ケッコンカッコカリ(大鳳の場合)

【1944年6月18日マリアナ沖海域上空:偵察機彗星】
上飛曹*1「兵曹長!」
兵曹長*2「どうした?上飛曹!」
上飛曽 「雷跡です!雷跡が6本、大鳳に向かっています!」
兵曽長 「しまった!敵の潜水艦か!」
上飛曽 「大鳳!大鳳!こちら上空偵察機「彗星」!雷跡6本を発見!4時の方向距離7000!至急回避されたし!」
兵曽長 「くそっ!大鳳は気づいてないのか?!」
上飛曽 「大鳳!大鳳!聞こえますか!大鳳!応答してください!」
兵曹長 「このままでは2本の魚雷が大鳳に直撃してしまう・・・・・・。」
上飛曽 「兵曹長!大鳳から応答がありません!」
兵曹長 「すまん!」
上飛曽 「はっ?兵曹長。何を?」

ブーーーーーーーン!!

兵曹長 「沈めてはならんのだ。これ以上帝国海軍の空母を。」
上飛曽 「兵曹長・・・。」
兵曹長 「そして1500の兵を沈めてはならん。・・・上飛曹。すまない。」
上飛曽 「兵曹長!私も覚悟の上です!」
兵曹長 「そうか!ではいくぞ!!せめて魚雷1本だけでもこの機で止める!」
上飛曽 「はい!兵曹長!」
兵曹長 「大鳳!絶対に沈めるものか!」

ブーーーーーーーーン!

バッシャーーーーン!

【大鳳司令塔】
副官 「右舷後方!水柱と爆発を確認!彗星が海に突っ込んだ模様!あっ!」
司令官*3「どうした?!」
副官 「雷跡です!4時の方向から雷跡5本!本艦に向かってきます!」
司令官 「いかん!取舵一杯!!至急回避!」
副官 「駄目です!1本だけ避けきれません!被弾します!」

ドッカーーーーン!

副官 「右舷前方に被弾!」
司令官 「直ちに被害状況を確認させろ!」
副官 「了解!」

副官 「魚雷被弾による被害状況確認。装甲の亀裂による浸水あり。艦首やや沈下。」
司令官 「航行可能か?」
副官 「左舷後方のバラスト注水により速力26ノットでの航行が可能です。」
司令官 「そのほかの被害状況は?」
副官 「艦載機格納用エレベーターが破損停止。航空燃料タンクに亀裂が生じています。」
司令官 「戦闘は続行可能か?」
副官 「続行できます。」
司令官 「さすがは不沈艦だな。しかし、雷跡に気づくのがもう少し遅れていたら回避が間に合わず右舷に直撃していたかもしれん。」
副官 「そうですね。」
司令官 「あの彗星が大鳳を守ってくれたのだな・・・・。」


【時は流れて、ここはタウイタウイ泊地】
提督 「大鳳。」
大鳳 「はい。ショートランド泊地の提督。」
提督 「これを。これを受け取ってもらえないか?////」
大鳳 「提督、これは?」
提督 「いや、これは大鳳のリミッターを外すための小道具っていうか。大したものではないのだが。まあその見てみてくれ。」
大鳳 「ふふ。提督。私、これが何かわかりますよ。」
提督 「そうか。じゃあ是非受け取ってください。」
大鳳 「・・・・提督・・・・。私、夢を見るんです。」
提督 「夢。」
大鳳 「ええ。私が艦娘に生まれ変わる前の夢。」
提督 「生まれ変わる前の夢?」
大鳳 「そう。私が艦娘に生まれ変わる前のずっと昔の夢・・・・・。」
提督 「・・・・・・・・・・・。」
大鳳 「その夢では、小さな島国と大きな国が大きな海を挟んで戦争をしているの。」
 「私は、その小さな島国の船だった。」
提督 「船だって?!」
大鳳 「そう。とっても大きな船。飛行機を載せる空母だったの。」
 「私ね。艦載機を一杯載せていたの。ゼロ戦とか彗星とかいう飛行機。」
 「パイロットも一杯乗せていた。」
 「中でもね。ちょっと気になる人たちがいたの。」
提督 「気になる人たち?」
大鳳 「二人。彗星のパイロットだった。」
 「上官と部下だったみたいだけど、とても気が合ってるみたいだった。」
 「おかしいのよ。あの二人。出撃がないときなんか飛行甲板で二人でベースボールやってるの。」
 「戦争中なのに。緊張感がない。ふふふ。上官に叱られてた。」
 「そしてあの日が来た・・・・。」
提督 「あの日?」
大鳳 「そう、あの日・・・・・・。」
大鳳 「・・・・・・・・ねえ提督。」
提督 「ん?」
大鳳 「私、もしもう一度生まれ変われるのなら、平和な世界で高校生になりたい。」
提督 「高校生だって?」
大鳳 「それでね。放課後に校庭でベースボールするんです。三人で。」
提督 「三人で?三角ベースでもするつもりかい?」
大鳳 「ええ。楽しいだろうな。」
提督 「生まれ変わらなくても、いつかこの世界も平和になるよ。」
大鳳 「そうだといいんだけど・・・・・・・・・・・。」
 「提督・・・・ごめんなさい。この指輪、もらえないです。」
提督 「・・・・・・・・・・・・。」
大鳳 「私、心に決めた人がいるんです。」
提督 「・・・・・・そうなのか・・・・・・。」
大鳳 「それも二人。」
提督 「え?二人も?」
大鳳 「ええ、二人。」
提督 「そっか。残念だけど仕方がないな。二人も先約があるんなら。」
大鳳 「ごめんなさい。」
提督 「いいんだよ。逆にすまなかったな。こんなことしちゃって。」
大鳳 「いいえ。ありがとうございます。うれしかったです。」
提督 「はははは。今日のことは忘れてくれ。頼むよ。」
大鳳 「いいえ。忘れないです。提督は、私にとってとっても大切な提督です。」
提督 「はははは。許してくれよ。頼むよ。」
大鳳 「ご命令なら提督のこと綺麗さっぱり忘れますけど?」
提督 「はははは。こりゃ参ったな。ははははは。」

「あの彗星のこと?そうね。忘れたことはないわ。」

(2015.11.23up byはるか♪)

天山「解せぬ」(ロンシャン(作者)談)

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最終更新:2015年11月28日 00:38

*1 国次萬吉上飛曹

*2 小松幸男兵曹長

*3 第一機動艦隊司令長官、小沢治三郎中将