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年の瀬も押し迫ってきたとある昼下がり。3姉妹は自然とリビングに集まっている。
最も、長女はネット、次女は読書(といっても雑誌だが)、末っ子はクレヨンで落書きと、思い思い過ごしていた。
数分後、当然こんな穏やかな時間が大嫌いな長女が口を開いた。

「もう今年も終わりね、忘年会とかしよっか!」
イベント大好きの長女はまたなにか思いついたらしい。

「何すんのよ、どこですんのよ、誰とすんのよ」
次女が雑誌から目を離さずに言う。

「そ、それはこれから考えんのよ、大人みたいにお酒飲むだけなんてつまらないわ、もっと面白いことしなきゃ」
これは本人が酒乱を自覚しているから出たセリフだろう。

「ハル姉、忘年会ってなんです?」
クレヨンを片手に末っ子の翠星石が問いかける。

「翠は忘年会知らないの?」
「か、確認のためです!それに翠星石はハル姉に聞いてるです!」
「そう・・・プ」
「なななんですか、その笑い方はっ!」
この娘達がいれば特別何もしなくても面白いかもしれないと思いつつ、ハルヒは妹の疑問に答える事にした。

「忘年会っていうのは読んで字のごとく、今年の事は忘れて、さっぱりした気分で新年を迎えるための儀式よ」
「わ、忘れる・・・ですか」
翠星石の表情がなぜか少し暗くなった気がした。

「どうしたの、翠。知ってて確認したんでしょ?」
翠星石の表情が見えないアスカはイジワルな質問をぶつける。翠星石はさらに俯いて、姉に問い返した。

「お姉達は、今年の事忘れたいのですか?」
「「・・・」」
いつもより真剣な妹の言葉に、姉たちは一瞬言葉を失った。翠星石は続ける。

「翠星石は忘れたくないです。お姉達に出会った事、姉妹になった事、
 一緒に住むようになってからの事・・・他にもたくさん、たくさん、あるです」
「翠、あの」
ハルヒが言葉を継ごうとするが、翠星石が泣いている事に気付いてのどにつまってしまった。
「そんな大事な事を忘れるくらいなら、翠星石は忘年会なんてやりたくないですぅ!」


雑誌を読んでいるのに、記事が全然頭に入ってこない。無知な妹の叫びが可愛くて、嬉しくて、くすぐったくて。
だからアスカは笑った。
「プ、アハハハハッ!」
「な、アスカちょっと!」
真剣に聞いていたハルヒがアスカを咎める。

「ホントに翠ってばバカね、別に記憶が消えるわけじゃないのよ?」
「へ・・・?」
翠星石はそう思っていたらしい。顔を上げてポカーンとしている。ハルヒはアスカの言葉に乗っかった。
「そうよ、翠。言ったでしょ、儀式だって。気分を切り替えるって意味なのよ?
 要は終わり良ければ全て良し、楽しく騒いで今年を終わらせましょうって事!」
「・・・」

また俯いてしまった翠星石の耳が真っ赤になっているのに気付いたアスカはホッとしたが、すぐに妹をいじりにかかった。
「あれ?翠、知ってたんじゃなかったの?」
「もうアスカったら・・・翠、あんたみたいな面白い子、忘れようとしてもそうそう忘れられないわよ?ね、アスカ?」
不意にふられてアスカはちょっとキョドる。
「あ、そ、そうね、翠みたいな子、が・・・いてくれて、う、嬉しいっていうかなんていうか」

瞬間に俯いていた翠星石の目が妖しく光る。
「翠星石はアス姉のようなツンデレを姉にもって苦労するです」
「な、なんですってーっ!翠に言われたかないわっ!」
立ち上がって反論するアスカ。いつのまにか顔は真っ赤である。
「うるせーです。そもそも妹というのは姉に似てしまうものです、2人ともツンデレでは翠星石は将来がとても心配ですぅ」
「す、翠っ!訂正しなさい!アスカはともかく!」
ハルヒもつい言い返してしまう。こちらも頬が赤い。

「ハル姉だって!」
「なによ!」
「上等ですぅ!」

こうしてまたツンデレ3姉妹の忘れられない1日が過ぎて行くのであった。