午前6時 キョン宅
12月に入り、家の中だというのに吐く息が見えるくらい寒い朝。
布団の中でまどろんでいると、ブーッブーッと携帯に着信が入った。
誰だ?こんな朝から・・・・・・・・
あまりの寒さに、布団から手を出すのも面倒だが、出ないわけにもいくまい。
          [着信・涼宮ハルヒ]
折角の休みに、我がSOS団の団長様から着信とは泣けてくるぜ。
キョン「もしもし?」
ハルヒ「遅い!私が電話したら3コール以内にでる!」
あ~すいませんね。ごく一般的な男子高校生なら、休日はのんびり惰眠を貪るものだ。
ハルヒ「まぁイイわ。取りあえず3時に駅前集合よ!」
キョン「いったい今日はなんだっt」ガチャ。
自分の用件だけ伝えて切りやがった。あいかわらず人の意見は聞かない奴だ。



駅前は気の早い店達が、赤や緑の飾りを付けて浮かれてやがる。
そんな賑わう場所で、集合時間前だというのに毎度の如く全員集合とは恐れ入るよ。
ん?いや待て、一人足りないぞ。ハルヒが来てないじゃないか…
珍しい事もあるんだな。まぁ、たまにはハルヒに奢られるのも気分がいいもんだ。


ミクル「あ、キョンくん。こんにちわぁ」
ん~朝比奈さんはいつ見ても神々しい位かわいいな~。
古泉「どうも。今日は冷えますね」
いつものように胡散臭い笑顔だが、確かに今日は一段と寒い。
長門「………(ペコリ)」
今日も長門は制服か。そんな格好で寒くな……いんだろうな。


そうこうしてると、ハルヒが汗だくになってやって来た。
ハルヒ「いやー参ったわ。出掛けに妹達が騒ぎだしてさ、おかげで遅れちゃったわ」
なるほど、確かにあの2人が騒ぎ出したら大変だ。ハルヒも一緒になって騒ぐだろうからな。涼宮家の近隣住民の人達にエールを送りたい。
古泉「ところで涼宮さん、今日はいったいどんなイベントを思いついたんです?」
ハルヒ「あれ?言ってなかったっけ?寒いからSOS団鍋パーティーをするのよ!」



      同時刻、涼宮家
アスカ「まったく、お姉ってば勝手すぎよ!」
翠星石「まぁそう怒るなですぅ。怒るとしわが増えるのですぅ」
アスカ「うるさいわね!なんで鍋やるのにバカシンジを呼ばなきゃなんないのよ」
翠星石「シンジの料理は美味しいのですぅ。アス姉とは月とスッピンですぅ」
アスカ「うっ…スッポンよバカ。でもまぁそれなら呼んでも変じゃないわね………」
翠星石「翠星石も電話しなきゃですぅ」
アスカ「なに?あのジュンって子?翠星石も隅に置けないわね(ニヤッ)」
翠星石「ち、違うですぅ!蒼星石や真紅達の事ですぅ!」
アスカ「とか言ってジュン君も呼ぶんでしょ?」
翠星石「うぅ~///」



              駅前

ハルヒ曰く、寒い時に鍋を楽しむのは日本の心らしいが、そんなもの北半球の大概の国でやるんじゃないのか?
しかし、鍋パーティーか。ハルヒにしてはイイ提案だな。
あてもなく不思議探索で寒空の市内を歩いたり、孤島で殺人事件が起きるより、よっぽど健全な高校生らしい。
ミクル「わぁ~お鍋ですか、いいですねぇ」
長門「鍋。一度に豊富な食材を摂取可能。推奨する」
古泉「僕はもちろん賛成ですよ」
いつもながらSOS団の中でハルヒに反論するなんて無駄な事をする人間は、俺以外にいるわけないのだが、
今回はハルヒ。お前の提案に俺も賛成だ。
ハルヒ「決まりね。それじゃあ材料を買いに行くわよ!」
結局買い物をするので、ファミレスでハルヒに奢らせる事が出来なかったのが少々残念である。


         同時刻 特務機関NERV


ミサト「どーしたのシンジ君?なんか嬉しそうね」
シンジ「い、いえ。たいした事じゃないんです」
ミサト「怪しいわねぇ。お姉さんに白状しなさい!」
シンジ「うわぁ!?あ、アスカの家で鍋をするからって呼ばれたんですよ…」
ミサト「あら素敵じゃない。やっぱ暖まるし、この季節は鍋よね~♪」
リツコ「それじゃあ今日のテストはこれ位で切り上げましょうか」
シンジ「い、いいんですか?ありがとうございます!」(タッタッタ…バタン)

