その日、アタシは久しぶりの感覚に戸惑っていた。ううん、認めたくないけど、緊張してたのかもしれない。
「アスカ~?どう?大丈夫?」モニターからミサトが呼びかけてくる。顔、強張ってないかな、映像切っとけばよかった。
「きつかったら止めなさいよ?」ミサトの横から割り込んでくる顔。ひいき目なしに美人だと思える、アタシの姉の顔。
「そ~です、もう無理してまで乗る必要ないですよ?」今度はその姉の下から、顔の上半分だけ割り込んでくる妹。紅と翠のオッドアイ。不思議なかわいさのある子。
「アスカ、きついの?」別のウインドウから呼びかけてくるアイツ。バカ、アタシはきついだなんて一言も言ってないじゃん。
「アンタバカ?ハル姉のいう事真に受けてんじゃないわよ、それにアタシは天才なんだから。ブランクなんてあってないようなもんだわ!」自分でもわかる。以前にくらべて口調にとけとげしさがなくなってる。
「碇君はアナタを心配している」また別のウインドウが開く。隣に住むようになった優等生。でも、近くで見ると案外優等生じゃなかったりして、なんだかホッとした事がある。この子もきっと、1人じゃなくなってから変わったんだと思う。今の言葉にも感情を感じる。アタシは少しだけ優越感に浸ってしまう。
「シンジぃ?ファーストが私の事も心配してって言ってるわよ?」優越感を感じた事に反発して、またこんな事を言ってしまう。もうこの性格は直らないわね、姉妹が姉妹だし。
「え?綾波もキツイの?大丈夫?」こういう奴なのよ、コイツは。誰にだって
「私は大丈夫。ありがと、碇君」そしてこの子は素直。前はイライラしてたけど、今は羨ましい。「え、いやその・・・いいよ」そう、羨ましいの。イライラなんてしてないわ
「アスカのシンクロ率、急激に落ちました」オペレーターの声が聞こえた。あ~あ、やっぱりママはお見通しなのね。
「アスカってば、シンちゃん取られて動揺してんのね?」あーあー聞こえない「アスカ、そういうのを自爆って言うのよ?」ハル姉には言われたくないわ。「自分の蒔いた種で自分の足をとられるなんて、庭師の風上にもおけんですぅ」別に庭師なんて目指しちゃいないわよ。
「アスカ、ホントに大丈夫?」アタシはバカのウインドウを強制消去する。「アスカ、シンジ君との通信を強制カットしました」「あっちゃー、シンちゃん嫌われちゃったわねん♪」アンタのせいなのに、この鈍感バカシンジ。
ううん、違う。アタシのせい。・・・こう考えられるようになったのって、やっぱり
「ま、アスカがこういう性格だっていうの、シンジもわかってるわよ。 もしわかってなかったら、わたしが3日3晩かけて教え込んであげるわ!」「家事人間も八方美人過ぎです、あれじゃアス姉がヤキモキすんのも、さもありなんですぅ」
この2人がいてくれたから、よね。ニホンのことわざにあるもんね、情けは人の振り見て我が振り直せって。・・・あれ?まあいいや。
ママ、見て。紹介します。ママは産んだ覚え、ないだろうけど。この人達がアタシの姉妹よ。
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