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「合宿といえば」(2008/01/26 (土) 00:12:45) の最新版変更点
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<p>「たまにはさ、3人で寝ましょっ!!」<br>
そう言ってハルヒは妹たちを和室に連れて行くと、畳の上にはすでに布団が3つ敷かれていた。<br>
「なんでよ。急に。あたし今夜はベッドの中で睡魔と戦いながら限界が来るまで小説の続きを読もうと<br>
思ってたのに」<br>
「そうですぅ。翠星石だって今夜はこの携帯電話ってやつで、その……チ、チビ人間の家に電話でも<br>
してやろうと考えてたとこですのに。も、もう長いこと遊びにいってないですから、きききっと<br>
さっ寂しい思いをしてるだろうと、この優しい翠星石のあたたかい配慮ってのを……」<br>
「ちょっと待った。それあたしのケータイ」<br>
「ア、アス姉はどーせ電話なんてかかってこないし、滅多にかけないじゃないですか!」<br>
「メールが来んの!ヒカリとかミサトとか、たまにファーストとか、ついでにバカシンジからも」<br>
「そんなの翠星石が適当に返事しといてやるですぅ。使い方はマスターしてるから任せろですぅ」<br>
「ふざけないでよ!ていうかあんたいつの間に持ち出したのよ!そもそも何でメールの打ち方とか<br>
わかんのよ!?」<br>
「翠星石にわからないことなんて無いですぅ!なめんなですぅ!」<br>
「……なーんか時々ケータイないなぁと思ってたら、あんたが勝手に持ち出してたのね!」<br>
2人の口論に決着がつくのを待っていたら夜が明けそうなので、ハルヒは強引に没収試合とする。<br>
「はいはい。2人ともその辺にしなさい。んじゃ小説とケータイを持ってくることを特別に<br>
許可するから、和室に集合ね」<br>
「全然納得いかないんだけど」<br>
「それはこっちの台詞ですぅ」<br>
と、ブツクサ文句をこぼしながらも、妹たちは結局ハルヒに言われたとおりにした。</p>
<p> 布団に入った三姉妹は、電気を消して話し始める。<br>
「なんかさ、こうして3人で布団を並べてると、合宿みたいな感じがするわよね!」<br>
「あー……、ハル姉はそういうことがしたかったのね」<br>
「がっしゅく?」と不思議そうな顔をする翠星石。<br>
「そっか。翠は合宿とか言われても知らないわよね。ま、あたしも実際に行ったことないけどさ。<br>
ハル姉はSOS団でやってんのよね」<br>
「そうよ。だからあんたたちにも合宿の楽しさを知ってもらおうと思ったってわけ」<br>
「で、がっしゅくってなんですか?」<br>
「合宿っていうのはね、学校のクラブなんかが泊りがけで練習したりすることよ。それで、<br>
練習だけじゃなくて夜はみんなで遊んだり、まぁ親睦を深めるって意味合いが強いわね」<br>
ハルヒが得意げな顔でそう答えた。<br>
「そうなんですか。でもSOS団は何の練習をするんですか?」<br>
「SOS団はそんな既成概念にはとらわれないの!普通じゃないことがありそうな場所にしばらく滞在して、<br>
何か不思議な現象にめぐり合う可能性を高めるための合宿よ。SOS団には練習時間なんてないの。<br>
毎日がぶっつけ本番だわ!」<br>
「うん、ハル姉。それただの旅行だから」</p>
<p>「でも、合宿っていえば……」<br>
アスカが少しだけ声のトーンを落とす。<br>
「やっぱ夜はみんなで恋愛トークで盛り上がったりするんでしょ?ハル姉のとこなんか男女混合だし、<br>
結構いい雰囲気になりやすいんじゃないの?」<br>
「恋愛トークですか!色恋沙汰ですね!ハル姉やらしーですぅ!」<br>
「なに興奮してんのよ翠!SOS団はそんなことしないわ。こ、硬派な団なんだから……」<br>
「ふぅ~ん。その様子じゃ何かあったわね。夏合宿のときかしら。夏は開放的になっちゃうからねー」<br>
ニヤニヤしながら、アスカがハルヒの顔を覗き込む。<br>
「てっ……適当なこと言わないでよ!何もあるわけないじゃない!だいたい誰とそんな……」<br>
顔をそらすハルヒを見て、翠星石がふと思い出したようにつぶやく。<br>
「あ、そういえば……」<br>
「なになに!?何か知ってんの翠!?」<br>
「ちょっと!何を知ってるっていうのよ!」<br>
「あれぇ~??ハル姉焦ってない?」<br>
「焦ってないわよ!!」<br>
「前にみくる人間から聞いたことあるですぅ。夏頃、SOS団が島に行ったときの話ですぅ」<br>
「す、翠っ!!~~!!そ、そろそろ寝るわよ!」<br>
そう言うと同時に布団をかぶるハルヒだが、<br>
「 却 下 。 続けて、翠」<br>
アスカが一刀両断にする。<br>
「激しい雨が降る中、ハル姉が泊まっていた別荘をキョン人間と二人で出て行ってしばらく帰っ……」</p>
<p> バシッ、という音がして、翠星石の話は中断された。いきなり飛んできた枕に口をふさがれたのだ。<br>
「枕投げよっっ!!!合宿といえばこれ、枕投げよね!ほら、ボケッとしてるとあたしの一人勝ちよ!」<br>
急にはしゃぎだしたハルヒに対して、アスカは冷めた視線を向ける。<br>
「ハル姉ってさ、誤魔化したりするの、ホンっト下手ね。いろんなことがバレバレよ。むしろ周りに<br>
色々誤解されやすいわよね。自分から事実を5割増しぐらいにして暴露してるようなもんだわ」<br>
「な、なに言ってんのアスカ!恋バナはもう終わったでしょ!次は枕投げの時間なんだから」<br>
はいはい、と眉を下げつつアスカが自分の枕をつかむとその背後から、<br>
「う~~~、やりやがったですねハル姉!許さんですぅ!!」<br>
投げつけられた枕を持って、翠星石がハルヒに向かってダイブする。<br>
「きゃっ、ちょっ、翠!枕投げって言ってるでしょ!自分ごと投げてどうすんのよ!」<br>
布団の上でもつれあう3人。ギャーギャー騒ぎながら、姉妹たちの夜はふけていく……。</p>