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クリスマス間近のある日、物憂げなハルヒ。
アスカ「どうしたのよ?元気ないわね」
ハルヒ「別に~」
翠星石「アスカの料理ライクなものでも食わされたですか?」
アスカ「ちょっとアンタ。どういう意味かしら」
ハルヒ「ねぇ、運命の出会いってあると思う?」
アスカ「ハ、ハル姉……!?」
翠星石「とうとう脳に汚染がいっちまったですぅ!おそるべしアスカの細菌兵器!」
アスカ「なんですって~!!」
ハルヒ「3年前の七夕の日に、あたしはあたしでいよう、って思わせてくれる人に会ったの。何かふと思い出しちゃってね」
アスカ「なにそれっ!?」
翠星石「ハル姉の過去の恋愛話ですか!?」
ア・翠「聞きたいききたい!聞かせてよ!」
ハルヒ「そっ、そういうワケじゃないんだけど……」

ハルヒ「小学校の頃、あたしは自分や自分の周りが一番楽しくて特別な世界だと信じてた。でもある時、それはどこにでもあるありふれた世界だと気付いた。そしたら急に周りが色あせて、何もかもつまらなくなったわ。そして世の中には、ちっとも普通じゃなく面白い人生を送る人もいる。それがあたしじゃないのは何故?そう考えた」

ハルヒ「だから中学に入ったら自分を変えてやろうと思った。自分から面白いことをみつけるために、待ってるだけの女じゃないって世界に訴えようとした。でも、あたしの行動は周りには狂ってると思われたわ。そのとき出会ったの。そんなあたしの行動や考えを否定することなく、大真面目に応えて、手伝ってくれた人に」

ハルヒ「七夕の晩にね。会ったのはその一度っきり。結局面白いことは何もないまま、あたしは高校生になった。ジョン・スミスって名乗ったその人の話で、面白い人がたくさんいそうな気がして、今の高校に入ったのよ。あたしが今でも、周囲の目はどうあれ、あたしはあたしなんだって思えるのはその人のおかげかなぁ」
アスカ「ふ~~~ん。なんていうか、物好きもいるのねぇ」
翠星石「ハル姉の場合は『面白い』の基準に問題がありますぅ」
ハルヒ「まっ、ツマンナイ昔話よ!忘れて忘れて!」

翌日。
ハルヒ「じゃ、あたし先行くよ!アスカも遅刻しないようにね!」
家を出るハルヒ。
翠星石「そろそろ行かないと遅刻ですぅ」
アスカ「今日はサボるわ」
翠星石「ええ!?」
アスカ「ふふふ。もうすぐクリスマスよね。ハル姉にサプライズプレゼントをするわ」
翠星石「……何考えてるか、大体予想がつきますぅ」
アスカ「なら話が早いわね。ジョン・スミスに会わせるのよ」
翠星石「で、でも……ハル姉にはキョンとやらがいるですぅ」
アスカ「だから、そのキョンをジョン・スミスに仕立てて、クリスマスの日にハル姉に会わせるの!」
翠星石「それはいい考えですぅ!アスカにしては無い知恵絞ったですぅ!」
アスカ「いちいちうるさい子ね!さっ、ハル姉の学校に侵入しに行くわ!」

 昼休みだ。ハルヒのヤツは今頃食堂で、机まで食わんとする勢いで豪快に胃袋の欲求にこたえているだろう。
俺はというと、代わり映えしないツラを眺めつつ、冷めた弁当のおかずを口に運ぶ。
 すると、谷口達と並べた机の横に誰かが立った。
「ちょっといいかしら?体育館裏まで来てちょうだい」
 いや、俺いま昼メシ食ってるし。ていうか、その前にアナタ誰?
 俺が意思表示するのを待たずに、声をかけてきた見知らぬ女の子は俺の腕を掴んで引っ張る。
「ほらさっさとしてよ!時間ないんだから!」
「弁当なんか授業中にでも隠れて食えですぅ!昼休みはもっと有意義に使えですぅ!」
 昼休みの用途として食事以上に価値あることは何かを問いたいところだが、俺はそのまま強制的に連れていかれた。谷口も国木田も不思議な顔でその様子を見るばかりで、他のクラスメートに至っては気にもとめていない。
 そんな訳で、体育館に連れ出された俺だが、カツアゲか告白ぐらいしかその目的が思い付かず、できれば後者であってほしいんだが、彼女たちの用件はそのどちらでもなかった。

