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おっかいっもの♪おっかいっもの♪
今日は練習用の材料を買いに行くです。何の練習用かですって?
バレンタインのお菓子作りに決まってるですぅ!
ハル姉とアス姉は学校行ってるので翠星石が今のうちに材料を買っておくです。
翠星石は一人でもお買い物ができるですよ。

近所のスーパーまで来ましたです。翠星石はスーパーが好きだったりします。
ここはたくさん食べ物があって、時々少しだけタダで食べさせてくれる気前良さも持ち合わせてるんですよ?

お菓子の材料コーナーに、と。
むっ、あれは……!?

こんにちは。ホシノルリです。
今日は近くのスーパーマーケットに来ています。
もうすぐバレンタイン。姉二人はそれぞれ想いを寄せる相手にお菓子を作るそうです。
いきなり作って失敗するといけないので、まずは練習。
そのための材料を、二人が学校に行ってる間に私が買っておくことになりました。
あ、ちなみに私も作りますよ。チョコレート。

それにしても……姉二人の想い人には、お隣のお姉さん二人も想いを寄せてるわけでして、バレンタインは一波乱ありそう、かな?

お菓子の材料コーナーに到着しました。
あれっ?
翠星石さんがいます。こちらを見て固まっているようです。
えーと、
「こんにちは」

銀髪ツインテールの隣の三女がいやがったですぅ!しかも……
「こんにちは」
挨拶されました。シカトするわけにもいかんですぅ。かと言って、普通に返してなめられることがあってはならんのです。
ここはひとつ、礼をもって、それでいてビシッと格の違いを見せつけてやるような言葉で返事をしてやるですぅ!!

「こ、こんにちは……です」
はっ……!ふ、普通に返してしまったですぅ!
きき緊張してしまったわけじゃないんですよ!?なんていうか、その、急に挨拶が来たので、ちょっと対応が遅れたといいますか……

銀髪がなんだか妙に嬉しそうに微笑んでいやがるです。
これが噂の『クーデレ』ってやつですか!?
べっ、別にかわいいなんて思ってないですよ!

翠星石さんが挨拶を返してくれました。嬉しいです。
お家に来たときもカラオケのときも、なんだかいつも不機嫌そう。
それが素の状態なのか、それとも誰かに向けられたものなのか、私には分かりません。でも、三女同士、サイズも近いことですし、仲良くできたらいいなと思います。

「翠星石さんは何を買いに来たんですか?」
「バ、バレンタインのお菓子作りの練習をするのでハル姉やアス姉の分もあわせて材料を買いにきた、です」
……なるほど。対決は避けられない、ってところでしょうか。
頑張ってくださいね、レイ姉、有希姉。
「じゃあ一緒ですね。私もバレンタインの練習にと、姉二人に買い物を頼まれましたので」

隣の姉妹もバレンタインにお菓子を作るですか?
ハル姉もアス姉も当日は大変なことになりそうです。
ま、考えてみたら当然のなりゆきですぅ。

それはさておき、とりあえず今は材料を買わなきゃです。
この銀髪も同じ目的でここにいるんだったら……たら……えと……
「じゃ、じゃあ、いい一緒に買い物するですか……?かか勘違いするなですぅ!たまたま同じ目的だったから、その、たっ旅は道連れと言うですし」
ふぅーっ。はっ……!!き、緊張なんかしてないですよ!
ただ、あまり知らない人間と一対一だとどう接したらいいのか分からないだけで……

「……はい。そうさせてもらいます」
銀髪がペコッと頭を下げたですぅ。
うぅ、何か調子狂うですぅ。

まさか翠星石さんの方からそんな風に言ってもらえるとは思ってもいませんでした。
私、嫌われてるのかな、ってどこか不安だったものですから。
いつもそっけない分、こういうとき嬉しさ倍増ですね。
……これが『ツンデレ』の魅力ってやつでしょうか。

「翠星石さんは何を作るんですか?」
「まだ決めてないですけど、翠星石にはレパートリーがたくさんあるですよ」
「そういえば以前いただいたスコーン、凄くおいしかったですね」
「当然ですぅ。翠星石が腕によりをかけて作ったですぅ」
どうやら翠星石さんはお菓子作りが得意なようです。
一方私は、料理は毎日作ってますが、お菓子のほうはちょっと……

この銀髪も翠星石のスコーンの味が分かるとは、なかなか見所あるやつですぅ。

さて、二人で買い物を終えて帰ろうとしたときのことですぅ。
銀髪が立ち止まると、
「あ、あの……よかったらそこの喫茶店で少しお話していきませんか?」
頬をほんのり紅く染めながら言いやがったですぅ。
おかげで何故か嬉しくなってしまったですぅ。
「べっ別に構わないですよ」
翠星石がそう答えると、銀髪の口元が微かに緩んだです。
オーケー素直に認めるです。かわいい、ですぅ。