ミサト「い~わね~青春って感じで♪あたし達も仕事やめにして、呑みに行きましょ!」
リツコ「あら、ミスマル艦長への報告書。まだなはずよ?」
ミサト「うぇぇ・・・あの艦長さん、どうせちゃんと読まないわよ…」
リツコ「仕事でしょ。終わったらつきあってあげるわ」



商店街に着いた俺たちは、二手に分かれて食材を調達することにした。
ハルヒ「んじゃ早速くじ引きよ!」
別に二手に分かれる事もないだろ。不思議探索じゃなく食材を買うだけだぞ?
ハルヒ「つべこべ言わずに、さっさと引く!
    どっかの学校じゃ入試から生徒会の選挙まで、くじで決めるのよ?」
そんなアホな話があるか、そんな所があったら俺は真っ先に受けてたぜ。
くじ引きで決まったのは俺とハルヒ。朝比奈さん、長門、古泉のチームだ。珍しいなハルヒとペアになるのは。
なんだ古泉、その笑みは?
古泉「いえ、別に深い意味はありませんよ。」
ハルヒ「ほらキョン!さっさと行くわよ」
まあいい。さっさと買い物を済ましちまうか。


      同時刻 桜田家


蒼星石「うん。じゃあ6時に」ガチャン
ジュン「電話、誰からだったんだ?」
蒼星石「翠星石からだよ。ハルヒさん達と鍋をするから来いってさ」
真紅「そう。気をつけなさい。あの家は少し乱暴だから」
ジュン「確かに、あの家は元気良すぎるからなぁ」
蒼星石「いや……みんな連れて来いって…」
ジュン&真紅「・・・・・・・」
蒼星石「いや、そんな顔しなくても・・・」
雛苺「お鍋♪お鍋♪楽しみなのぉ~♪」


         商店街


ハルヒ「おじさーん、ニラと白菜と…こっから、ここまで買うわ!」
加持「まいどあり」
キョン「おいおいちょっと待て。いくらなんで買いすぎだろ!」
ハルヒ「うるさいわね。野菜は体にイイのよ。それに有希とかレイさんが、いっぱい食べるだろうし」
まぁ長門なら黙々と食べそうだが、ちょっと待て。あの、長門のお姉さんも来るのか?
ハルヒ「そうよ?こういうのは大勢で食べるから楽しいんじゃない。
    それに翠星石の友達とかも来るから結構な人数になるわね」
なるほど…ハルヒの考えそうな事だ。だが俺の心中じゃ、不安要素が渦巻いて素直に喜べそうにもないな…。
加持「はい、お待たせ。これは僕からのサービスだ」
そう言って八百屋の店主に渡されたのは、全く持って季節はずれの西瓜だった。



        涼宮家
アスカ「よし、取りあえずこんなもんね」
翠星石「ふぅ……やっと片付いたですぅ。アス姉は普段から片付けをするべきですぅ」
アスカ「あんたもでしょうが!それより…」
翠星石「さっきから時計を気にしてどうしたです?
    まだ鍋の時間には早いのですぅ。アス姉は食い意地が張りすぎなのですぅ」


       ピンポーン


アスカ「!!」タッタッタ・・・・・ガチャ
アスカ「遅いわよ!馬鹿しんz」
鶴屋「やぁ~アっちゃん!ごめん。実はちょーっと用事が出来ちゃって、
   あたしは鍋パ不参加って事にしてくんないかな?」
アスカ「あ、はッはい」
鶴屋「ほんっとごめんにょろ。お詫びといっちゃーなんだけど、
    家にあった物てきとーに持ってきたっさ!よかったら鍋の足しに使ってよ♪」
アスカ「分かりました……姉に伝えておきます」
鶴屋「んじゃ、ハルにゃんによろしく~」


翠星石「どうしたですアス姉?」
アスカ「べ、別になんでもないわよ…///」


       商店街
みくる「えっと~涼宮さんのメモだと…これで全部揃いましたぁ」
古泉「それでは集合場所へ向かいましょう。おや?あれは…」
長門「ぼん太くん」
古泉「ええ、そのようです。しかし…」
みくる「な、なんか怖い人達とジョギングしてますよ~」
長門「声音変換に異常。とても難儀」
古泉「………とりあえず行きましょうか。あまり涼宮さんを待たせても大変です」
???「うふふふふ~」
みくる&長門&古泉「!?」
水銀燈「あなたたちぃ乳酸菌摂ってるぅ?」



      涼宮家
  ピンポーン
ダッシュで玄関に向かうアスカ。
シンジ「こんにちは」
アスカ「遅いわよ!バカシンジ」
シンジ「ご、ごめん……父さんがコレを持ってけっていうから…」
奥から翠星石がやって来て、シンジの持っていた袋を強引に奪い取る。
翠星石「お土産とはなかなか気が利くです。何が入ってるですか?」
シンジ「カニって言ってたんだけど………」


   ガサガサッ ジュルッ ギョロン!!