 聞けばその子たちはハルヒと同居する妹さんたちで、そういえば以前ハルヒがそんなような話をしていた気がする。で、そのハルヒが昨日、七夕の思い出話を語ったらしく、健気な妹達はそれにちなんだクリスマスプレゼントをするため俺に協力を求めてきた次第だ。なるほどね、うちの妹も是非見習ってもらいたい。
 だが、問題はその内容だった。
「あんたには、そのジョン・スミスってのになってもらうわ!クリスマスに運命の再会!素敵でしょ!?」
「文句は言わせねーですぅ。ハル姉もおめーも相思相愛のくせに素直じゃないから、こちとらいいきっかけを与えてやるですぅ。むしろ感謝して欲しいぐらいですぅ」
 まるで人形のような容姿を持つ小さい方の女の子にツッコミを入れるのは後にしてだ、ジョン・スミスになれって?
 俺に?

 参ったね。正体をばらすと、俺の知らないところでどんな禁則事項に触れるか分からん。
「うーん、それはちょっとできない。非常に申し訳ないんだが、その日は家族でパーティーなんだ。俺にも妹がいてね。クリスマスをえらい楽しみにしてるんだよ。だからすまない、他をあたってくれ」
 とりあえず適当な理由で誤魔化して、二人に背を向け体育館を後にする。


アスカ「くっ、すぐバレるような嘘を!」
翠星石「どうしますか?クリスマスはあさってですぅ」
アスカ「……ふん、構うことないわ。強行突破するまでよ」
翠星石「何をするんですか?」
アスカ「作戦があるの。ちょっと耳を貸しなさい」
翠星石「……」
アスカ「──ってわけよ!」
翠星石「おっけーですぅ!」

 クリスマスを明日に控えて、あの二人の妹たちにはちょっと悪いことをしたかな、なんて頭の片隅で思いつつ、俺は自室でくつろいでいた。そのクリスマス、日曜なので学校は休みなわけだが、SOS団の予定がカレンダーの日付の色に素直に従うとは思えず、ま、明日になればハルヒから呼び出しが来るだろうと、ほぼ内定しているスケジュールの中でどんな催しをするのか考えようとしたところ、俺のくつろぎタイムは強制終了した。

 居間の方から聞き覚えのある声がする。
「オジャマしますですぅ!!」
「キョン君のお友達の、惣流・アスカ・ラングレーです!彼は部屋ですか?あ、はーい。じゃ、上がらせてもらいま~す!」
 イヤな予感を察知すると同時に、部屋のドアが開けられた。
「ふふふ。お待たせしました」
 誰も待ってねーよ。
「ジョン・スミスのお届けにまいりました!ですぅ」
 意味わからん。例の妹二人が悪巧みを顔に書いたかのような笑みで、俺の部屋に入ってくる。
 何しに来た?

