++ジャック・オイヒケ++

おイヒけ♪ 
ここは一体どこだろう?
でっかい川があるぞ。
人が並んでる・・・。
ああ、渡し船の桟橋があるんだな。
あれに並ぶのか・・・。

ぶえる♪レディアン) 「冥銭を払ったもんから、早く船に乗れよ!」
おイヒけ♪ 「冥銭ってなんだ?」
ぶえる♪ 「知らないのか?死者を彼岸へ運ぶ渡し船の賃料だ。」
おイヒけ♪ 「いくらだ?」
ぶえる♪ 「オボロス銅貨1枚か、1文銭6枚だ。」
おイヒけ♪ 「異国のコインなら、花売り娘の花と交換しちまったな・・・。」
ぶえる♪ 「持ってないのかい?お前、ロクな死に方をしてねえな。」
おイヒけ♪ 「ほっとけ。」
ぶえる♪ 「持ってないなら、俺みたいにしばらく渡し守のじいさんの手伝いをしろよ。」
おイヒけ♪ 「お前もゼニ持ってなかったんだな。俺と同じでロクな死に方してねえな。」
ぶえる♪ 「ほっとけ。・・・って。お前、契約付の魂みたいだな。」
おイヒけ♪ 「契約?そういえば・・・。何かそんな約束をしてたっけ・・・。」
ぶえる♪ 「悪魔と契約した奴は、こっちじゃねえ。ここは普通に死んだ人間の魂が来るとこだ。お前は、別んとこで裁きを受けるんだよ。」
おイヒけ♪ 「そうなのか・・・。」

おイヒけ♪ 「・・・って、追い払われちまったが・・・。どこ行けばいいんだ?」
むう♪ 「勇者様。勇者様。ボクが案内します。」
おイヒけ♪ 「おお。むう♪じゃないか。久しぶりだな。お前生きてたんだな。」
むう♪ 「もう!生きてるわけないじゃないですか!しっかりしてください。」
おイヒけ♪ 「ええっと・・・。そうだったな・・・。死んだら、むう♪に魂をやるって約束してたよな・・・。俺、死んだんだよな。」
むう♪ 「それがね。ややこしいことになっちゃったンです。今から勇者様に説明しますよ。」
おイヒけ♪ 「そうなのかい?じゃあ、教えてくれ。それと勇者様ってのはもうよしてくれ。ジャックで頼む。あとタメ口でいいぜ。」
むう♪ 「そうですか・・・。じゃあジャック。敬語は慣れちゃったから、このままにします。」
おイヒけ♪ 「そうかい?じゃあ好きにしな。」
むう♪ 「はい。」