翠星石「ひぃぃぃ!?目がギョロって、変な汁が出てるですぅぅぅ!」
アスカ「これって…マトr」
シンジ「か、カニだよ…はは……なに言ってるんだアスカ」
翠星石「絶対ちがうですぅぅぅ!」


       駅前
ハルヒ「遅いわ!まったく何してるのかしら」
やれやれ、今日は珍しい事だらけだ。
あの3人が待ち合わせに遅れるとは、俺の知らないとこで狂乱な事件でも片付けてるんだろ。
ハルヒ「ちょっと探して来るわ。悪の組織に誘拐されたかもしれないし…」
う~ん誘拐ねぇ…長門は誘拐犯を、例の情報操作とかで倒しそうだし。
古泉を誘拐しようなんて奇特な奴もいないだろう。
はっ!朝比奈さん!あの人ならありえる。というより前例があるじゃないか!


ハルヒ「あ、来た!あんた達遅いわよ!」
な…ったく、ハルヒのせいで【朝比奈さん救出計画】を脳内シュミレートしちまったぜ。
みくる「あ、あのぉ遅れてごめんなさ~い。す、涼宮さんにコレを…」
そう言って取り出したのは………キムチ?すみません。朝比奈さん、意味が分からんのですが。
みくる「えぇっと、歩いてたらぁ、黒い羽飾りを付けた子がくれたんです」
ハルヒ「はは~ん、きっと水銀燈ね。この前のお礼って事かしら。可愛いところあるじゃない」
なんだか分からんが、ハルヒの知り合いに変わった奴が多いってのは再確認した。
さて、全員揃ったんだしハルヒん家に行こうぜ。缶コーヒーも冷たくなっちまったしな。



      涼宮家
アスカ「もぉぉハル姉達遅いわねぇ!」
翠星石「まったくです。先に蒼星石達が着いちゃうですぅ」
シンジ「ねぇアスカ~、なんで僕だけ早く呼ばれたんだよ?」
アスカ「き、決まってるでしょ!鍋の準備とかさせる為よ!」


シンジ(いいんだ……僕なんて…僕なんて)
翠星石(……この2人はでっかいアホです)


雛苺「なんだか暗いの~ドンヨリなの~」
アスカ&翠星石「!?」
翠星石「ひ、雛苺!?どっから入ったです!」
蒼星石「ごめん。nのフィールドでアスカさんの部屋から来たんだ」
真紅「アスカ、久しぶりね」
ジュン「お、おじゃまします」
アスカ「あんたら~レディの部屋から勝手に入るなぁ!」



ハルヒ「たっだいま~すっかり遅くなっちゃった」
アスカ&翠星石「遅~い!」


翠星石「腹が減ったですぅ!さっさと作りやがれです!」
アスカ「ちゃんと準備して待ってたんだから、美味しいの作ってよね!」
ハルヒ「はいはい分かったわよ。みくるちゃん、シンジ君、ちょっと手伝ってくれる?他のみんなは座って待ってて」


まったく驚きだ。ハルヒにこんな家庭的なところがあるなんて、学校じゃこんな姿は見たことないからな。
アスカ「ほら、キョンさんも突っ立ってないで座ったら?お姉に見とれてないでさ」
なにか勘違いしてないか?俺がハルヒに見とれてる?きっとこの娘の勘違いだろう。そうに違いない。


雛苺「キョン?変な名前なの~♪ヒナは雛苺なの~♪」
なんか目眩がしてきた…やばい、このタイプは不味い…クタクタになるまで振り回されてしまう。長門、頼む。
雛苺「お姉ちゃん、一緒に遊ぶの~♪」
長門「…それが望みなら」


すまない長門、体力的にも限界でな…買い物で疲れ…たん………zzz



ハルヒ「みんなー出来たわよー!って…ちょっとキョン!なに寝てんのよ!」
キョン「……ぐぅ」
蒼星石「なんか、凄く疲れてるみたいだね」


真紅「そっとしときなさい。いずれ起きるわ」
ハルヒ「そーもいかないわ!これから【SOS連合・どっきり☆鍋パーティー2006】
    略して【鍋パ☆】を始めるんだから、雑用のキョンが寝てたら困るじゃない!」


シンジ&ジュン(なんだろう、そのツッコミ所満載のネーミングは……)