 30分後、頭を金髪にされ、パーティーグッズにありがちな鼻付き眼鏡をかけさせられた俺がいる。
「どう?どっからどう見てもジョン・スミスだわ!!」
「完璧ですぅ」
 そんな俺を満足げに眺める二人。
 勘違いが多すぎるので、とりあえず重要箇所のみ説明しようか。こいつらにだけなら、正体ばらしても大丈夫、だろう。というかそうしないとホントに俺がジョン・スミスとしてハルヒの前にさらされる。
「何ていうか、気持ちは分かる。その意図も分かる。だけどな、一つだけ言わせてくれ。ジョン・スミスは俺なんだよ。3年前にハルヒに出会ったジョン・スミス。それ、俺なの」
「はぁ?あんたバカァ!?違うわよ、あんたはジョン・スミスを演……え?」
「……え?」
 二人そろって予想通りのリアクションだ。
「えっと、そー……じゃなくて、あんたにジョン・スミスを……ええぇえぇぇええ!?嘘でしょ~???」
「いや、本当なんだ。その時俺はある女の子を背負ってハルヒに会ってる。向こうは気付いちゃいないけどな。ハルヒのやつが校庭に妙な幾何学模様を書くのを手伝ったんだよ」
「そ、そういえば、中学時代に織姫と彦星宛てにメッセージを送ったって前に聞いたことあるですぅ……まさか……それが……七夕の日って……?」
「あぁ。今年の七夕では笹の葉に短冊だからな、随分丸くなった証だろう」
 どうやら俺の話を信じたようで、二人とも絵に描いたような動揺を体現して顔を見合わす。
「ど、どうしよう……?」
「フィクションで演出の予定が、ノンフィクションのドキュメントになりやがったですぅ……」
「でっでも、アリなんじゃない?別に問題は無いわ。予定通りやってもらえば……」
 なぬ?
「そ、そうですぅ……ここまで来たら後には引けんですぅ」
「そうよ、前進あるのみだわ!」
 おいおい、だからあのな……
「つーわけでアンタには予定通りジョン・スミスを演じてもらうわ!どーせ家族パーティーなんて嘘なんでしょう~?ハル姉のために一肌脱げばいいじゃない!」
「そーですぅ!そのちっぽけな嘘でハル姉の青春潰す気ですかぁ!」
 ……やれやれ。仕方ないか。
 まぁ、どうなるかも大体想像つくしな。さて、後であいつらにも連絡しとくか。

アスカ「いい?最初はバレないようにするの」
翠星石「『ジョン?ジョンなのね!』って感じですか?」
アスカ「そうよ、そしてハル姉はときめくの」
翠星石「『あぁジョン!あなたはどうしてジョンスミスなのぉ?』ですぅ!」
アスカ「いよいよ盛り上がったところで変装を解く!」
翠星石「『キョン!?私のジョンはキョンだったの!』ですね?」
アスカ「そこまでくれば、見つめ合うと素直にお喋りできない二人もきっと結ばれるわ!」
翠星石「変装を解いても、魔法は解けないですぅ!楽しみですぅ!」
・・・
・・


クリスマス当日。
ハルヒ「ん?どうしたの、二人して」
翠星石「ハル姉は今日何か予定ありますか?」
ハルヒ「それがねぇ、SOS団のメンバーに声かけたんだけど、みんな予定あるみたいで。まったく、生意気にもあのキョンまで予定があるとか言い出すし!」
アスカ(ニヤリ……)
翠星石(ニヤリ……)
アスカ「ところでお姉さま!今日はとっておきのプレゼントがありますわ!」
ハルヒ「な、なによ不気味な話し方して……」
翠星石「アナタハぁ、ジョン・スミスニぃ、アイタイデスカぁ?」
ハルヒ「あんたまでどうしたのよ……って、ジョン・スミス?こないだ話した?突然なぁに?」
アスカ「ふふん。さぁ、入りなさい!見て、ハル姉!プレゼントよ!」
翠星石「それはジョン・スミスと運命の再会ですぅ!」
ハルヒ「えっ──」

ハルヒの前に現れたキョン(金髪・鼻付き眼鏡装着)。
ジョン(キョン)「よ、よう」
ハルヒ「……ぷっ。なにしてんのよ」
ジョン(キョン)「いや、これには深~い事情があってだな……」
ハルヒ「で、プレゼントって、このニセ外人になったキョンのこと?これが、ジョン・スミス?」
翠星石「あわわ、一発で見抜かれたですぅ……」
アスカ「そんな……何がいけなかったの!?」
キョン「全部だと思うぞ……」

そして・・・
ハルヒ「なるほどね。こないだの話を聞いて、キョンをジョン・スミスに仕立ててあたしを驚かせようとしたってわけね」
翠星石「アスカの考えた演出の仕方が失敗の原因ですぅ」
アスカ「あたしのプロデュースに問題は無かったわ。あんたの考えた変装の仕方が原因よ」
ハルヒ「ていうかね、まずジョン・スミスは外人じゃないわよ」
ア・翠「え??」
ハルヒ「そう名乗ってただけよ。見た目は普通の日本人だったわ」
アスカ(えぇ~!?そっかジョンの正体はキョン!てことは日本人!ああぁぁ何で気付かなかったの~?って、あれ?外人だから金髪にするべきって翠星石が言ったんじゃ……?)
翠星石(ほんっっっとアスカは使えねーですぅ!いい加減にしやがれですぅぅう!!)
ハルヒ「でもある意味、ジョン・スミスね。キョンは」
キョン「……」
翠星石「ん?どういうことですか?」
ハルヒ「ううん、何でもない」
アスカ「あ~、まさかこんな大失敗するなんて~~~」
キョン「ま、妹たちよ、そう気を落とすな。こんなことだろうと思ってだな……」
ちょうど、玄関の方でチャイムが鳴る。

