++雪の魔女3++

おイヒけ♪ 「・・・誰なんだ!俺の頭の中に直接話しかけてくる奴は!」
??? 「クスクス・・・。あたしは氷の女王。今お前の目の前に実体はありません。お前のそばにあるのは、あたしの思念だけです。だから、直接お前の意識の中に話かけています。」
おイヒけ♪ 「頭が割れる。やめてくれ!!!」
氷の女王 「人間とは脆弱なものですね。仕方がありません。そこの氷の魔物に乗り移りますから待っていなさい。」

氷の女王 「まいど~♪って!何なん?この威厳のない言語!この氷の魔物、こんな言語使こうとるん?あかんやん。うちのイメージ丸つぶれや!」
おイヒけ♪ 「????」
氷の女王 「それにこの子の中、何匹魔物が入ってるん?めっちゃ狭苦しいけど、まあ、ええわ。あんたら、しばらく黙っとき。」
おイヒけ♪ 「????」
氷の女王 「はあ?痛っ!!!いたたた。それに、何なん。この子、虫歯やないの!!痛っ。もう、ええ加減にしてよ。」
おイヒけ♪ 「さっきから、何一人漫才してるんだよ?」
氷の女王 「・・・・・・・・・・・まあええわ。あんたうちに用事あるんちゃうん?」
おイヒけ♪ 「あんた誰だよ?」
氷の女王 「だから、うち氷の女王や言うてるやん!」
おイヒけ♪ 「ウソだろ。氷の女王が大阪出身のわけないだろ!」
氷の女王 「あーーーん。もう調子狂うわ!だから、うちは氷の女王や!」
おイヒけ♪ 「そこまで言うんだったら。証拠見せろよ。」
氷の女王 「もう!この場で凍らせてもて殺てもたろか?いうても、殺してもたら、証拠見せられへんしな・・・。そや。あんた、望み言うてみ。何でも叶えたるさかい。」
おイヒけ♪ 「え?いいのかよ。」
氷の女王 「これは、契約や。何の望みでもええで。高位の悪魔でも叶えられへんようなやつでも。うちができひんことなんか何もあらへんこと見せたるわ。その代わり魂の契約やで。」
おイヒけ♪ 「魂の契約・・・・。」
氷の女王 「いやならええで。うち別に構へんし。でも、よう見たら、あんた結構、業の深そうな魂してるな。契約したら、うち使った分くらいの魔力十分返ってきそうやわ。」
おイヒけ♪ 「わかった。魂の契約を結ぶ。」
氷の女王 「結構、話わかるやん。じゃあ、あんた名前何て言うん?うちの真の名前は、堕天使ハルエルや。」
おイヒけ♪ 「俺はジャック・オイヒケ」
氷の女王 「よっしゃ、わかった。ほな行くで。大魔王の公証の下、人間ジャック・オイヒケと堕天使ハルエルが魂の契約を結ぶ。人間ジャック・オイヒケ、汝の望みを述べよ。」
おイヒけ♪ 「人の望みを叶えることができる力を与えてくれ。」
氷の女王 「よっしゃ。叶えたで。」
おイヒけ♪ 「え?やけに簡単だな・・・。」
氷の女王 「うちにできひんことはないって言うたやろ。」
おイヒけ♪ 「じゃあ、早速この力、使わせてもらうぜ!」
氷の女王 「ふふん。」
おイヒけ♪ 「まずは、俺自身の望みを叶えるぜ!氷の女王!お前は、天界でも地獄でも好きなことに消し飛んでしまえ!!!」
氷の女王 「ふふん。」
おイヒけ♪ 「おい!全然何も起きないじゃないか!」
氷の女王 「人間が考えることなんか大体想像つくわ。うちは、ちゃんと、あんたに人の望みを叶える力を与えたで。」
おイヒけ♪ 「じゃあ、何で何も起きないんだよ!」
氷の女王 「今のはあんたの自分の望みや。人の望みとちゃう。だから、何も起きひん。そもそもな、そんな高位の魔法、あんた程度の魔力で使いこなせるわけないやろ。アホ。」
おイヒけ♪ 「ちくしょう!俺を殺すのか?」
氷の女王 「うちは、殺さへん。あんた、ほっといても、もうすぐ死ぬさかい。」
おイヒけ♪ 「!?」
氷の女王 「あんた、もうじき寿命終わるねん。うち、そんなん最初から分かっとったんよ。」
おイヒけ♪ 「ちくしょう!」
??? 「勇者様勇者様。」
おイヒけ♪ 「この直接に頭に響いてくる声は?むう♪!」
むう♪ 「勇者様。人がその命を終えるとき、蝋燭が燃え尽きようとするときと同じように命が一際燃え上がります。その命の力を使うのです。その力を使って、人の望みを叶えることができます。」
おイヒけ♪ 「でもむう♪よ。俺の望みは、叶えることができないんだぜ。人の望みじゃないと・・・。」
むう♪ 「勇者様。あなたの目の前にいるその子たちの望みを叶えてあげてください。ボクからのお願いです。」
おイヒけ♪ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ゆきこ♪ 「・・・・・・・助けて・・・・・・・」
??? 「・・・・・・・むう♪と離れたくない・・・・・・・・」
おイヒけ♪ 「わかったよ・・・・。俺の最後の命の力を使って、この子たちの望みを叶えるぜ!」
むう♪ 「ありがとう。」
おイヒけ♪ 「呪文なんかわからないが、こいつらの願い叶えろーーーーー!!!!」

氷の女王
あらあら。命が尽きるときの最後の力を使ったんやね。
氷の魔物は、体も中身もどっかに飛んでってもた。
でも、うちのしゃべり方、まだ、あの品のない言語の癖が残ってるわ・・・。いややな。
あの人間、うちの氷の槍の呪縛を解くくらいやから、相当魔力があったんやね。
あの魔物の子まで解放してもうて、カルマちょっと減ってもたんが残念やな。
まあ、ええわ。魂もらおか。そんなに重さ変わらへんやろ。
せめてもの餞に肉体は、ここの永久凍土に氷漬けにして、封印しといたるわ。
後世に残さなあかんようなもんとはちゃうけどな。
ああ、やっぱしこの魂、相当重いわ。
魔力だいぶ返ってくる。お釣り来そうや。
あれ・・・・。
何これ?なんなん?この魂!何で思い通りにならへんのん?
2重契約!?
何で?先の契約者の小悪魔、消滅したんとちゃうん?
え?誰かが、知らん間に復活させてる!?
痛っ!いたたたた。
何これ?虫歯?あの子に伝染されたん?

大魔王の公証の下になされた魂の契約。
反故したものは、魔界の大罪が科せられる。

なんで?なんでうちなん?なんでうちが罰受けなあかんのん?
あ?!ひょっとして?
うち、また誰かに嵌められたん?
そんな、アホなーーーー!!!!!


(2009.9.19)

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最終更新:2009年09月20日 22:45