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まだあの世界だった頃、アスカは出て行ってしまい、僕はミサトさんとの2人生活に戻った。
正直、ホッとしてた部分もある。顔を合わせば嫌味を言われ、下手をすると暴力まで振るってくる。
おまけに僕の方も余裕がなくて、アスカだけの事を考える事はできなかった。

でも、何かの理由で世界が混ざって平和になり、心に余裕がでてくると、それは寂しさに変わった。
ミサトさんは学校の先生も兼任するとかでやっぱり帰りは遅い事が多い。
僕はトウジ達とフラフラするのが日課になった。他人との接触はイヤだったはずなのに。

ケンスケの家に長居をしてしまって帰りが遅くなった時、ミサトさんに怒られた。ミサトさんは怒った後、謝ってくれた。
ミサトさんは悪くない、やるべき事をやってるだけなのに。泣きながら謝ってくれた。抱きしめられた。僕はその時泣いたと思う。
僕はその後思ったんだ。アスカもそうしてほしかったんじゃないかって。


学校に復帰したアスカとはしばらく口がきけないでいた。
そんな時、わけもわからず無理矢理連れてこられた高校の文芸部室。そこで初めて会った、ハルヒさんと翠星石。この時はまだ知らなかった。

「あんたいい加減アスカの事、わかんないの?仲直りするまで、ここから出さないからねっ!」
こんな事を言われて、閉じ込められた。部室にはアスカと2人きり。今思い出しても無茶苦茶だ。でもだから、言えた。できた。
しばらくして日が傾いてきた頃、意を決した僕は逃げちゃだめだを頭の中で繰り返しながら、アスカに近づく。
アスカは微動だにしない。僕を見つめている。僕も逸らさずに見つめ返す。
夕焼けが眩しい。僕は一言ゴメンと言ってから、アスカを抱きしめた。それから助けられなかった事、今まで時間がかかった事。全部謝った。
いつの間にか泣いていた。あの時のミサトさんもこんな感じだったんだろうか。

「それだけ?」
久しぶりに聞いたアスカの声は、ひどく冷たいものだった。期待はしてなかったけど、やっぱり許してくれないんだ。僕は何も言えなくなった。

「やっぱりバカシンジはバカシンジね、いい?アンタは全部アタシの物になるの?ならないの?」
僕は、なると即答した。だって家族だもの。だから僕はアスカの物だし、ミサトさんの物だ。
するとアスカの様子が激変した。

「え……へ?ほ、ホントに言ってんの?ホントでしょうねっ!ウソだったら承知しないわよっ!永遠なのよ!あぁっ、もう変態なんだからっ!」
意味がわからない。アスカの豹変ぶりに驚いていると、部室の扉が開いた。

「やったわね、アスカ!」
「ローゼンメイデンでもないのに、主従契約を結ぶなんて相当なやり手ですぅ!」
シュジュウケイヤク?なんだか勘違いされている気がする。そういう意味じゃなくて……

「うっ、うぅぅ~ひぐっ、ぐすん」
アスカが泣いていた。初めて見る、アスカの泣いている姿。
僕はさっきの勘違いを訂正するのも忘れて、アスカの頭を撫でてあげた。ミサトさんが僕にしてくれたように。

「泣きたい時は泣けばいいと思うよ、アスカが頑張ってるの、僕は知ってるもの。家族だから」
「ひぐっ……!?」
自然と出た言葉に、アスカは泣き止んでくれた。よかった。……あれ?なんか空気がおかしいような。
ハルヒさん達を見ると、きょとんとしている。なんでだろう?
その瞬間、僕は衝撃とともに天井を見上げていた。知らない天井だ。当たり前じゃないか、初めて来たんだから。

「うわ~ん!騙されたぁ~!バカシンジなんかにぃ!」
アスカの声が聞こえる。声の方を向くと、ハルヒさんの胸にしがみついてまた泣いている。
あのアスカがあそこまで気を許すなんて、あの人はきっと優しい人なんだな、ってその時は思った。これは後で存分に覆されたけど。
僕は何かしたんだろうか。そりゃあ、抱きしめたりはしたけど…それを今更言われるのはちょっと困る。
僕は立ち上がるのも忘れて、考える。

「ほらほら、しっかりしなさいっ!」
「そうですぅ、主人が下僕に弱いところを見せちゃいかんです」
アスカの後ろでは翠星石がぴょんぴょん跳びながらアスカを鼓舞していた。この時初めて、翠星石の小ささに驚いたんだっけ。

「だって、だって……」
「ほら、家族ってことは、一気に彼女を飛び越して……て事かもよ?」
何を言ったんだろう。ハルヒさんの耳打ちの後、アスカはまた泣き止んだ。そして腰に手を当てて振り返り、こっちを見下ろした。

「いいわっ!それで許してあげる!」
ビシッと指された指の向こうのアスカの顔は、ひどく夕焼けに照らされていた。


\(^o^)/オワタ