古泉「…おそらく昼間の疲れが原因でしょう。それに少々寝不足だったと考えられます」
アスカ「こんなになるまで、お姉に何されたんだか(ニヤニヤ)」


長門「・・・・・・・・・・・・・・(チラッ)」
ハルヒ「べ、別に何もしてないわよ!もうイイわ。キョンなんか放っといて始めましょ!」


・・・・・・・グツグツ・・・・・・・・


シンジ「そろそろ煮えてきたかな?(ぱかっ)」
みくる「わ~とっても美味しそうです~♪」
ハルヒ「よ~し!それじゃみんな、【鍋パ☆】始まりよ!沢山食べなさ~い!」


一同「いっただっきま~す!」


ピンポーン


長門「・・・・・来た」


アスカ「ったく誰よ・・・(ガチャッ)・・・ファースト!?」
レイ「こんばんは」


ハルヒ「遅いわよ~レイさん!さぁ、入って、入って」
アスカ「ちょ、お姉!なんでファーストまで呼んだのよ?」
ハルヒ「だって有希のお姉さんだし、あんたの友達でしょ?」


レイ「お腹が空いたわ・・・・・」
アスカ「・・・・もぉ、分かったわよ。そんなとこ突っ立ってないで、早く入りなさいよ」
レイ「こんな時、どんな顔したらいいのか分からない・・・」


アスカ「それはイイから!」



みくる「どうです?美味しいですかぁ?」
雛苺「とってもおいしの~♪」


蒼星石「雛苺、お茶碗を持って食べないと・・・・」
     ガシャーン
みくる「きゃっ!?お洋服が~」
蒼星石「大丈夫!?火傷はないですか?えぇっとタオル、タオル・・・」
みくる「平気です~お洗濯すれば落ちますし・・・」


雛苺「ごめんなさいなのぉ・・・コレ、お着替えなの~」
蒼星石「じゃ、じゃあ僕が洗濯して来ます。かわりにコレを着てて下さい」
みくる「こ、コレは・・・?」


雛苺「隣の部屋にあったの~♪」


シンジ&ジュン(//////)


ハルヒ「どうしたの二人とも?ははぁ~ん。あんた達、みくるちゃんのコスプレ姿に釘付けってわけね。
    さすがSOS団の萌え要員!アスカのプラグスーツだけど良く似合ってるじゃない。
    胸のあたりが、かなりキツそうだけど」


シンジ「べ、別にみくるさんを見てたわけじゃ・・・」
ジュン「そ、そうだ!そんな事ありえないですよ」


ハルヒ「ふ~ん。シンジ君はみくるちゃんじゃなく、“アスカ”のプラグスーツを見てた訳ね」
シンジ「え、い、いや・・・その・・・///」


ハルヒ「それにジュン君はペタンコが好みなのよね」
ジュン「ちょ、なんで・・・・・?」


ハルヒ「まぁ半分冗談だけど、これからもウチの妹達と仲良くしてあげてね!」
シンジ&ジュン「は、はい!」


翠星石「ハル姉があっちで騒がしいですぅ。毎度のごとく、出鱈目な事言ってやがるですぅ」


長門「あなたは(モグ)自分の意思を素直に(モグ)表現するべき」
翠星石「す、翠星石は本当の事を言ったまでですぅ!」


レイ「有希。この姉妹はツンデレなの(モグ)憎まれ口は愛情の裏返しだわ(モグ)」
長門「そう(モグモグ)」


翠星石「そ、そんな事ないですぅ!それよりルリはどうしたんです?」


長門「(モグ)テンカワ・アキトと食事」
レイ「デートね(モグモグ)」


翠星石「そうですか・・・・(デートだなんて大人ですぅ。・・・・また色々喋りたかったですのに・・・・)」


レイ「がっかりしなくても、またいつでも遊びに来ればイイわ。あなたが望めばソレは叶うもの」
翠星石「・・・・・・(コクリ)」



アキトのラーメン屋


金糸雀「ぷはー。ここのラーメンはとっても美味しいのかしら♪」


アキト「あのお客さん、よく食べるな~。ところで本当に良かったのかい?お姉さん達と一緒じゃなくて」
ルリ「イイんです。今日はアキトさんのラーメンって決めてましたから」
アキト「そうかい?じゃあ後で餃子でも包んでおくよ。お姉さん達のお土産にね」
ルリ(本当は姉達が強引に来させたんですが・・・あっちはうまくやってるでしょうか?
    翠星石は元気でしょうか?なんだかとても不安です・・・)


