費や水道代だって払えるか危ういってもんだ。」
係員 「これも
ロンシャン様が莫大な借金を背負ったためですよね・・・。」
主任 「ああ。俺たちも退職金の見込みあるうちに商売改めを考えた方がいいみたいだな。」
【野戦病院の病室】
サンノミヤ 「あんた。ほんとに心配したんだから。」
チビ 「父ちゃん!」
アマガサキ 「ああ。すまぬ。ほんとに心配をかけた。」
サンノミヤ 「一時はもうダメかと思ったよ。お医者さんは、奇跡的な回復だって。」
チビ 「父ちゃん!」
サンノミヤ 「でも、誰があんたをこんなひどい目に遭わせたんだい!許さない。」
アマガサキ 「それは、もういいんだ。それで、それがしも考えもうした。」
サンノミヤ 「・・・あんた日本語でお願い・・・」
アマガサキ 「ケガが治ったらキキョウに帰って畑でも耕しながら3匹で静かに暮らそう。」
サンノミヤ 「あんた・・・。」
チビ 「父ちゃん・・・。」
アマガサキ 「戦は、お前たちみたいな女こどもを泣かせるだけだ。それに気がついた。」
サンノミヤ 「あんたぁ!」
チビ 「父ちゃん!」
アマガサキ 「
サンノミヤ!
チビ!」
<<つかぬ間の静寂・おしまい>>
(2009.10.6)
最終更新:2009年10月06日 00:22