++夢魔の契約3++

おイヒけ♪ 「むう♪、お前結構センスあるな。あれだけ安い材料でなかなか様になってるぞ。この装備。」
むう♪ 「ありがとうございます。」
おイヒけ♪ 「さて、旅立ちの前にひとつだけ確認しておきたいな。」
むう♪ 「何をですか?」
おイヒけ♪ 「ほんとにみんなが俺を栄光の勇者として見てくれるかってことだよ。」
むう♪ 「そうですか。あ。ちょうどあそこに花売りの少女がいます。あの子が勇者様を見てどう言うか確認してみてはどうですか?」
おイヒけ♪ 「そうだな。確かめてみるか。」

おイヒけ♪ 「おい!そこの花売りの娘!」
花売りの娘(ラルトス) 「はい、おじさん。何でしょうか?」
おイヒけ♪ 「おじさんじゃなくて、栄光の勇者なんだが・・・。そうは見えないかい?」
 「ごめんなさい。勇者様でしたか?勇者様、お花を買ってくださるの?」
おイヒけ♪ (・・・まあ一応勇者様と呼んでもらえたな・・・)
 「そうだな。旅立ちの餞に花でももらおうか。」
 「ありがとうございます。勇者様。今日は旅立ちの日でしたか?じゃあ一番おっきいお花をどうぞ。」
おイヒけ♪ 「おっとしまったな。持ち合わせを殆ど使っちまって小銭しかないぜ・・・。」
 「そうなんですか・・・。あ!それ異国のコインですね。それとお花を交換しませんか?」
おイヒけ♪ 「え?これって、そんなに価値があるものじゃないぜ。」
 「そうなんですか?でも珍しいですから。この一番大きな花束を持っていってください。旅立ちのお祝いです。」
おイヒけ♪ 「いいのかい?」
 「だって勇者様は、私たちを守るために魔物とかと戦ってくださるのでしょう。このお花は私のお礼の気持ちです。」
おイヒけ♪ 「じゃあ、ありがたくもらっておくよ。」
 「勇者様、がんばってください。お気を付けて。」

おイヒけ♪ 「何か少し心苦しいぜ。」
むう♪ 「やっぱり、勇者様は勇者様なンですよ。で、どこに向かいますか?」
おイヒけ♪ 「どこに行くかは決めてないが・・・。むう♪よ。お前にだけは言っておくよ。俺は別に栄光の勇者になりたかったわけではない。勇者になれば俺の望みが叶うと思ったんだ。」
むう♪ 「そうなンですか。では勇者様の真の望みは何だったンですか?」
おイヒけ♪ 「それは、俺自信が自分の望みを叶えることのできる力を持つことだよ。」
むう♪ 「そうなンですか。それで、これからどうするおつもりですか?」
おイヒけ♪ 「そうだな・・・。むう♪は、人の望みを叶える魔物って何か知らないか?」
むう♪ 「人の望みを叶える魔物ですか・・・。そういえば、炎の魔人って魔物が人の望みを叶えるって話を聞いたことがあります。」
おイヒけ♪ 「どんな話だい?」
むう♪ 「人がその命を終えるとき、炎の魔人現れて、その者の望みを叶えるって話です。」
おイヒけ♪ 「へえ~そうか。で、その炎の魔人ってのはどこにいるんだい?」
むう♪ 「知りません。」
おイヒけ♪ 「おいおい。」
むう♪ 「人間の間で広まった噂や伝説の類ですからね。ボクたち魔族でも知る者は殆どいないのではないでしょうか。」
おイヒけ♪ 「そうか。よし!俺はその炎の魔人を探すことにするぞ。」
むう♪ 「探してどうするのですか?」
おイヒけ♪ 「その魔人の人の望みを叶える力ってやつを俺の力にしてやる。」
むう♪ 「戦って倒すということですか?」
おイヒけ♪ 「そうなるかもしれん。」
むう♪ 「ボクは勇者様の従者ですから、どこまでもお供をするだけです。」
おイヒけ♪ 「でも、どこに行けばいいのか皆目見当もつかないな・・・。」
むう♪ 「そうですね。」
おイヒけ♪ 「そうだ!むう♪。炎の魔人と戦うとして、何かいい武器はあるのか?」
むう♪ 「そうですねえ。炎の魔人に効果があるのかどうかはわかりませンが、一般的に炎系の魔物には氷剣エクスイカバーが効きますね。」
おイヒけ♪ 「その氷剣エクスイカバーってのは、どこにあるんだい。」
むう♪ 「ありませン。」
おイヒけ♪ 「おいおいおい。」
むう♪ 「現在この世にはありませンが、作ることはできますよ。」
おイヒけ♪ 「どうやって作る。」
むう♪ 「材料があれば簡単です。ドワーフの道具を借りればボクでも作れますよ。」
おイヒけ♪ 「材料ってのは?」
むう♪ 「氷の槍です。」
おイヒけ♪ 「氷の槍?」
むう♪ 「そうです。氷の槍です。氷の槍は氷の女王が作り出す氷の棘を一層大きく長く成長させたものです。」
おイヒけ♪ 「氷の棘?」
むう♪ 「氷の女王が作り出す氷の棘に貫かれた者は、心を凍り漬けにされ、感情を失うと言われています。」
おイヒけ♪ 「ふ~ん。そうか。それで、氷剣エクスイカバーの材料となる氷の槍ってのは、その氷の女王ってのが持ってるってことかい?」
むう♪ 「いいえ。氷の棘や氷の槍は、もともと存在する武器や道具などではなく、氷の女王によって、そのときどきに作り出されものです。氷の女王は、永久凍土の奥で眠り続けると言われており、魔界の者の間でも、氷の女王の眠る場所は知られていませン。その氷の女王が近頃、氷の槍を解き放ったと言われています。」
おイヒけ♪ 「どういうことだ?よくわからんぞ。」
むう♪ 「氷の魔物が関係する何かがあったようですね。氷の魔物たちは氷の女王の行いにすこぶる敏感なのです。氷の女王が氷の槍を放ったことは間違いありません。」
おイヒけ♪ 「何があったんだ?誰かが氷の女王の逆鱗に触れたのか?」
むう♪ 「まったくわかりませン。」
おイヒけ♪ 「その何かがあった場所はどこだ?」
むう♪ 「おそらく北の山脈のどこかでしょう。その辺りの冷気が異様に乱れています。」
おイヒけ♪ 「よし。行き先が決まった。北の山脈に向かうぞ。」
むう♪ 「かしこまりました。勇者様。」


(2009.9.13)