むう♪ 「えっと、まずジャックは、この秤に乗ってください。」
おイヒけ♪ 「こうかい?」
むう♪ 「やっぱり、ずいぶんと重い魂ですね・・・。」
おイヒけ♪ 「そんなに太ったかな?生前に酒飲み過ぎたか?」
むう♪ 「たくさんの魔力に還元できたのに、ほんと、惜しいことをしました・・・。」
おイヒけ♪ 「で、ややこしいことってのは何なんだい?」
むう♪ 「それがね2重契約になっちゃったンですよ。」
おイヒけ♪ 「2重契約?」
むう♪ 「ジャックは覚えてますか?死ぬ直前に氷の女王と魂の契約を結ンだこと。」
おイヒけ♪ 「そう言えば、そんな約束もしたよな・・・。」
むう♪ 「だから、両方とも契約が成立しなくなっちゃったンです。」
おイヒけ♪ 「でも、それって俺が悪いんじゃないのか?」
むう♪ 「悪魔側にも確認義務があるンです。」
おイヒけ♪ 「氷の女王でもしくじることがあるんだな。そういえば、ずいぶんとせっかちな奴だったな。」
むう♪ 「違うンですよ。氷の女王がジャックと契約を結ぼうとしていたとき、ボクはほんとうに消滅してたンです。それが、絶妙のタイミングでボクが復活させられたンです。」
おイヒけ♪ 「誰がむう♪を復活させたんだい?」
むう♪ 「わかりません。ただ、復活の魔法が使えるぐらいのかなり高位の悪魔でしょうね。」
おイヒけ♪ 「で、契約違反となったお前たちは、どうなるんだよ。」
むう♪ 「罰を受けることになりました。」
おイヒけ♪ 「え?そうなのか。俺はどうなるンだ?」
むう♪ 「ジャックは人間だから、魔界の掟は関係ないですよ。」
おイヒけ♪ 「じゃあ、お前たちはどうなるんだ?」
むう♪ 「まず、氷の女王は、魔力を半分以上没収されました。」
おイヒけ♪ 「魔力を没収されただけなのか?」
むう♪ 「あと虫歯を仕込まれたみたいです。」
おイヒけ♪ 「なんだいそれは?」
むう♪ 「眠れぬ程の激痛に苛まれながら、永遠に眠り続けなければならないそうです。」
おイヒけ♪ 「それって、ある意味地獄以上だな・・・。それで、その没収された魔力は、どうなるんだ?」
むう♪ 「魔王クラスの悪魔たちが分割して奪ってしまいました。」
おイヒけ♪ 「その魔王たちは、棚ボタじゃないか。というより、俺たち、ひょっとして、そいつらに利用されたんじゃないのか?」
むう♪ 「ボクもそう思います。氷の女王の台頭って、魔界の有力者たちは、快く思っていなかったみたいですからね。」
おイヒけ♪ 「ちぇ!それで、むう♪は、どうなるんだよ?」
むう♪ 「ボクは、魔界から追放されることになりました。」
おイヒけ♪ 「魔界追放って、どういうことだ?」
むう♪ 「ボク、人間に生まれ変わることになったンです。」
おイヒけ♪ 「そうなのか・・・。それって、むう♪にとって、いいことなのか?それとも悪いことなのか?」
むう♪ 「それは、生まれ変わったボク次第でしょうね。」
おイヒけ♪ 「そうなのか・・・。」
むう♪ 「それで、ジャックに伝えるべきことを伝えます。」
おイヒけ♪ 「なんだい?」
むう♪ 「ジャックは、悪魔と魂の契約を結びました。そして、死にました。だから、今からは悪魔がジャックの魂を自由に使ってよいことになります。」
おイヒけ♪ 「仕方ない。約束だからな。」
むう♪ 「それで、ジャックの魂をどう使うかは、ボクに一切が委ねられたンです。」
おイヒけ♪ 「そうなのか?まあ、それがいいだろうな。むう♪が好きにすればいい。」
むう♪ 「ええ。ボクの好きにさせてもらうことにします。ボクは決めています。」
おイヒけ♪ 「ああ。で、どうするんだい?」
むう♪ 「ジャックの望みを叶えることにしました。」
おイヒけ♪ 「え?どういうことだい?」
むう♪ 「望みを叶えるといっても、魂をどうするかをジャックに決めてもらうだけです。ボクは、魔力が強くないので、昇天させるか、人間として生まれ直させるか、人でないものに生まれ変わらせるかのいずれかしかできません。好きな道を選ンでください。」
おイヒけ♪ 「いいのかよ。」
むう♪ 「ボクが決めたことです。」
おイヒけ♪ 「わかったよ。じゃあ・・・・・魔物にしてくれ。」
むう♪ 「それで、いいンですか?」
おイヒけ♪ 「ああ、頼むぜ。」
むう♪ 「わかりました。さっきも言いましたが、ボクは魔力が強くないので、どのような魔物になるかまではわかりませン。だけど、ボクの最後の魔力を使って、ジャックを魔物に転生させます。」
おイヒけ♪ 「ああ、任せるよ。」
むう♪ 「最後の魔力を使ったと同時に魔族としてのボクは消滅してしまうので、今お別れを言っておきます。」
おイヒけ♪ 「ああ。世話になったな。」
むう♪ 「でも、どうしてジャックは魔物への転生を望ンだンですか?」
おイヒけ♪ 「それが自分でもよくわからないんだが、借りを返さなきゃいけないって思ったんだ。」
むう♪ 「そうですか。それでは、詳しくは聞きませんね。」
おイヒけ♪ 「じゃあ、またな。」
むう♪ 「クスクス・・・。お互いが転生した後にどこかで会うかもしれませんが、お互いが覚えていないでしょうね。」
おイヒけ♪ 「そうだな。再会の喜びのない再会を期待してるぜ。じゃあな。むう♪。ありがとうな。」
むう♪ 「さようなら。ジャック。ありがとう。」

<<Trick or Treat・栄光の勇者編完>>

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(2009.9.20)