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真紅「ジュン、寒いわ。窓を閉めてちょうだい。」
ジュン「はいはい…ったく、窓ぐらい自分で閉めろよ。……ん?アレは?」
空の向こう。ジュンをめがけてくる一つの点。やがて点は大きくなりカバンだとジュンは認識した。
ジュン「また来たな、性悪人形が!もう窓は割らさせないぞ!」
急いで窓ガラス取り外そうと夢中になっていたその時。
(ガシャーーーーン……)
ジュン「へ?」
真紅「………一階の窓から来たようね。まあ、ここが寒くならなくてよかったわ。」
ジュン「お、お前なあ!」
(ガチャ…ギィィ………)
ジュン「おい、この性悪…」


翠星石「すぃぃんくぅぅぅぅぅ!!大変ですぅ!ハル姉が……ハル姉が……!!翠星石はどうしたらいいですか!?」
真紅「落ち着いて、翠星石。何があったの?」
翠星石「水銀燈が、ハル姉をさらっていったですぅ!」
真紅「水銀燈ですって!?」
ジュン「水銀燈!?…何を考えてるんだ……?」



そのころ三姉妹家では、漆黒に染まる羽根が何百とまとわりついたアスカがいた。近くにある全身大ほどの鏡は、まるでアスカを嘲笑うかのようにゆっくりと渦巻いた模様を描いていた。
アスカ「ハル姉……!アタシが…アタシにもっと力があったら………!バカシンジ……なんでこんなときにいないのよ!!翠…まかせたわよ……。」



暗くたたずむ空。砕けた瓦礫と、壊れた人形ばかりの世界。そんなところに、水銀燈と羽根に巻きつかれたハルヒがいた。
ハルヒ「くっ……!何なのよコレ!」
水銀燈「あらぁ。意外とあっさりだったわね。こんなに簡単に計画通りになるなんて、どこかのお馬鹿さんのドールとは大違いだわぁ。」



金糸雀「ふぇ…くっしゅん!風邪でもひいたかしらー?ピチカート、今日の侵入は諦めるのかしら…。やっぱり健康が第一かしらー!」



ハルヒ「ちょっと!なんだってアタシがこんな目にあわなきゃいけないのよ!」
水銀燈「あらあら……恐いカオしちゃダメよぉ、…ねぇハルヒ。」
ハルヒ「……!?どうしてアタシの名前を!?」
水銀燈「茶色の長い髪の子があなたの名前を叫んでたわよぉ。……でも、今は綺麗な黒に染まってるでしょうね……ウフフフ。」
ハルヒ「………あの子に何をしたのよ!」
水銀燈「あらぁ、人聞きが悪いわねぇ。ちょっと黒い羽根のドレスを着せてあげただけよぉ?」
ハルヒ「何…?あなたは翠星石と同じ“ドール”のようだけど、何が目的なの?」
水銀燈「……レディに詮索は野暮ってモノよ。それより…。」
ハルヒ「……それより?」



水銀燈「く……、くんくんがあなたの“ガッコウ”とやらに来るのよね……?」



ハルヒ「……………………ふぇ?」
水銀燈「だ、だから!あなたの“ガッコウ”にくんくんが来るから、その日にちと場所を教えなさいって言ってるのよ!」
ハルヒ「……ふ~ん。ああ、アレね。でもアタシ、羽根が身体じゅうにあるせいか日にちは忘れちゃったかな~?」
水銀燈「!!…わかったわ。」


辺りに散り散る無数の黒羽根。そして顔をニヤケさせるハルヒ。


水銀燈「………な、なによ。ほら、あとは“ガッコウ”の場所を教えなさい!」
ハルヒ「口じゃあ説明しづらいわね。そうね…アタシの家に帰してくれたら、地図を書いたメモあげるわ!」
水銀燈「くっ…!わ、分かったわよ。メイメイ、案内してあげてちょうだい。……まあ、くんくんのことさえ分かれば計画は成功よぉ。」
ハルヒ「キレイな紫色ね……。さ、連れてってもらうわよ!」


