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「惣流アスカの溜息」(2007/08/21 (火) 20:18:34) の最新版変更点
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<p>惣流アスカの溜息</p>
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<p>「んー、ヒマ」<br>
ハル姉も翠も外出中。<br>
せっかくの夏休みだってのに、あたし家でひとりか。<br>
うん、なんかすごく寂しい人みたいじゃない?<br>
お日さまも浮かれきったように熱を放って、ハメを外すこと推奨みたいな照りつけ方を<br>
してるってのに、あたしはクーラー作動音とセミの声鑑賞中?<br>
うら若き乙女がこれじゃダメよ。<br>
もっと、素敵ロマンス満載の夏を!たとえば海で、ビーチで、水着姿のあたしに群がる<br>
男たち!この暑さもきっとあたしに魅入られた彼らの体温のせいね!だってあたしは<br>
あの太陽より輝いてるんだから!仕方ないでしょ?<br>
……なんてますます寂しくなるようなことを考えていたら、翠が帰ってきた。<br>
「ただいまです」<br>
いい遊び相手が来た。うら若き乙女としてダメなことには変わりないけど、<br>
姉として妹の面倒を見てあげることも……<br>
「ちょ、ちょっ、ちょっと出かけてきますぅ!べっ、別に大した用事じゃないですよ?」<br>
頬を桜色に染めて、いえ、季節的には真夏の果実色に染めて? ああもう何色でもいいわ。<br>
行き先も用事も瞬時に察しがつくような、むしろ見抜いちゃってくださいと言わんばかりの<br>
セリフを残して、翠は帰宅と同時に家を飛び出してった。この敗北感は何?<br>
またひとりか。<br>
ハル姉も当分帰ってくる気配ないし。</p>
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<p> そうね、仕方ないわよね。妥協とかそういうんじゃないわよ? 何かに飢えてるわけでも、<br>
退屈を嫌っているわけでもないの。ゆったりとのんびりと、時間の流れそのものを楽しむだけの<br>
心の余裕は持ち合わせているわ。ただ、できれば、時間は少しでも有意義に使いたいじゃない?<br>
まぁ、有意義かどうか微妙なとこではあるんだけど。なんていうのかしら、人との関わりを<br>
大切にするっていうか。あたしの社交性がついそうさせちゃうっていうか。それで、たまたま、<br>
思いついたのよね。普段わりと近くにいる人間だし。<br>
あたしはシンジの携帯に電話をした。</p>
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<p> いつも話しているのに、こういう時に電話をかけると、ちょっぴりわくわくする。<br>
なんでだろ。特に、呼び出しのベル。ベルとベルの間の無音。<br>
ベルの音が途切れると、せき立てられるように言葉が出てくる。<br>
「あ!シンジ?あのさー」<br>
『ただいま、電話に出ることができません。発信音のあとにメッセージを……』<br>
受話器を置く。無機質なナレーションの音声が耳に残っている。<br>
大きなため息をついた。<br>
「なによぉぉぉ!? みんなしてさぁぁぁ!!」<br>
10分後、お隣の家でアイスをごちそうになりながら、あたしはルリちゃんとゲームに興じていた。<br>
ま、ダラダラすんのも夏休みの醍醐味よねっ。</p>