アキト「やっぱりお姉さん達の事心配なんだね」


ルリ「え!?今私…」
アキト「言わなくても顔に出てるもの。ルリちゃんはホントにお姉さん達が好きなんだね」


ルリ「・・・・・アキトさんの餃子、きっと喜ぶと思います///」


金糸雀「も、もしかして私の出番コレだけかしら~!?少な過ぎじゃないかしら~!?」


真紅「はっ!?わ・・・忘れてたわ・・・・・」


アスカ「どうしたのよ真紅?そんなに慌てて」
真紅「・・・・今日はくんくんのスペシャルだったのよ?それを・・・
   それを録画し忘れたなんて・・・あぁ私はなんて馬鹿な事を・・・・・・」orz


アスカ「別にイイじゃない。そんな子供向け観てるなんて、やっぱり真紅もお子様ね~」


真紅「くんくんを馬鹿にしないで頂戴!」
古泉「そうですよ。子供向けとはいえ、緻密に計算されたトリック、
   骨太なストーリー、なにより名探偵くんくんの推理力には感動ものですよ?」
アスカ(この人も観てるんだ・・・・・)


古泉「よろしかったら、今回の録画分、明日にでもお貸し致しましょうか?」
真紅「ほ、本当ですの!?てっきりラプラスみたいな変質者だと思っていたのに、
   ごめんなさい。少々あなたを誤解していたようね。」


古泉「はは・・・そうですか・・・」


ハルヒ「みんなちゃんと食べてる?それじゃこれから闇鍋するわよ!」
雛苺「わ~いなの♪」


ジュン「え、ちょ、闇鍋!?」


真紅「闇鍋?聞いたことないわね」
長門「暗闇の中、様々な食材を入れ、箸で取ったものを強制的に食る。推奨は出来ない」


アスカ「ちょっとお姉!いやよそんなの!」
翠星石「そうですぅ!どうせハル姉は変なの入れるに決まってるですぅ!」
ハルヒ「うるさいわね!やると言ったらやるの!」パチンッ!


みくる「ふぇ~真っ暗で何も見えないですぅ~」


・・・バチャ…ドチャ・・・グチャ・・・・・・・・・・・パチンッ!


レイ「・・・・・くさい」
蒼星石「な、なんかどす黒い色に…コレ食べれるのかな・・・?」
ハルヒ「きっと平気よ!それじゃ・・・シンジ君!あなた食べてみなさい!」


シンジ「え!?ぼ、僕には無理ですよ!」


翠星石(こーなったら人柱に・・・)「努力と根性で食べやがれですぅ!」
アスカ(シンジには悪いけど・・・)「あんた馬鹿ぁ!?さっさと食べなさいよ!」


シンジ「うぅ・・・分かったよ・・・」(逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ・・・)
みくる&雛苺「あわわ~」
シンジ「・・・・・・目標をセンターに入れてスイッチ!!!(パクッ!)」


真紅「そんな!?一気になんて無茶だわ!」
ジュン「な、鍋を食ってる・・・・・」
シンジ(・・・・・・バタッ)


アスカ「ちょ、しっかりしなさいよ!」


レイ「・・・・・・おめでとう」
蒼星石「おめでとう」
古泉「おめでとう」


シンジ「・・・・・ありが・・・と・・・・う・・・・・」
    パチパチパチパチ
アスカ「・・・・・みんな、何してんのよ?」
翠星石「なんでもイイですぅ。シンジのおかげで、気味わりぃアレを食わずに済んだですぅ」
ハルヒ「はぁ?なに言ってんの!全員食べるに決まってるでしょ!!」


一同「!?」


ん…ん~?……寝てたのか俺は…って!?
なんだこの光景は…まるで十字軍の通った後じゃないか。
どうやったら、鍋でこんなになるんだ?


ハルヒ「ふぁあ…キョン…やっと起きたわね…」


キョン「もしかしてお前、ずっと起きてたのか?」
ハルヒ「だってあんた、何も食べてないじゃない。一人だけ食べないなんて、
    鍋パーティを企画したあたしが許さないわ。」


そうかい、それじゃ遠慮せず頂くとするかな。
コレはカニか?なんか変わった味だが中々イケる。
相変わらず何でも器用にこなす奴だ。


ハルヒ「どお?美味しいでしょ!他にも色々作ったんだけど、それが一番好評だったしね」


そう言ったハルヒの顔は、妙に満足そうだった。
今日はハルヒに連れまわされて大変だったが、
毎度の事だし普段に比べりゃどうって事ない。同級生のワガママ娘の家で、手料理を食った。
むしろ感動して涙を流すシーンか?
・・・・・何故かやけに耳がアツいのは、きっと鍋のせいだろう。

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最終更新:2006年12月07日 21:25