++愛天使ハルエル2++

愛天使ハルエル 「姉さま。姉さま。」
天使長 「ハルエル。愛おしい子。」
ハルエル 「姉さま。」
天使長 「銀色のこの長い髪。プラチナのように美しいこの巻き毛。純白のこの羽根。雪のように白いこの肌。氷のように透き通ったこの青い瞳。」
ハルエル 「姉さま。もっと強く。もっと強く抱きしめてください。」
天使長 「ハルエル。私はもう行かねばなりません。」
ハルエル 「姉さま。あたしも姉さまに付いていきます。」
天使長 「いけません。ハルエル。私に従うことは、主なる神に反逆することになるのですよ。」
ハルエル 「姉さま。それは重々わかっています。それでも、あたしは姉さまと離れたくないのです。」
天使長 「いけません。私は、神に対して反旗を翻した大天使長様に殉じるのです。あなたまでが私と同じ轍を踏むことはありません。」
ハルエル 「姉さまが大天使長様の寵愛を受けていることは知っています。あたしは身を焼かれる思いでいつも見ていました。それでも、あたしは姉さまについて行きたいのです。」
天使長 「わかりました。ハルエル。私は、もうこれ以上は言いません。」
ハルエル 「姉さま。姉さま。」

神は、人間に寵愛を雪いだ。
それに反発したのは、神から最も信頼を得ていた大天使長だった。
人間は、天使ほどの威厳もなければ力もない。なのに神は、人間を愛おしむ。
大天使長は、人間に嫉妬した。
彼は、その嫉妬心を怒りに変えた。
彼は、志を同じくする天使たちと神に反旗を翻したのである。
天界の天使たちは、神に従う者と抗う者のふたつに分断された。
ふたつの勢力は、真っ向から衝突した。

ハルエル 「次々と仲間が墜ちてゆく。戦況は芳しくない。これであたしもおしまいか・・・。」
戦いの大天使 「慈愛の天使ハルエルよ。お前もこれで終わりだ。神にたてついた罰として尽きぬ責め苦を与えてやろう。」
ハルエル 「たとえこの身が朽ち果てようと、あたしは、永久に貴様らを呪詛してやる。」
戦いの大天使 「お前のその美しき体。誰が朽ち果てさせてなどやるものか。お前の体は永久凍土に呪縛され、その身を果てさせることなく永遠に自分の運命を呪い続けるのだ。」
ハルエル 「くっ!」
戦いの大天使 「最後にお前に教えてやろう。なぜ、お前らが、我が部隊の急襲を受けたのかを。」
ハルエル 「!」
戦いの大天使 「お前が愛おしむあの天使長。お前は、あ奴に売られたのよ。」
ハルエル 「え?姉さま。」
戦いの大天使 「あ奴、大天使長の恩赦と引き替えに仲間を神に売ったのよ。叶うはずもなかろうに。愛するが故の愚かさよ。」
ハルエル 「うそ!姉さま。姉さま。」
戦いの大天使 「さあ。終わりだ。」
ハルエル 「姉さまは?姉さまは、どうなったの?」
戦いの大天使 「教えてやらん。お前は、汝の運命を永久に呪い続けよ。ふぁははははははーーー!墜ちろ!墜ちろ!墜ちろーー!!!」
ハルエル 「きゃーーーーーーーーーーー!!!!」


(2009.9.18)