紫色の光に包まれ、元の世界へと戻るハルヒ。それを見つめる水銀燈。


水銀燈「はぁ……。くんくんが来ることが気になって気になって…。なんだか今日は、アリスゲームで闘うなんて気分は出ないわぁ…。」



少しすると、気付いたらハルヒは自分の家にいた。


ハルヒ「あら……もう着いたの?って、そうだ!アスカと翠よ!二人は無事!?」
辺りを見回すハルヒ。羽根は床を所々に散らばっていた。家の奥からアスカが目を赤くさせながら出て来た。
アスカ「ハル姉!?大丈夫だったの!?」
ハルヒ「アタシは余裕よ!それより、翠は!?」
アスカ「翠星石が羽根を取ってくれたの。あの真紅という紅い子と一緒に。」
翠星石「無事に帰ってきたですか!?」
翠星石は、アスカと同じ様に目を真っ赤にさせて駆け込んできた。
ハルヒ「しっかし、二人とも目が真っ赤ねぇ~、アスカ。翠。姉を心配して泣いてたのねー。我ながら可愛い妹を持ったわー。」
翠星石「し、心配なんかしてねーですぅ!それに、翠星石もアス姉もこんなの平気の平八郎ですぅ!」
アスカ「そうよ!ハル姉がいなくなったからって泣いたり……あ。」
アスカの頬を流れる涙。安心したからか、一斉に出て来たようだ。翠星石は、なんだか目がかゆいと言って、袖で目をゴシゴシと拭いている。その袖はすぐにびしょ濡れになっていった。
ハルヒ「よしよし。もうアタシは大丈夫だから…。あ、そうだ!アタシやらなきゃいけないことがあるから!」
アスカ&翠星石「え?」
ハルヒはそう言うと、ハルヒは自分の部屋にすぐさま向かっていった。


真紅「ハルヒが無事だったのは何よりだわ。でも……水銀燈。彼女は何を考えてるのか分からないわ。翠星石、気付いたかしら?メイメイがハルヒの側にいたことを。」
翠星石「メイメイは気付いてたですぅ。ただ…、目的は翠星石もわかんねーですぅ。でも、少しのあいだとはいえ、ハル姉をさらったことは事実ですぅ!いっちょ、ぶちかましてやるですぅ!」
真紅「そうね。ジュンのトコには雛苺がいるから一応は大丈夫ね……。水銀燈、覚悟しておきなさい!」
翠星石「ですぅ!」
アスカ「あ、あんた達!」


アスカがそう言った時には、二人はもう鏡の中に消えていった後だった。その刹那、ハルヒは部屋から出て来て言った。


ハルヒ「ああそう翠と真紅ー!くれぐれも追いかけちゃダメだか……あら?」
アスカ「遅かったわね。何してたの?二人とも、もう行っちゃったわよ?」
ハルヒ「大変!水銀燈が!行くわよメイメイ!」
アスカ「え?すいぎ…?メイメ…?ハ、ハル姉!?」


ハルヒはそう言うや否や、鏡の中に溶けるように姿を消していった。
アスカ「いったいどうなってるの……?」


真紅。翠星石。この二人が何度も見た寂しい風景…水銀燈のフィールド。二人は真剣な表情でたどり着いた。
翠星石「もー許さんですぅ…とっちめてやるです!真紅!行くですよ!」
真紅「ええ…行きましょう!」


一方そのころ水銀燈は…
水銀燈「気になって仕方がないわぁ~。なんだか気が抜けるわねぇ…。ああ、愛しのくんくん……、もうすぐ会うことができるわぁ。……メイメイがいるからあの子も大丈夫よねぇ?」
ややポケーッとした水銀燈のところに、怒りの表情に満ちた翠星石と真紅の姿があった。
水銀燈「あらぁ?何の用かしらぁ?」
翠星石「すっとぼけるなです!今日という今日は許さねーですぅ!」
真紅「水銀燈。あなたが何を考えてるかは分からないけれど、来るべき時間(とき)が来たようね……!」
水銀燈「ちゃんと人質は返したじゃなぁい。それに、アタシにしては珍しいけど、今は闘う気分じゃないのよぉ。放っておいてもらえるかしらぁ?」
翠星石「そんなん知るかですぅ!スィドリーム!」
真紅「行きなさい!ホーリエ!」
痩せた土から巨大な植物が生えわたり、水銀燈へと向かっていった。水銀燈は植物をかわしたが、その瞬間紅く輝く光は、水銀燈の頬をかすめた。


水銀燈「な、何するのよ!しかも二人して!」
翠星石「自分のやったことまで忘れたですか!?なんて野郎です!」
真紅「ローズ・テイル…」
真紅の手のひらから出た薔薇の花びらは、水銀燈のまわりを無数に囲うようにとどまっていた。
水銀燈「くっ…、今日は勘弁してほしかったトコだけど仕方ないわねぇ…!行くわよぉ!真紅ぅぅぅぅぅぅぅ!!」
不本意ながらも臨戦体勢に入った水銀燈。薔薇の花びらが水銀燈に向かおうとしたその時!