喫茶店で翠星石は紅茶を、銀髪はオレンジジュースを頼みました。
「楽しみですね、姉妹でお菓子作り」
「ま、まぁ楽しみじゃないこともないですぅ。うちの姉二人はお菓子作りに関してはまだまだ甘いですから、この翠星石が教えてやることになりそうですけど。仕方ない姉たちですぅ」

なーんて言いながらも、実はすごく楽しみにしていることが言葉の端々ににじみ出ています。
「翠星石さんはお姉さんたちが大好きなんですね」
「なっ何でそうなるですか!?き、嫌いじゃないですけど、ハル姉は常時暴走気味だし、アス姉はワガママ放題だし、翠星石がいなかったらきっとやっていけないですぅ」
翠星石さんがどういう人なのか、分かってきた気がします。
「そういうお前はどーなんですか?というかそっちの姉妹はどんな感じなんですか?」
う~ん。
「レイ姉も有希姉も私をいじるのが大好きみたいです」
「いじっ…!?」
翠星石さん、顔を真っ赤にして動揺しているようです。
何か勘違いしたのでしょうか。
「あと、都合よくボケを装ったり、本気でボケてたり……飽きないです」

「何だかんだで私がいなかったら大変なんじゃないかな、と思います。自分で言うのもアレですが」
どうやら隣の姉妹もウチに負けず劣らず面白そうですぅ。
「それで、お前は姉たちが好きなんですか?」
「はい。レイ姉のことも、有希姉のことも大好きですよ」
うっ!クーデレは素直を標準装備ですか!
翠星石のことが好きと言われたわけじゃないのに、思わずドキッとしてしまったですぅ。けしからんですぅ。
「レイ姉と有希姉と暮らし始めてから、楽しいことばかりです。その思い出は自分で手に入れたものですから、とても大切です。私、一度家族を失ってるんです。初めてできた家族を、できて数日後に。まぁ、色々あって戻ってきましたけど。なので分かるんです。今のレイ姉も有希姉も、かけがえのないものだってことが」

「だから、二人とも大好きです」
こんなにも自分の胸の内を誰かにさらけだしたのは、きっと初めてだったかもしれません。
翠星石さんは、いつのまにか真剣な面持ちになって話を聞いてくれています。
そして、
「翠星石にも、分かるですよ。だから、ハル姉もアス姉も大好きです」
短くそう言った翠星石さんの表情は、とても綺麗で誇り高い微笑みを含んでいました。

それから、私たちは時間を忘れてたくさんお喋りをしました。
帰りがけ、
「あの……ル、ルル……ルリルリ……ッ!まっ、またそのうち時間があったら、あ、遊ぼう、です」
翠星石さんに言われて、思わず満面笑顔になってしまいました。
「はい。ぜひ」
ルリルリって呼ばれるのは、何だか照れくさいですが。

バレンタインの詳しいお話はまたの機会にするとして、私はアキトさんともう一人、お友達にもチョコを作ることにしました。
お菓子作りが得意な方ですから、お口に合うかどうか……

家に着くとハル姉もアス姉もすでに帰ってきてたです。
「遅かったじゃない、翠。どこまで買いに行ってたのよ?」
「これならあたしたちが帰りに買ってきた方が早かったわ」
「ちょっと、友達と会ってたですぅ……」
するとハル姉がニヤニヤしながら翠星石の顔を覗いてきたです。
「友達~?その言い方が怪しいわねー。ジュンくんじゃないの~!?」
「ちっ違うです!ホントに友達ですぅ」
さらに、ハル姉と同じくニヤニヤしてるアス姉も尋問を開始しやがったです。
「じゃあ誰よ?友達って」
こいつらはすぐに色恋沙汰にしたがるですぅ。
「ル……ルリルリとお茶飲んでたです」
二人はキョトンと顔を見合わせてから聞いてきました。
「ルリルリって、お隣の姉妹のルリちゃん?」
「あれ、あんた仲良かったっけ?」
「そうですよ。仲良しですよ」
「ふーん。ま、いいわ。さっそくお菓子作りの練習始めましょっ!!」

その日の練習で、隣の姉二人もバレンタインに向けて燃えてると教えてやったら、ハル姉もアス姉も目の色変えてお菓子を作ってたですぅ。
さすがの翠星石も、ちょっとびびったです。

……ところで翠星石は、ジュンの他に、ルリルリにもお菓子を作ってやることにしたです。
べっ別に友達にあげたって、いいじゃないですか?
まぁ、せっかくですから、気合いを入れてパティシエ級の腕前を披露してやるですぅ!