ハルヒ「あたし出る。……はーいどちらさま?って、あれ?有希にみくるちゃんに、古泉くん」
古泉「今日は涼宮さんのお宅でちょっとしたパーティーをやると聞きましたので」
ハルヒ「え?誰に?」
みくる「キョンくんです。あれ、聞いてないんですか?」
ハルヒ「知らないわ……ま、そういうことなら入ってちょうだい」

ハルヒ「ちょっとキョン、どーゆーことよ~?」
キョン「あぁ、妹さん達の計画は何となく失敗する気がしてたからな、あいつらを呼んでおいたんだよ。そうすりゃみんなでワイワイできるだろ?でも先にお前に知らせたら妹さん達の企画がサプライズじゃなくなる。だから黙って呼んだんだよ。悪かったな」
ハルヒ「ふぅん。あんたにしては気が利くじゃない。全然オッケーよ。今日はみんな呼んで騒ぐつもりだったし」
アスカ「くっ、最初から全てお見通しだったのね」
翠星石「なめられたもんですぅ~」
アスカ「やるわね、キョン。いえ、ジョン・スミス!」

というわけで、三姉妹にSOS団が合流。
長門「ケーキ……」
ハルヒ「あら随分豪華なの買ってきたじゃない!ちょっと台所で切ってくるわ!」
キョン「朝比奈さん、そろそろ顔を上げませんか?肩、震えすぎですよ」
みくる「だって……キョン君……その変装……キョン君こそ、そろそろ……その眼鏡取りませんか……?」
キョン「いや、ハルヒがそのままでいろって言うもんで……」
古泉「なかなか似合ってるじゃないですか」
キョン「……」

「おじゃまします」
アスカ「あれ、また誰か来た。はぁーい……何であんた来るわけぇバカシンジ!」
シンジ「そんな言い方ないだろう?」
レイ「私が呼んだの」
アスカ「ええぇぇえ~!ファーストまでぇ!どーしてぇ!?」
レイ「有希に呼ばれたから」
アスカ「てゆーかさ、それで何でアンタがシンジを誘うのよ!?」
シンジ「それよりアスカ、学校サボって何してたんだよ?」
アスカ「なんでもいいでしょ!たった今サボってまでした努力が水の泡になったところよ!……ってなんでアンタにこんなこと話さなきゃなんないのよ!も~~~~!!」
ハルヒ「ほらほら、騒がしい子ね。ケーキ切ったからおとなしく食べなさい。あんたたちもいらっしゃい!もう何人でも来てくれて構わないわ!多い方が楽しいじゃない!」
アスカ「え~~~でもファーストがぁ……」
ハルヒ「長女のあたしがイイって言ってんだからイイのよっ!さ、シンジ君と綾波さんも座って。ケーキの他にも有希たちが買ってきたお菓子とか飲み物いっぱいあるから、今日はみんなで騒ぎましょ!!」

一同、クリスマスパーティーで大騒ぎする。そんな中・・・
ハルヒ「ねぇ」
キョン「何だ」
ハルヒ「あんた妹たちにジョン・スミスの話を聞かされたんでしょ?」
キョン「そうだけど」
ハルヒ「ね、どう思った?」
キョン「どうって何がだよ」
ハルヒ「だから、その話聞いてどんな風に思ったのよ?」
キョン「別に」
ハルヒ「別にって何よ」
キョン「別に、ふーんて思っただけだよ」
ハルヒ「……あっそ」
キョン「てか何が言いたいんだよ?」
ハルヒ「別に。ま、いいわ。さっ食べましょ!」