「ケンカはやめなさーーーーーーーーーーい!!!!!」



フィールドに声が響き渡った。ハルヒの声である。その声に反応し、花びらと植物はピタリと止まった。


翠星石「ハ・・ハル姉!あぶねーです!ここは翠星石達に任せるですぅ!」
真紅「・・・ハルヒ?あなた、なぜここに?」
ハルヒ「まあまあ、待ちなさいってアンタ達。それ以上、水銀燈に何かしたらアタシが許さないからね!」
翠星石「ハル姉…?」
真紅「どういうこと?」


植物はおさまり、無数の薔薇の花びらは床にひらひらと落ちた。


ハルヒ「いやぁ~ごめんごめん。ちょっとここはアタシに任せてくれないかなあ?」
水銀燈「なによハルヒ・・、この二人を片付けてからでもよかったのよぉ?」
ニヤニヤしながら、ハルヒは水銀燈に近づき、耳元で囁いた。
ハルヒ「(あなたがくんくんに夢中だってことを、今この場で大声で叫んでもいいのよ~?)」
水銀燈「そっ…それだけは!」


ハルヒにしがみつき、何かを乞うような表情の水銀燈。


翠星石「・・・ハル姉は、何しゃべってるですかね?」
真紅「分からないわ。でも、ハルヒに何かをお願いしてるような感じね・・・。不思議なこともあるものだわ。」


ハルヒ「これが地図よ!っとメイメイも。」
水銀燈「………礼は言っておくわぁ。それより、あなたはこんな目にあってアタシに何もしないのねぇ?」
ハルヒ「あったり前じゃない!こんなにも暗くて空も変なこんな異世界、地球上じゃないわね!もうアタシはここにこれただけで満足よ!」
水銀燈「・・・??あ、あらそう。満足してるのならそれでいいわぁ。人間ってホンット分からないわね・・・。」
ハルヒ「じゃあ、アタシ達はこれで帰るから。じゃあね、水銀燈!」
翠星石「え?翠星石達は帰るですか?」
ハルヒ「そうよ。」
真紅「ねえハルヒ。水銀燈に何を話していたの?」
ハルヒ「内緒よ内緒!アタシが無事で満足してるんだから、それでいいじゃない。さ、帰るわよ。」
翠星石「ハ、ハル姉~待つですぅ!」


ハルヒと翠星石は現実世界に戻って行った。


真紅「水銀燈、次こそは……ってあら?……いないわ。なんだかよく分からないけど、ハルヒが無事だったしこれでいいのよね……?帰りましょう、ホーリエ。」


真紅は、二人に続いて帰りながらふと辺りを見回した。


真紅「あら?空が少し明るくなった……?まあ、気のせいよね。ローズ・テイルまで使ったから疲れているのだわ、きっと。」



一方そのころ水銀燈は、嬉しさのあまり猛スピードでフィールド内を飛び回っていた。


水銀燈「あああ、くんくぅん!これであなたに会うことができるわぁ~!くんくんが来る日が楽しみよぉ~!」



ハルヒ「たっだいまー!」
翠星石「ただいま~ですぅ。」
真紅「あら、もうこんな時間。今日はのりが早く帰ると言っていたわ。急いで帰らなくちゃ。私はここで失礼するわ、翠星石。」
翠星石「分かったですぅ。」



アスカ「……で、結局ハル姉は何しに行ったワケ?」
翠星石「あの水銀燈をコトバで言い包めるとは、いくらハル姉といえども絶対何かあるはずですぅ!」
ハルヒ「まーまー、一件落着なんだしいいじゃないの!」
アスカ「よくないわよ!ハル姉はなんでか満足そうだけど、アタシは羽根に巻きつかれただけなのよ!」
翠星石「翠星石もスィドリームの出し損ですぅ・・。」
ハルヒ「細かいこと気にしないの!それより、今日はのりに習ったぷりぷりハートのオムライスを作ったげるからさ!」
アスカ&翠星石「え?(ぐぎゅるるる・・。)」
アスカ「まあ、ハル姉がいいんだったらいいわ………お腹すいたし。」
翠星石「翠星石も同じ意見ですぅ………お腹すいたですし。」
ハルヒ「腕によりかけてつくるわよー!あら、そういえば今日はくんくんのスペシャルじゃない!」
翠星石「す、すっかり忘れてたですぅ!早くテレビをつけるですよ、アス姉!」
アスカ「姉に指図しないの!言われなくてもつけるわよ!」


アスカ「大丈夫かしら…くんくん。」


翠星石「くんくんはどんなときもピンチを乗り越えてきたですよ。だから今回も大丈夫ですぅ…。」
アスカ「・・くっつきすぎよ、翠星石。」
翠星石「べ、別に翠星石は恐いとかそんなこと思ってねーですよ!」
アスカ「アタシは何も言ってないわよ?」
翠星石「あぅぅぅ・・。」


オムライスの中に入れるためのミートボールをつくるハルヒ。遠目でテレビのくんくんを見ながら、あることを思っていた。


ハルヒ。ο◯(フフフ・・・きっと水銀燈も見てるに違いないわ・・・。あら?でもテレビはあるのかしら……?あ、そろそろ出来上がりね!)


ハルヒ「ごはん出来たわよー!」
アスカ&翠星石「はーい(ですぅ)。」